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ハカナムセカイ  作者: 山縣 弘和
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当たり前の事

さて自己紹介も終わったから次の目的だ

『とりあえず服だな』「とりあえず服だね」ハモった

「今あるのは私の予備の外套くらいだけど、とりあえずコレ着ておいて」そういってオウビはバッグから黒っぽいコートを取出し渡した

『ありがとう、これで少し落ち着くよ』

流石に女性の前で全裸は気が引ける

「ううん、大丈夫だよ、それより一度遺跡から出ようか?今後の事を決めるのはその後にしよ」

オウビに言われ遺跡(?)の外へでる事にした。

「まずは私テントまで行こ、歩ける?」

『なんとか、どうにも身体に上手く力がはいらないんだ』

そういうとオウビは肩を貸してくれた

「テントになら食料があるから、ごはんを食べたらきっと元気になるよ」

『あぁ、ありがとう』

そうして自分が眠っていたという薄暗い部屋を出ると見覚えのある通路へ繋がっていた

『なんだか見病院の廊下みたいだな』記憶が無いのに見覚えがあるのも妙な感覚だ

「病院?ここが?」オウビが不思議そうな顔で自分の顔を覗き込む

『あぁ、昔っから病院って苦手でな、白い壁も薬品の匂い日が射し込むのに薄暗い廊下も』喋っててふと気付いた自分は病院が苦手だったのか

「その様子だと記憶が戻ったってわけじゃなさそうだね」自分の顔を見ながらオウビは少し残念そうだ

『すまん』

「い〜よ、謝らないで、私はネムの保護者なんだから」オウビが胸を張る

『あぁ、ありが…ハァッ!?』流しそうになって気付いた保護者って言ったぞこの娘

「うわっ、なに急に大声だしてぇ」オウビが驚き返す

『いや、なんだよ保護者って!』

「だって貴方に名前を付けて服を与えてこれから面倒をみていくんだよ、もう保護者じゃないかな?」当たり前の事の様にオウビはいう

『いや、ソレは確かにそうだが』その先を言えずに口籠ってしまう、確かに言われてみれば今の自分は何も解らないし一人で生きていく展望も見えないのだから

『でも保護者ってのはなぁ』

「ほらそんな事より行くよ、この先にテントを設営してるから」

少し歩いた先の開けた場所に張っていたテントへ二人で入り食事を摂る

「ネムは身体が弱ってるみたいだからシンジね」

『えっ?シンジ?人?』

「なに言ってるの?シンジはアグーの肝や野菜を煎じた物の事だよ、今回は具を小さく少な目にしてるから、これなら多分大丈夫でしょ?」

差し出された料理を全て平らげオウビに話しを聞いた

オウビは一人旅をしている最中に地震で剥き出しになった地下道を発見し冒険心を擽られ中に入ってここへ辿り着いたという

そしてここは地下遺跡の8階層あたりらしく沢山のヒトガタや本があり好奇心で段々と奥へ奥へ進んで自分を発見したらしい

「だからてっきりネムは学者か探掘家で罠に捕まってるんだと思ったんだよね」餅のような物を頬張りながらオウビは続けた

「ここって古代の王族の城で、だから本や財宝が沢山あってそのぶん罠もあるんだと思ったんだ」

『罠って他にも何かあったのか?あとさっきから気になってたんだがヒトガタってのは何なんだ?』

「罠は回って人を閉じ込める罠や人を挟もうとする透明な板だよ、ヒトガタっていうのはあれだよ」オウビは指を指す

オウビが指差した方を見るとガラスケースの中に人体模型と骸骨の票本があった

「最初は王族に逆らった罪人の処刑体かとも思ったんだけど作り物っぽくて、それで最初はネムもヒトガタかと思ったんだ」

『お、おぅ、じゃあ回る罠と挟む板ってのは?』

「帰り道にあるから覚悟しといて、一歩間違ったら死ぬかも」真剣な顔でオウビが言う

『そんなにやばいのか?』恐ろしくなり冷や汗が止まらない

「ヤバいよ、近くにいたアタビチャーはやられてた」

『マジかよ………』アタビチャーさんの御冥福を祈りながら出発の準備をする


翌日

「おはようネム、ごはんを食べたらすぐに出ようか」

『あぁ、分かった』

「元気がないね余り寝れなかった?」オウビが心配してくれる

『ああ、昨日のアタビチャーって奴の話しを聞いて少し怖くてな』

「大丈夫、ネムには私が付いてるから」

そうだ今日は命懸けの冒険になるんだ腑抜けてなんていられない

『分かった、行こう』

こうして自分達は出発した

そうして割れた階段を上がり、裂けた通路を抜け、壁に空いた穴を潜った先にそれはあった

『って、自動ドアじゃねぇか!』

「ネム知ってるの?この挟む透明な罠を!?」

『本当だ、なんでだろうなこういう事は覚えてるみたいだ、害はないよ人が近づいたら開いて離れるとしまるんだよ、ホラ』実演して開閉させてみせる

「ほ、ホントだぁ」オウビは凄く感動して何度近づいては離れ近づいては離れるを繰り返し開閉を楽しんでいる

(何だろうな、小さな子どもや小動物みたいでかわいいな)

良く見たらオウビは耳をピクつかせて尻尾がクネクネしている、相当楽しいのだろう

『ん、じゃあ昨日やられたアタビチャーって?』

「アタビチャーならそこにもいるよ」

オウビが指差す先には数匹のカエルがいた

(アタビチャーってカエルの事だったのか………)

この調子だと回る罠もなんとかなりそうだ


幾分か進むと回る閉じ込め罠があった

「コレはヤバいよ〜何しろ回転すると思ったら途中で止まって人を閉じ込めるからね」

回転式のゲートだ、近くにスタッフ専用と書いてあるし確かに通門証が無いと通れない

『オウビはここに来るまでに何かひろわなかったか?』

「色々ひろったよ〜、ホラ」

そう言いながら広げられた品々を物色する

『これかな』スタッフカードと書かれたカードをリーダーに通すとポーンと音がしてランプが青く光った

『よし行こう』ポカーンとするオウビを置いてゲートを通り反対側からカードをオウビに渡し同じように通らせた

「もしかしてネムって王族の末裔だったんじゃ」

『いや、寧ろコレって一般常識だった気がしてるんだ』

記憶喪失の自分に自信はないが当たり前の事なんだろうとは思った

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