第12話 「貴方なら」
場所は城のとある一室。
腰には剣、普段と同じ護神の専用服を身に纏い、悠然と佇む人物が居た。
透き通るような白い髪に、落ち着いた印象を抱かせるグレーの瞳。
その人物はこちらに気が付くと、笑顔で手を振った。
――そう、ガウムだ。
「とても似合ってますよ、カルムア様」
「ありがとうございます!『守誓式』ですから!」
カルムアはいつもとは違い、煌びやかなドレスに身を包んでいた。とはいえ、紺色を基調とし、装飾品は金で統一するのは変わらない。
この後、守誓式が行われる。護神や衛涙星団
が守るべきものに向け、守り抜くことを誓う式だ。
「そういえば、カルムア様には衛涙星団の方、いらっしゃるんですか?」
「いますよ。『レンカ』という子です。私が王座に就くから私のことを守ってくれていて」
確かにガウムはこの城に来たばかりだ。
そのため、に会ったことは少ないだろう。そもそも会ったことが無いかもしれない。
そう考えるとガウムの質問に納得がいく。
きっと、ガウムはレンカともすぐ打ち解けるだろう。
ガウムなら、安心できる。
――あの子には、二度とあんな思いをさせたくないのだ。
「そんなに思い詰めた顔をしてたら、皆さんが不安になってしまいますよ、女王様!」
「あ、すみませんっ!私が元気出さないと!」
冗談めかして、ガウムが言った。
それにつられて思わずカルムアも笑顔になる。
ガウムと話すと安心する。ドール達、姉妹と話している時と同じような感覚だが、少し違う。
「女王」という肩書きで名乗るからには、弱みを見せる事などできない。
しかし、ガウムには、弱みを見せられるような気がした。もう、見られている部分もあるが。
「失礼致します。ガウム様、ドール様からのお呼び出しです」
「……?承知しました。今すぐ向かいます」
ドアをノックし、部屋に入って来たのは街の衛兵だ。
「すみません、カルムア様。行かなくては」
「大丈夫ですよ!お話できて嬉しかったですし!」
「それなら良かったです!」
部屋から退室し、それぞれが向かうべき場所へ向かう。
その別れ際――
「それでは!」
「守誓式でお会いしましょう!」
二人は笑顔で言葉を交わした。