間奏 「家族」
「失礼します。ドールさん、どうされました?」
「いらっしゃーい!渡しておきたいものがあってね」
ドールに呼ばれたガウムは、ドールの部屋に訪れた。
「目、瞑って」
そう言われ、不思議そうにガウムは目を瞑った。
右耳に何かが触れた。ドールの手だろうか。
「はい!目開けていいよ!」
ドールは鏡を持ち、そこにガウムの顔を映していた。
ガウムの右耳が美しい耳飾りで飾られている。
金の枠に透き通るような水色の石が嵌められている。
――この石に見覚えがあるのは気のせいだろうか。
「この石、涙青石って呼ばれている貴重な石よ。ガウムの剣も涙青石で出来ているわ」
「凄く綺麗ですね…」
その水色の石――涙青石は、どれだけ美しい宝石でも勝てないほどに、輝きを放っていた。
「――どうかしましたか?」
「いいえ、なんでもない」
そう答えたドールの表情は、晴れやかな笑顔だった。
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「――ん?」
ふと、胸の辺りに温かさを感じた。
常に身に付けているペンダントの石が――涙青石が、光を取り戻している。
「また来てくれたんですね。――おかえりなさい」
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「――どうして?」
薬指に嵌めている、涙青石の指輪が輝いた。
「ずっと待ってたよ。――おかえり」
25.03.31 描写を少し変更致しました。