3時間目
「おい」
俺は顔を声がした方に向ける。
「伊野尾、あんたその見てる紙何?授業のプリント?」
俺は少し焦りながら答えた。
「いや、風が吹いて津川さんの机の中から床に落ちてそれで」
一応平凡な生活を送りたい俺は女の子には"さん"男の子には"くん"を付けることを心掛けている。
心の中ではつけないけどな。
そんな事を思っていると、津川は俺に近づいてきて持っていたプリントを右手で奪い取った。
「これ他に誰か見た?てか、お前も中しっかり見た?」
津川の口調が強くなる。
「いや、他は見てないし俺も少ししか見てないよ……」
俺の口調は……強くなるわけがない。むしろその逆だ。
「何人の物勝手に見てるのきもすぎ。むり。まじないわ。」
あ、こいつまじで昔なら絶対ぶちぎれてるわ。
そう思いながらも、俺は普通の人を装い謝り続ける。
「いや、本当に見たくて見たわけじゃないんだ。ごめん本当に。」
「まあ、うちもお前が昔すごい不良だったの知ってるしお互い様か」
「え……」
「お前、中学の時めっちゃ不良だったでしょ?知ってるよ。だから、うちがインキャだったの知ったからこれでお互い様ね。」
ちょっとまて、、、こいつなんでそれを知ってるんだ。
知ってる人が誰もいなくて、誰にも知られない為に末川先生が色々探してくれた学校なのに。
「何でそれを知ってる⁉︎⁉︎頼む、俺は誰にも言わないから津川さんもこの事は言わないでくれ!!!俺はもう普通の生活を送りたいんだ……」
どうして、俺は見た側なのに立場が弱くなってるんだ。
普通津川が弱い立場だろ、、、
そう思いながらも、バレたくない俺は精一杯のお願いを津川にする。
「頼む……」
この状況をどうにかしたい俺は目を瞑り願う。