追放王子の異世界開拓!~の感想
ネットの某所にて、このような書き込みを見ました。
批判が書かれた感想に反論しただけでは飽き足らず、荒らし認定してブロックしている。
一体そのような所業行う作者の作品とはどのようなものなのか、怖いもの見たさに読んでみました。
本作の舞台はなろうおなじみの中世、ナーロッパです。ブラック企業に勤め過労死した男が、女神の頼みで異世界転生……要するにいつものです。
女神が転生させたのには理由があり、それは文明の発展具合がポイント化されており、ポイントが高いほど仕事ができるということで上司に評価されるとかなんとか。
女神が主人公を選んだのにも理由があります。主人公はゲームが得意だからです。ゲームの中で内政とか外交とか軍事とかやっていて、文明を発展させるのに適任だから、だそうです。きっと転生先の世界では為政者が内政ボタンや軍事ボタンを押して国を発展させているんでしょうね。
転生の際、主人公は女神に条件を出しました。文明を発展させるなら、それ相応の地位のある人間に転生させてくれと。ここでの要望は当然なものと思います。転生先がスラムの孤児とかじゃハンデがあるというレベルではありませんからね。その考えに女神も思考能力の良さを感じたそうです(原文まま)。女神は転生先を吟味しますが、女神の行動に対し主人公は
もっと計画的に行動しろよ。こっちは無理難題に挑むのにさ。そんなんだから営業成績が悪いんだよ(意訳)
理不尽な人生から一転やり直させてくれる恩人(神)に対する態度がこれである。ブラック企業とはいえ、社会経験を積んだ大人の考えることなのでしょうか、これが。
ちなみに「文明を発展させたいなら、ブラック企業でぼろ雑巾にされた後引きこもりゲーム三昧になる男じゃなくて学者を転生させればいいんじゃないの?」と思われる方もいるでしょう。本作でもその部分に対して言及されており、曰く「学者は地球と同等の文明を目指すが、人の一生は短いため再現する前にしんでしまう」とのこと。研究結果などを後世に残したり、それを継ぐ人間が現れたりしなかったようです。
……もう現地人の気質からして文明の発展は無理な気がするのですが、気のせいでしょう。
それと、女神は文明の発展に何も力を貸さないのかと思う方もいるでしょう。女神曰く、直接政治に介入したり文明を発達させるのはルール違反らしいです。でもギフトという形で特殊能力を人々に与えるのはOKらしいです。ちなみにギフトの内容ですが、アイテムボックス(別空間に荷物をしまっておける能力)がその一例です。その能力をばらまけば輸送の面で文明が発達しそうですが、みんな持っているわけではないからルール違反にならない……のかな?ならないんでしょうね。まあ考えても無駄ですね。
それで転生後の話なんですが……赤ん坊の時に次から次へと神様が来て魔力やらギフトやらをいちいち渡しに来る。それが2~3話ほど続くんですね。転生前にいっぺんに渡しておけよと、話の序盤なのに字数稼ぎを疑いました。
主人公、二歳。常人の約百兆倍の魔力をもらった主人公は魔法の練習をしていました。でもあまりに魔法がすごすぎて魔法の先生はもう教えることはないと辞めてしまい、破壊した訓練場の修理に金がかかると父である国王に叱られてしまいます。
それに対して主人公、「ちょっといいところを見せようと張り切っただけ」
……だそうです。常人の百兆倍の魔力と、前世の二十二年間の精神を受け継いだとはとても思えません。魔力の暴走や暴発のことを考慮しないのでしょうか。でもまあ、女神たちも主人公はいい奴だと言っているし、主人公も元社会人の二十二歳の好青年と自負しているのならそうなんでしょう、きっと。
しかし主人公でも使えない魔法がありました。雷魔法です。これが使えることにより主人公が成長したエピソードとして書こう、ということでしょうか。
そもそもなぜ雷魔法が使えないのか。主人公は雨雲を発生させ、その雨雲から雷が落ちるイメージをしていたそうです。しかしここは異世界。地球とは法則が異なるため使えないと女神は言います。
ではどうすればいいか。さっき火属性魔法を使ったときは「火よ出ろ」と念じればできました。それと同じく雷がドン!とでるイメージをすれば出るそうです。当然それで使えるようになりましたとさ。
……もうさすがに書くのがつらくなってきたのでここでやめます……。
この後は主人公に肩入れしてた女神はやっぱり違法だったようで審判にかけられたり、なんやかんやで追放された際それまで仕えていた召使や兵士が全員逃げ出すという人望のなさが露呈したりするので、興味がある方は読んではいかがでしょうか。
今なら批判意見に対する作者のユーザーブロック宣言も見ることができます。
作中で魔力は赤血球のようなものと形容されていますが、赤血球は正常値より高値の場合、上昇した粘稠性により疾患を誘発します。常人の百兆倍の魔力を持つ主人公に何の異変も生じないのに何か理由があるのでしょうか。