第一話「始まりは突然に」
かつて、この世界には魔獣があふれていた。
人々はそれに怯え、隠れて過ごす日々を送っていた。
そんな時に、一つの希望が生まれる。
---魔法---
それはいつ、どこで、どうやって生まれたのかは定かでは無い。
しかし、魔法の出現は人々の衰退の歴史を栄華の歴史に変えたのだ。
そして月日が流れ、人々は魔獣に詰られる側から、魔獣を駆逐する側に様変わりする。
冒険者と呼ばれる職種の出現、魔獣狩りを生業とする者達である。
冒険者の中には様々な人間がいた。
その中でもとりわけS級と言われる人物達は、もはや伝説である。
剣、弓、槍、様々な武器そして魔法。
こうして、S級の者達を中心として、冒険者の黄金時代がはじまっていくのだった。
しかし、それも今は昔の話である。
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暗い、場所にいる何も見えない。
しかし、分かることがある。
何かに包まれているということ。
なぜ、こんなとこにいるのだろうか?
俺は確か冬コミの帰りに、階段から落ちて・・・
あれ、俺の名前ってなんだっけ?
日本のど田舎に住んでいた事は覚えている。
初めての冬コミで、初めての東京ではしゃいでいたのも覚えている。
でも何故か自分の名前、顔が思い出せない。
自分に関わってきた人物達の顔すらも思い出せない。
いや、自分に関わってきた奴なんていない可能性もある。
ぼっちの可能性・・・。
まぁ、それはどうでもいいか・・・。
そんな事を考えていたら、小さな光が映った。
その光に俺は吸い込まれていった。
吸い込まれた先はまばゆい世界。
目が慣れず、霞んでしまっている。
徐々に目が慣れ、見えた者は初老の女性であった。
優しげに微笑んでいるその人は、幾年か前は綺麗な女性だった事が分かるほど整っていた。
しかし、違和感がある。
その人と俺との顔の距離感がおかしいのだ。
数秒経ち、その違和感の答えがわかってくる。
自分の体へと視線を落とす。
あー、俺転生したんだな。
俺は周りを見る。
何故か皆慌てている。あそこにいる小綺麗な格好をしている男は俺の父親だろうか?
周りにいるメイドを急かすように怒鳴りつけているようだ。
聞こえてくる言葉は日本語では無い。
となると、他国かあるいは異世界。
周りの物の文化レベルを見るに中世ではない。
しかし現代ほどの技術はない。
現代の他国という線は消えたな。
異世界か過去の地球か・・・。
ファンタジーな世界なら嬉しいが、部屋の明かりは電球っぽいもの。
これはファンタジーを期待してはいけないかな。
そこまで思考していると、
不意に視界が反転する。先ほど俺を抱いていた女性に足を掴まれ宙吊りにされているようだ。
・・・なんで?
そう思い、講義の目を女性に向けた。
しかし、女性は優しく微笑んだままだ。
そして・・・ケツを叩かれた。
そして、俺は産声をあげた。
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結果から言おう。ここは異世界で決定された。
俺の部屋にある世界地図とおぼしき物を見た時に確信した。
どう見ても地球じゃない。
現在俺は生まれて三ヶ月目だ。言葉ならもうすでに理解した。
ただ自分の発声器官が発達してないからか、出せる声は泣き声か、あうあうかだけだ。
今世の俺の家は、すごく裕福らしい。
俺は今、赤ちゃん用のベットの上で転がされている。
横には双子の弟のウィスという名前---これはおそらく愛称だ---の子がいる。
こいつ、とんでもなくうるさい。
日中だろうが、夜だろうが、飯時だろうがいっつも泣いてやがる。
その度に、誰かこの家の大人が来てあやすのだが、それが1時間に三十回くらい、2分に一回くらいのペースで来て同じような言葉を言うもんだから、こんなに短い期間で言葉を覚えてしまった。
まあ、俺の体が子供だからか知らんが、この騒音にすぐ対応して今では1日の大半を騒音を気にせず、寝て過ごすことができるようになってしまった。
正直赤ちゃんのうちに言葉を取得しておこうと、決めていたのだが、すぐに覚えてしまい今は暇だし、なんかやけに眠いし、まぁハイハイできるようになるまでは寝て過ごすかな?
