パワハラ会議で追放された召喚士、旧友とパーティを組んで最強を目指す~の感想
設定に説得力がみられない系の話です。
主人公のアルトは冒険者学院を首席で卒業しました。
しかし冒険者は一攫千金を狙えるが死と隣り合わせ。故郷に残した母のために、安定した給金がもらえるギルドの職員を志望しました。
そんな境遇だったのなら最初からギルド職員になるための学校に行けばよいのでは?そんな読者の不安が的中し、ギルドで碌な目に会いません。
タイトルに「旧友」とついている通り、主人公は冒険者学院時代に友達がいたらしいのですが、誰一人として彼の杜撰な人生設計に意見した者はいなかったのでしょう。
彼は貰おうと思えば学院長から有名ギルドへの推薦状を貰える立場でしたが、その誘いを蹴った結果C級ギルドに配属され、上司からパワハラを受けることになったのでしたとさ。
傍から見たらさっさとギルドを退職して冒険者になればいいと思われますが、新人は毎年配置換えが行われるためその時まで我慢するそうです。
しかし転属前にギルド長からクビを宣告されます。理由は農民の生まれだからとのこと。
「だったらとっととクビにすればいいだろう」「その理由が通るなら最初からギルドに入れるな」といった突っ込みが入りそうですが、ランキングに上ってくる小説もどきは大体こんなもんです。見慣れました。
失意のまま帰宅すると、かつての旧友がサプライズで誕生日を祝ってきました。
理由を伏せてギルドをクビになったことを伝えると、皆一斉にアルトの心配よりクビにしたギルド長を罵倒します。
いくら仲の良い設定や有能な設定をしても、細かい会話からそのことを読み取ることができないのはなろう小説の特徴です。
その後旧友の一人と模擬戦をすることになったアルト。方や一年間のブランク、方や一年間修行に明け暮れた旧友。
普通なら主人公が負けるような設定ですが、なろう小説にて主人公の敗北はご法度。描いた瞬間観客席から鉛玉のような罵声が止むことなく降り注ぐことになります。
そのため結果は主人公の圧勝。超高密度の雷と大量の火炎塊であたり一面を焦土に変え、並の人間なら簡単に死ぬような猛攻を旧友に浴びせました。人でなしが。
新たに冒険者として活動を開始したアルト。ギルドにてかつて懇意にしていた大物たちと遭遇します。
彼らはアルトに対して少なくない恩があり、皆アルトの機嫌を取るかの如く持ち上げます。
しかしギルドをクビになったことを知った瞬間、一斉にギルド長を破滅させるために、まるで統率の取れたロボットのごとく動き始めます。作者の操り糸が丸見えですね。
その後お偉いさんはギルド長に、アルトがクビになった理由を詰問します。
農民上がりだからクビにしたと答えると、それは完全な不当解雇であると突っ込まれます。
なのでアルトは不当解雇であることをお偉いさんに報告すればそれで終わりだったんですね。
一応主人公は冒険者学院を首席で卒業したという設定があるのですが、結局この小説は全体的に設定という設定は全てお飾り同然でしたね。
作者の都合一つで意味が変化していく設定。付き合っていくのが馬鹿馬鹿しいのでここで読むのをやめました。
読むのはあまりお勧めしません。