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助っ人


翌日。アンジェはフローラに呼び出され彼女の部屋へといつも通りではあるものの、足を運んでいた。


フローラの部屋を訪れると、そこには大きな紙が床一面に敷かれていた。

最初、何かの儀式かとアンジェは疑ってしまったがどうやらそれは違うらしい。



「遅いじゃない、アンジェ! 待ちくたびれたわよっ!」



「えっと……フローラ様。その気合いの入れようは一体…」



アンジェはポカンと口を開けてフローラを見つめる。


今のフローラの格好と言えば、何故か頭にハチマキをし、気合い十分……と言った様子にアンジェが首を傾げればフローラが言う。



「アンジェ。私のお願い、聞いてくれないかしら?」



「えっと…私に出来ることなら」



何故だろう。

フローラからメラメラと熱く燃える炎の様なものを感じる。また、この圧迫感にアンジェは少し息苦しさを感じるが、フローラが自分の為に何かの準備をしているのだと悟れば、その息苦しさは一瞬にして消えて和みへと変わった。


最初出会った時はハッキリ言って怖い印象だった。

まず王女という立場と、強気な態度と口調。

この二つがあまりにも印象として強かったからだ。


しかし、蓋を開けた見ればこの通り。

努力を惜しまない所や心優しい一面を持ち合わせている素敵な少女だ。



アンジェの頬が自然に緩む。



「実は貴方のお姉様の力を借りたいのよ」



「え、お姉様のですか!?」



「えぇ。話によると貴方のお姉様、かなりの魔法の実力だと聞いたわ。だから私の魔法道具を作るお手伝いをして貰いたいの。それと……お兄様の説得材料の一つとしてね。頼めるかしら?」



「今日姉に話してみます」




こうしてその日は解散となり、アンジェは屋敷へと帰宅した。



それから辺りが静まり返り、誰もが寝静まった時間。

リアはグレジス邸へと帰宅し、客室にしてソファーに沈む。

宮廷専属魔導師団。

中々ブラックな職場だと有名だったが、実際に入団してみればそれは言葉通りの場所だった。


宮廷専属魔導師団にも課があり、リアは特に忙しいと言われるモンスターや魔物退治の依頼を専門とする、言わゆる一課と呼ばれる課に所属している。その多忙さと言ったら……。



「きっつ……」



リアは披露しきった体をソファーに沈めながら大きなため息を吐く。

けれど、宮廷専属魔導師団に入団した事に後悔はしていない。多忙でブラックではあるが、給料がとてもと言ってよい程高い。

宮廷専属魔導師団とは左うちわの生活が約束された職場なのだ。



そして何より……



(漸くアンジェとまた過ごせる様になったんだもの。頑張らないと……)



離れ離れになっていたアンジェとこうしてまた共に生活出来ていることが何より幸せで、ブラックでも頑張ろうと思えるのだ。



コンコン


そんな時、扉がノックする音がした。

イリスだろうか? とリアは思い、扉を開けた。



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