王国の最終兵器、劣等生として騎士学院へ~の感想
別名、騎士科学院の劣等生
本作の主人公、アインは元協会孤児であり、禁術によって身体強化された存在です。彼を作ったのはネティア枢機卿といい、裏で王族や教会の上層部などを百年単位で支配し続けている、まさに影の支配者と呼ばれる人物です。
彼がとある敵を倒した際、「王国の兵器として何も知らないまま死んでゆくとは」と言われ、ネティアに学院に通いたいと懇願します。
しかしアインは数々の違法行為の証拠の塊のようなもので、存在が表立つとネティアの立場が危うくなるそうです。
ばれたところで様々な権力者の脅威であるため、大した危険はないと思うのですが、せっかく作者様が縛りプレイをしだしたのですから、黙って行く末を見届けたいと思います。
アインが青春を送るために選ばれたのは王立レーダンテ騎士学院。実力主義を掲げ、貴族だけでなく平民も入学することのある学院だそうです。
青春を送りたいだけならそんな名門校に入る必要はないのでは?
そんな疑問の最中、受験しようとする平民に対し、貴族であるカマセ君が暴行を加えようとしているのを目の当たりにします。
ネティアから目立たないようにと釘を刺されていましたが、助けに入る形で割って入り、逆にカマセ君を負傷させます。
騒動の原因はともかく、これから受験しようとしている、それも貴族を負傷させたとしたら問題になると思うのですが、作者の都合により特に大ごとにはなりませんでした。
入学試験は筆記と魔術、剣術の実技試験に分かれており、まず筆記から始まりました。ネティアから無条件で合格できるといわれていますが、自分が入学する分だれか一人が不合格になる。そんな他人を理不尽に蹴落とすような行為に罪悪感があるアインは、数日で高得点がとれるよう必死に勉強したそうです。
一見好感がある行為に見えますが、後述する学院の実態により全くの無意味な行為であるということが分かります。
第二試験は魔術試験でした。試験官が用意した的に魔術を三回放ち、威力や速度、制御や練度の試験となっています。
数々の難敵と戦ってきたアインなら楽勝だろう、とはいかず身体改造の際魔術を使いにくい体になったそうです。
そのため試験では的に当たらず、轟音とともに爆風が巻き起こり、地面が大きくえぐれました。
そんな攻撃が意図せず人に当たったら大変なことになるのは想像に難くないのですが、的に当たらなかったせいで不合格になることを危惧したアインは試験官の中止の声を聴かず再度魔術を行使します。
今まで数多くの修羅場をくぐってきたと思われるんですが、魔法が的に当たらなかったからと取り乱したさまが不自然極まりないですね。威力が大きすぎて周りから注目されているんですが、どうせ作者がセーフと思えばセーフになる世界なのでセーフなんでしょう。
第三の試験の剣術で試験官を倒し、アインは最下位の成績で入学しました。
で、ここから騎士学院での生活が始まるのですが、学院のシステムについて話したいと思います。
入学者80人を5つのクラス、A~Eに16人ずつ入学試験の成績順に割り当てるというシステムです。
しかし上級貴族は点数に下駄を履いてAクラスに、平民は点数を厳しめにつけられてEクラスに割り振られやすい、という特徴があります。
Eクラスの待遇は悲惨の一言で、宿舎はボロボロな上ほかのクラスが個室なのに対し大部屋です。
それだけでなく他のクラスからたびたび劣等クラスと見下される役回りであり、Eクラスに入った貴族がすぐやめることも珍しくないそうです。
この設定、魔法科なんとかの劣等生でも見ましたけど、なんでこんなシステムを構築するんですかね。できないことをできるようにする教育機関、それが学校なのではないのでしょうか。
そもそも実力主義の学院に入学できる時点でエリートだと思うのですが、わざわざ見下される役を同じ機関内に用意する必要があるのでしょうか。
それなら別の、貴族のみ入学できる学院とかと絡ませればいいと思うのですが、イキった相手を返り討ちにするのがなろうの風物詩なので、まあこれでいんじゃないんでしょうか。わからんけど。
その後Dクラスとの合同演習として迷宮探索に行くことになりますが、その際Dクラス担任のエッカルトの罠にはまるアイン。並みの学生なら死にかねませんが、余裕で突破します。その後迷宮内で襲ってきたカマセ君を返り討ちにします。
十割がたエッカルトたちに非があるこの一連の騒動ですが、結果的にDクラスの生徒のみが負傷したことを理由に、エッカルトはアインたちを告訴しようとします。
ここで学院長の話をします。学院長のフェルゼンは陰の支配者であるネティアと、その指示でアインが入学したことを知っており、ネティアとアインの顔色を窺っている状態です。なのでエッカルトの無法について学院長に相談すれば万事解決するのではないかと思いました。
しかしアインは、フェルゼンを極力頼るなとネティアから言われているそうです。
いわれもなく一方的に害そうとし、返り討ちにしてもあの手この手で妨害してくる存在を追っ払うのは十分な理由だと思うのですが、なんか相談しないそうです。なんでだ。
しかしこのままでは冤罪で退学になってしまう。この危機に対してアインが打った起死回生の一手とは……!?
実力主義を目指した当学院には決闘制度がある。これを利用しよう。
あらかじめ条件を提示し、勝った方が提示した条件を飲ませることができる制度です。
当初の目立つなという言いつけを守る気がないようですね。
決闘の結末ですが、Dクラスの生徒を瞬殺した後エッカルトに決闘を挑みます。当然勝ちます。
その後学院長の指示で緘口令が敷かれ、アインが決闘で教師を打ち負かしたことは広まらなかったそうです。作者が広まらなかったといったから広まらないのです。そういうものです。
というか最初から学院長に言っておけば長々と格下をいたぶる展開を書く必要がなかったのではないでしょうか。
まあ悪手に見えても作者の都合を利用した戦術なので、これもありです。興ざめですが。