そういえば、俺の今世での名前はウィルらしい。
これもウィスと一緒で愛称っぽいのだが・・・。
今世の父も母も俺たちをよく可愛がってくれる。
どちらも容姿が優れているので、今世ではハーレムを作れるかも知れない、なんせ俺はこいつらの息子なんだからな。
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それは、珍しくウィスがぐっすりと寝ている時の事だ。
「・・・ウィスの泣き虫は困りものだな。」
「そうね。子育てに慣れるのは難しいかもね。」
「使用人達もウィスに付きっきりのようだな。」
「そうなのよ。聞いてよ、あなた。この前ね、ウィスを使用人があやしているところ偶然見かけたのよ。そしたらね、ウィルがすごく羨ましそうな顔をしていたの。どこかぽわーんとした子だから、あまり構われるのは好きではないのかな?なんて思っていたけど、どうやら子供っぽいところもあるのね。すごく甘えたそうだったわ。」
(すいません。可愛いメイドさんにあやしてもらってた弟が羨ましかっただけです。)
「・・・ほう。長男は強がりの甘えん坊で、次男は泣き虫の甘えん坊か・・・。」
「本当に可愛いわ。この子達は私たちの宝よ!」
「あぁ、そうだな。しかし、ウィルが哀しそうにしていたのか・・・。ウィルは自分の感情表現が苦手そうだな。
友達ができればいいのだが・・・。」
「そんなの今から気にしても仕方がないわ!それに私たちの子よ、少しとっつきにくい性格してても、いい子に決まっているわ!それなら、友達ができるわよ!」
「それもそうか。しかし、使用人達がウィスだけに構うのはよろしくない事だ。誰か一人、専属の者を付けてあげたほうが良いのではないか?」
「そうね。甘えたそうにしているウィルがはとても哀しそうだもの。」
「誰が良いと思う?」
(可愛いお姉さんでお願いします!!!)
「ステラはどう?生まれた時に最初に抱っこしてもらったのだから、適任じゃない?」
「・・・うむ。しかし、ステラは我が家のメイド長だからな。かのじょに一任するのは・・・。」
「ステラも最近力が落ちて着て・・・とか、最前線ではなく後進の育成が・・・。とか嘆いていたから、いっそ仕事をウィルの世話だけにして・・・っていうの手だと思うわ。」
「ステラがそんなことを・・・。うむ、そうだな。・・・よし、ステラにするか。」
こういう経緯で、俺の専属のメイドが決まったのだ。
しかし、俺の中でステラさんは優しい顔をしながらケツをたたくっていうとトラウマがあるからな・・・。
これに小さい頃の世話までもされたら、頭が上がらないのが確定してしまった。
ちなみに、ウィスには専属の者はつかずいろんな従者にあやしてもらっている・・・。
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生まれて、6か月目だ俺はもうハイハイが完璧にできるようになっていた。
それどころか、物をつかみながらではあるが建つことが出来るようになったので、
2か月ほど前から俺の専属となったステラさんは、
「ウィルおぼっちゃまはずいぶんと早熟ですね・・・。」
と驚きの声を上げていた。
その声に反応してどや顔をしたのだが、ステラさんは一歳にも満たない子が言葉を理解しているはずがないと思ったのか、肩をすくめていた。
ウィスは腹ばいの状態でいることが多くなった。
双子の成長度の違いに母は結構心配そうな眼をしていたが、俺がハイハイで近くまで行くと抱き上げて、満面の笑みを浮かべてくれる。
そのたびに、ウィスが嫉妬して泣き出してしまい、母がしょうがないと言って俺を下ろしてウィスを抱き上げる。
俺は割かし母に抱きあげられるのが好きらしく自分でも知らないうちに不満な顔をしていたのか、
「ウィルはお兄ちゃんだから、我慢してね。」
と苦笑いされながら、言われてしまった。
父はここ一か月ほど家に帰ってきていない。
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父が姿を見せなくなってから、さらに半年が過ぎた。俺はもうすでに立つことができるようになり、さらに少しの間ではあるが歩くことも可能になった。一方でウィスはやっとハイハイができるようになったころである。
このころからウィスは兄である俺ができて自分ができないことに気づき、嫉妬のような行動をとることが増えた。具体的にはおもちゃを独占したり、俺が母親にかまわれている際に泣き出したりなどである。
幼い子ならではでかわいげのあることであるが、どうやら母親はそうは問題意識が芽生えたようで、俺とウィスの部屋を分けることにしたらしい。正直な話問題の先送りであるように思うが、俺たちが初の子であるらしいのでしょうがないだろう。
父の話に戻るが、どうやら彼は軍隊に所属しているらしくその遠征に出向いているようだ。母と使用人が話していることを聞いて知った。なんでも南部で魔物の氾濫が起こったらしく、育児休暇中の父えお出頭させるくらいには手が足りていない状況のようだ。
そう、この世界には魔法、そして魔物が存在する!俺はラノベよろしくファンタジーの世界に転生したのだ!前世であこがれていた状況だ!
俺はこの世界で剣をとり、魔物をバッタバッタと切り倒す英雄になることすら可能なのだ!
俄然、やる気が出てきた!やっぱり、異世界といえば剣と魔法の世界だよね!
さて、父親の話に戻るが魔物の氾濫ももう終わり、あと半月もすれば父親も帰った来るらしい。約半年間も家を留守にしていたのだ。ウィスは父親のことを覚えているだろうか?
本書に目を通していただきありがとうございます。今回は普段はあまり書かないオーソドックスななろう系を書いてみようと思い、筆を執りました。私はなろう系のおれつえー展開やチーレムが嫌いなので、そういったものにはしないと思いますが、面白く書くつもりはあるのでよかったらご愛読ください。
更新は毎月5のつく日を目指します。では次回は11・5で!




