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ハカナムセカイ  作者: 山縣 弘和
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出会いと名前

気付いて最初に目に付いたものは丸いガラス越しにウネウネと動く紐状の何かと困ったような女性の声だった

「え〜っと、どうしたら開くのかな?」

そう聞こえたと同時に振り返った彼女(?)と目があった

「気が付いた?良かったやっぱり生きてたんだ、他のヒトガタとは違うから生きてるんじゃ無いかと」

巻く仕立てコチラの返答などする間も与えず彼女は喋り続ける

『ここは?』やっとひねり出した自分の声はかすれてまるで自分の声じゃ無いようだった

「ここは遺跡の中でそれなりに奥の方だよ、貴方は多分探掘中に罠に掛かったんじゃ無いかな?」彼女が苦笑いで答えた

『遺跡?自分がなんでそんな所にいるんだ?』

「知らないよ、私が貴方を見つけた時もう貴方はその箱の中で眠ったんだから」呆れた様に彼女はいった

「出してあげたいけどこの箱どうしたら開くの?いっそ壊してやろうかな?」ムスッとした顔で彼女が言う

彼女言う箱の中から辺りを見回すと彼女の近くに光るモニターと電子機器が見えた 

『なぁ、右手にみえるコンソールで開けられないか?』

「こんそぅる?ソレってどれの事」初めて聞いたのか不可思議な顔でコチラに向き聞いてくる。

「えっと自分から見て右にある光る機械の……」ざっくりと見方と操作を説明する

『これ、そうそこに何か表示されてないか?』

「古代文字なんて読める訳無いでしょ」またあきれるように彼女が言う

(こんな短時間に二度も呆れられるなんて、自分が何かしてしまったのかと疑ってしまうなが)

『すまん、とりあえず右手の画面を見て何があるか教えてくれないか?』

「う〜ん、沢山の古代文字とひぃ字とカナ字と絵や棒や丸が」見方がわからないのだろう彼女は身振り手振り伝えてくれた

その中からもしやと思い付いたのが【緊急装置】だ、これを彼女に操作して貰う事にする

『ちょっと自分の言う通りに操作して見てくれないか?』

「分かった、やってみる」『じゃあ初めに……』

説明し彼女はぎこち無い手付きで操作する、暫くして[緊急非常停止処理が行われます、職員は対処に向かって下さい、繰り返します]アナウンスが始まった。

「なに、なんなの!?」彼女は驚きオロオロと落ち着きなく辺りを見回す

『落ち着いてくれ、多分これで出られる』言ってる間に蓋が開いた

「ホントだ、古代遺産の動かし方がわかるなんて貴方学者さんなの?」彼女が瞳をキラキラさせながら聞いて来る

『いや、自分は』そう言い立とうとしたが立ち上がれず前のめりに倒れかかってしまった自分を彼女が受け止めてくれ

「とりあえず服着てね」顔を反らしで毛に覆われた長い耳まで解るくらい真っ赤にした彼女に言われ気付いた

そう、自分は一糸纏わぬ姿だったのだ

そりゃあ彼女も耳まで真っ赤に、『いや、待ってくれその耳』

「耳?耳がどうかしたの?」動物の様な長い耳を垂らし尻尾を揺らしながら少し元気を無さげに彼女は続ける

「そう言えば貴方の耳は短くて丸いね、何処の集落【コロニアル】のヒト?」

『自分は・・・、何も思い出せない』

「え、もしかして記憶が無いの?」

『そうなのか、いや、そうみたいだ』

彼女もキョトンしているが自分もどうしたのか解らない

「名前は名前もわからないの?」

『わからない』

「そっか、じゃあ名前を付けたげないとね」優しく彼女は言う

『え、付けるって』

「だって名前が無いと不便でしょう、それに私が貴方を呼ぶ時に困るものいつまでも貴方貴方じゃね」

「ネム、ネムにしよう!」元気良く彼女が言う

『一応聞くが名前の由来は、』

「寝むってたから」

『あぁやっぱり』苦笑いでそういうと彼女が少し寂しそうに「イヤだった?」と聞き返して来た

『嫌じゃない、そもそも名前が無いのは不便だからな付けてもらえるありがたいさ』

彼女が満面で『うん』と返事した

「じゃあ私の自己紹介ね、私は、」少し口籠ったあとに彼女が続ける「私はオウビ、オウビだよよろしくねネム」

コレが自分とオウビの出会い、そしてネムと名付けられた経緯だ

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