内情
俺は「夜叉」という盗賊団に属しているカルという。
俺は親に見捨てられたみなしごだったらしい。
先日、ドドロからそう聞いた。それを聞いた時、俺は別に何も感じなかった。親の顔なんか覚えているはずもないし、ただ血が繋がっている それだけの関係でしかないと思っていたからだ。
それに、俺には親だと思っている人がいるからだ。
俺をここまで育ててくれた盗賊団のみんなと……
団長のドドロのことだ。
とある辺境の村から強奪を行ったのち、俺たちは酒盛りを楽しんでいた。
「おい、カル!!酒が足りないぞ、もっともってこいや!!」
「うるせぇよ!自分で持ってこいよ、このアホナッツが!」
ナッツはその言葉を聞くと、顔を真っ赤にして
「あぁん!誰がアホなんだよ!アホっていう方がアホ何だよこのあほが!」
こんな子供相手に子供以下の返しをするのがナッツという男だ。まぁ、愛されキャラとしてみんなから好かれているんだけども。
「ハハ、おいナッツ、返しが幼稚すぎるぞ!」
「そうだぞ、もっと気張れや!」
筋肉だるま兄弟の、カーとクーがナッツを煽る発言をした後、ナッツはプルプルしながら
「てめーら、もう許さん!!おもてでろや!!たたきのめしてやらぁあ!」
「上等、上等!かかってこいや」
「返り討ちにしてやるぜ!このちょび髭やろう!」
一触即発の危ない空気……、と思うが、これはほとんどいつも通りの流れだ。ナッツが切れて、それにカーとクーが
反応しする。そして、喧嘩が始まる寸前で
「おーい、お前らいい加減にしろよ。何回目だよその展開。
仲良すぎるだろ、気持ち悪いわ。」
ドドロが喧嘩を止めに入る
「くそ、命拾いしたなおめーら。団長に感謝しろよ。」
「こっちの台詞だ。イキってんじゃねーよ。」
彼らは、とても数時間前に人を殺していた集団だとは思えないだろう。だが、彼らにとって人を殺すのは日常の出来事なのだ。
それは、カルにとってもそうだった。
(明日飯当番か。何作ろうかな。うーん、めんどくさいから
明日考えよ。
あ、そういえばドドロに聞きたいことがあったんだっけ。)
トコトコと、人が向こうからあるいてくる。
「あ、いたいた。カル、ドドロ団長からつたえたいことがあるんだってさ。だから、早く部屋に行ってこい。」
「伝えたいこと?」