表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/59

逮捕

 光輝:「そんな、何かの間違いでしょ?」

流星:「社長に限って、法律に触れるような事をするはずがない。きっとすぐに帰って来るよ。」

植木が逮捕され、報道陣がSTEタワー前に群がっていた。STEのメンバーたちは仕事どころではなく、いつものリビングに集まって、頭を抱えていた。

内海:「みんな、心配かけてごめん。」

対応に追われていた内海が、やっとメンバーの所へやってきた。

瑠偉:「内海さん!」

碧央:「社長はどうなるんですか?」

内海:「みんな、まずははっきり言っておこう。植木は脱税も横領も決してしていない。この俺がよく分かっている。」

涼:「じゃあ、すぐに帰ってくるんですよね?」

内海:「そうだといいんだが・・・。実は、以前政府から、君たちを日本に戻せ、平和祈念コンサートを日本でやれと再三打診されていたんだ。だが、結局政府の要請には従わなかった。帰国はしたが、そのために政府に条件をつけた。それも政府は全て守ってはいなかったのだが。」

流星:「そうだったんですか。それで、まさか政府が復讐を?」

内海:「復讐というわけではないだろう。何か思惑があるに違いない。」

大樹:「思惑って、何ですか?」

内海:「それはまだ分からないが。政府は君たちを、国益や日本経済の為に利用しようとしているんだ。うちの事務所は利益を求めない分、政府の言うことにも従わない。君たちの歌には国政批判も含まれる。うちの事務所のやり方が気に食わないのだろう。」

篤:「言う事を聞かないからって、無実の罪を着せるなんて、ひどい事するなあ。」

光輝:「本当だよ。でも、いくら政府だからって簡単に罪を着せる事なんて出来るの?」

大樹:「脅しのために、とりあえず逮捕しておいて、証拠不十分とかで不起訴になるんじゃないのか?」

内海:「脅しだけならいいんだが。とにかく、また何か分かったら知らせるから。」

内海は忙しそうに出て行った。

 その直後から、メンバーに他の芸能事務所からオファーが入り始めた。事務所から直接連絡は出来ないので、友人を介して連絡が来るのだ。例えば、碧央の友達の歌手から電話がかかってきて、出ると友達は自分の会社の社員と代わり、碧央に直接うちの事務所に来ないかと誘って来る。そのような電話が他のメンバーにもじゃんじゃんかかってきた。

碧央:「何の事でしょうか?事務所の移転?考えていません。はい、はい、確かに社長は今いませんけど、事務所がなくなるわけではありませんから。」

碧央はそう言って電話を切った。

篤:「なあ、俺の所に芸能事務所からのオファーが2件も来たんだけど。」

涼:「俺のとこにも来たよ!」

光輝:「僕のところにもさっき来たよ!」

流星:「どうなっているんだ?これも政府が仕組んだ事なのか?」

大樹:「多分そうだな。社長を逮捕して、俺たちが動揺しているところへ、他の事務所からのお誘いがあれば乗るかもしれない、という考えなんじゃないか?」

瑠偉:「冗談じゃないよ。他の事務所になんて行くわけないじゃん。俺たちはただ芸能活動しているわけじゃないんだ。地球を救うために活動しているんだから。」

涼:「そうだよ、そうだよ。みんな、裏切らないよな?」

流星:「当たり前だろ。金が欲しいんだったら、とっくにここにはいなかっただろうよ。でも、俺たちはたくさんの賞をもらい、多くのフェローがいて、このメンバーがいる。どんなに金を積まれたって、俺たちのやり方を変える気はない。これからもボランティア活動をするし、売り上げは寄付するし、平和を訴えるし、地球環境を守る。だろ?」

メンバーはみな、力強く頷いた。


 あまりに芸能事務所がうるさく、世間でもSTEの社長逮捕のニュースで持ち切りで、メンバーはどうなってしまうのか、他の芸能事務所に移るのか、と噂されるので、STE側は、記者会見を開く事にした。

記者:「今回、社長が脱税、横領の疑いで逮捕されました。この件に関して、どう思われますか?」

流星:「はい。植木社長は決して罪を犯してはいません。僕たちはただそれを信じているだけです。嫌疑が晴れて、社長が戻ってくるのを待ちます。」

記者:「もし、嫌疑を晴らす事ができず、社長が帰って来なかったら、どうしますか?」

流星:「たとえ、社長が帰って来なかったとしても、僕たちは今まで通りの事をするだけです。」

記者:「しかし、今まではほぼ全ての方針を、社長が決めていたと聞きます。社長がいなければ、芸能事務所は解散という事になるのではないでしょうか。」

流星:「いいえ。社長がいなくてもマネージャー始め信頼できるスタッフがいますから、会社は存続します。」

記者:「もし、社長ではなく、会社に罪があるとしたら、会社がなくなってしまいますよ。そうしたら、他の芸能事務所に移るという選択はあるのでしょうか。」

流星:「ご心配、ありがとうございます。ですが、たとえ会社が無くなったとしても、僕たちが他の芸能事務所に所属することはありません。」

記者:「それはなぜですか?」

流星:「僕たちのやり方は特殊です。他の事務所のやり方にはそぐわないと思います。もし会社が無くなったなら、自分たちで新たに立ち上げます。」

記者:「そこまでの覚悟があるのですね。」

メンバー:「はい。」

メンバー全員が返事をした。


 法務大臣:「総理、STEの記者会見をご覧になりましたか?」

総理大臣:「ああ、見たよ。植木を逮捕しても、意味がなかったのか?」

総理大臣室に、法務大臣が尋ねて来たのだった。

法務大臣:「我々の働きかけ以上に、どの芸能事務所も必死に勧誘したようですが、全く取り合ってもらえなかったそうです。」

総理大臣:「意志が固いのね。STEは活かしてやろうと思ったけど、社長が操っているというのでもなく、彼ら自体が日本の敵というわけか。」

かつて、日本の宝だと言っていた総理大臣。その同じ人物が、今度は日本の敵だと言う。

法務大臣:「どうしますか?植木の罪もでっち上げですから、そろそろ拘束しておくのも限界です。」

総理大臣:「仕方ない。利用しようと思っても、懐かない虎は飼えない。STEのメンバーを逮捕しようじゃないか。」

法務大臣:「メンバーを、ですか。」

総理大臣:「そう。全員ね。そうしないと、彼らは独りになっても続けそうだから。」

法務大臣:「分かりました。手を打ちます。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