2時間目
これは決して俺が悪いわけではない。
強いていうのであれば、津川のズボラな性格と換気のため誰がが少しばかり開けたまま帰宅した校庭の見えるこの窓から入ってきた風が悪い。
教室の植物への水やり、廊下の窓掃除などの美化委員の仕事を終えて帰宅しようとしていた17:00。
カバンに宿題のある教科の教科書やノートをしまっていると、窓から風が入り、津川の机から少し出ていたA3を半分にしたプリントのようなものが舞い、床に落ちた。
「ったく、授業のプリントくらいしっかり机にしまっておけよぶす……」
少し口調が悪くなってしまったのは津川が嫌いという訳でもなければ本当にぶすだとも思っていない。まあ、女性や人として好きではないし顔自体も好みではないが。
そしてヤンチャという言葉で濁していたが、ヤンチャという4文字の言葉が少し長いから半分の2文字にする為に認めよう。元々不良だったから口調が悪くなってしまった。
不良は自分に害がある事をされると、このような言葉が出てきてしまうのだ。少しずつ直していかなければ、、、
今思うとどうして半分に折られていたその紙を開いたのかわからない。ただ、何かこう開けるなと言われたら開けたくなるあれだ。そんな気持ちで紙を開くとそれは入試の時に高校側へ提出する履歴書だった。
うちの高校では個人情報取り扱いの兼ね合いから、合格したものは入学2ヶ月後に手渡しで、落ちたものは入学前の3月の末に郵送で履歴書を返還することになっている。
「あいつ、見た目によらず字すごい綺麗だな。」
そこには派手なミルクティー色の髪に短いスカート。
メイクとネイルをバッチリした女性が書いたとは思えない程綺麗な文字で書かれた文章が並んでいた。
「人って本当に見た目によらないんだな。」
そう思い、ざっと文字を見て紙を半分に折り戻す前、
目がなぜか右上の証明写真に引き寄せられた。
「……⁉︎⁉︎え、誰このくそインキャメガネぶす……」
そこに貼られていた写真は明らかに津川ではない。
というよりももはや女ではない。
整えられていない髪に大きなメガネ。
そして、おそらく100人いたら100人が口を揃えてこう言うだろう。これはぶすだと……
しばらく開いた紙を見たままで口を開けたまま立ち尽くしていると、誰かが廊下を走ってくる音が聞こえた。
そして次の瞬間、ものすごい音で教室の扉が開いた。
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