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神の歌  作者: おさかな
第一楽章 始まりの音
17/28

終奏 「笑顔」

 外には日が昇り、部屋の中には、暖かい陽の光が差し込んでいた。

 ふと、隣を見る。すると――


「ん…?」


 ガウムの真横にはカインドが眠っていた。

 確か、昨日部屋から出ようとした途端、カインドに引き留められた。

 そして――


「あ……!?私あのまま…」


 カインドに引き留められた後、そのまま寝てしまったのだ。

 こんなこと、立場上あってはならないはずだ。

 守ると誓ったドールやテールとならまだしも、カインドは別の括りだ。

 本来近くに居るべきドール達に会ったらどんな顔をされるだろうか。


「と、とりあえず…ドールさん達のとこ行きますか…」


 動揺が隠せないまま部屋を出て、いつも食事をしている部屋へ向かう。

 部屋に入ると、既にドールとカルムアが居た。


「おはよ〜」


「おはようございます!ガウムさん!」


「あわ…お…おはようございます」


 あまりにもぎこちない言葉になってしまう。


「どうした?ガウム」


「あっその…昨日は…」


「「そういうことかー!」」


 ドールとカルムアが口を揃えて言った。


「兄上が引き留めたんでしょう?」


「………そうです。でもなぜ?」


「ガウムはそんな事しないじゃない」


 カルムアも頷き、ドールの意見に同意している。

 正直なところ、ガウムも自分自身のことをよく分かっていない。それでも、ドールが言うのならそういうことなのだろう。


「――!」


「兄上、おはようございます」


「おはようございます、カインド様!」


 話の最中、眠たそうな目を擦り部屋に入ってきたのは、話題に上がっていたカインドだった。


「あ!ガウム!昨日はごめんね」


「〜~!」


「………?」


「――ふっ」


「……ふっあはははは!」


 思わずドールとカルムアが吹き出した。


「どうしたの~?」


「何があったんですか?」


「ずるいですよ~」


 テール、レンカ、ナスタが朝食を持って来た。

 みんなが笑顔を交わし合うこの空間が愛おしくてたまらなかった。

 だから、絶対にこの笑顔を亡くさないようにガウムはここに居るのだと、護神であるのだと、ここでようやく実感したのかもしれない。

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