Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。~の感想
主人公のユークは所属していたパーティ「サンダーパイク」の脱退を宣言します。
理由は報酬が少なすぎるからとのこと。
このパーティの報酬は個人の活躍に応じて決定するという決まりがあり、全然戦闘に参加せずアイテムを使うだけの主人公にはあまり報酬が支払われません。
なろう小説を読んでいる方はもうご存じでしょうが、主人公は陰ながら敵を弱体化&味方を強化していたという設定があります。
しかし主人公は説明しません。抜けた後パーティが凋落、ざまあするための伏線ですからね。
普通の追放物なら、主人公は役に立たないからとリーダーが追放するという流れなのですが、本作では主人公が自身の能力を自己宣告せず待遇の不満により自分から脱退しました。
そのため本作では主人公がコミュニケーションをとっていなかったせいという側面が強く、なろう読者には「ざまぁ成分」が足りないのではないかと思いました。
後述する「配信」で主人公が理由もなく出し惜しみしていた奥の手を見たパーティメンバーの心中は察するに余りあるでしょう。
パーティを脱退した主人公は新しいパーティに入ります。
それはかつての教え子(当然女)3人のパーティであり、その後の小説の流れは美少女3人と一緒にうはうは冒険者生活を送るというものです。キモイ。
本作の特徴として、アーティファクトというもので映像を保存、配信する技術があるという点です。
活躍している様子を配信することで知名度が上がり、多くの依頼が舞い込む、または武具や道具を使用しているシーンを流すことで宣伝に使ったりと、話の流れ次第では面白くなりそうな設定です。
しかし配信されている映像は酒場の大型スクリーン以外で見ることができない、というか見れる描写がありません。
そんな限られた放送枠は、普通トップクラスの冒険者や知名度のある冒険者が映るものだと思うのですが、無名の主人公が「初心者の壁」程度の敵を倒した映像がバズるという不可解な現象がみられます。
あ、不可解ではありませんね。なろう小説ですから、主人公を持ち上げるためならいくらでも矛盾が生まれても不思議じゃない世界ですからね。
本作は主人公スゲーというより、追放側が可哀想という感想の方が強く出てしまいました。
一応追放側を馬鹿に描くことで「ざまぁ成分」を補充しようとしていますが、自己申告しない主人公というテンプレが完全に裏目に出ていると思います。
なろう小説を書いて書籍化を狙い、鈍色の人生に花を添えようとしている人はご注意を。
あ、この小説書籍化どころかコミカライズしてた。