第2話 「見知らぬ場所で」
ドールに連れられ、ガウムは「ホワイルティ」と呼ばれる、大きな城にやってきた。
「ホワイルティ」は、この真っ白な街にふさわしい、純白の城だ。
所々に金があしらわれ、神聖さを感じる。
ドールが真っ白な城の扉を開くと、
「お姉ちゃん!おかえり!」
扉の向こうに居たのはドールによく似た少女。
この少女も巫女服をまとっており、菫色をした髪と瞳で、ふんわりとした雰囲気を感じる。
「ただいま」
「その方は…」
「ガウムよ、仲良くしてあげて。目の前に居る私とそっくりな子はテール。私の妹よ」
「よろしくね!ガウム!」
どうりでドールに似ているわけだ。
テールは人懐っこそうな笑顔を浮かべた。
「よろしくお願いします!テールさん」
ドールとテール、この街ではこの二人にしか出会っていない。この街の規模からして、おかしいはずだ。
「この街の人々は、どこにいるんですか?」
「巡回じゃない?」
ほとんどの人々が巡回に出ている中、この2人は何故城に居るのか。
それを尋ねようと――
「ガウムのこと、調べようか」
「そうしよう!お姉ちゃん!」
尋ねる暇もなく次の展開が始まる。
調べるとはどういうことだろうか。
「ガウム、目をつぶって」
突然ドールから指示を出され、状況が分からないまま目をつぶった。
ガウムの手に、ドールの手が重なる。
温かく、柔らかい。
「斬撃魔法か。目、開けていいわ」
「斬撃…?」
何ひとつ分からない。
「ガウム!あなたはね、斬撃魔法が使えるの!斬撃魔法っていうのは、剣で攻撃をする時に、この斬撃魔法を使うことが多いよ!剣の攻撃がすっごく強くなるんだ!」
「魔法は、打撃魔法、治癒魔法、射撃魔法、ガウムが使える斬撃魔法にそのどれにも含まれない特殊魔法がある。その中でも、ガウムの斬撃魔法を使いこなせる人はなかなか居ないの」
「その魔法が使えるか、確かめてみても良いですか?」
ドールとテールはこくりと頷き、庭に連れていってくれた。
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「はい!この剣を使って!」
テールから渡されたのは、ごく普通の剣だ。
「普通の剣に斬撃魔法をのせるだけで、何倍も強くなれるわ。あそこにある的を狙ってみて」
そう言われ、ガウムは大きく踏み込んだ。
やり方は分からない。
しかし、何故か自信がわいてきた。
「おお!」
気が付けば、目の前の的は真っ二つになっていた。
剣だったらこの程度の的を斬ることは簡単だろう。
問題は魔法が使えていたかだ。
「ガウム!成功だよ!」
魔法は使えていたようだ。
この魔法が使えれば、どの程度のことまでできるのだろうか。
「ガウム、頼みがある。私たちのこと、守ってくれない?」
ドールからの頼み事に、ガウムは意味がわからず立ち尽くすだけだった。