初級職【アイテム師】を追放したS級パーティの評判が世間で地に落ちているようだ~の感想
初級職である【アイテム師】の主人公ガイウスは、戦力不足を理由にパーティをクビになります。
あえてランクアップとやらをしないようですが、しない理由はどうせ理解されないから説明しないようです。しろよ。
主人公側もカップル二組と同行するのは居心地が悪いと思っていたので、パーティから離れるのは賛成のようです。
別に恋愛禁止を言い渡されているわけではないので勝手に恋人を作ってもいいと思うのですが、どうせ作らないのではなく作れないんだろうということは想像に難くないですね。
本作品では主人公を追い出したというわけではなく、むしろクビにしたことを悪いと思っており結構な量の退職金を支払ったようです。
よって追放した側にそれほど悪印象を抱かないため、それほどひどい目には合わないんだろうなと思いました。
しかしそれは普通の小説の場合の話です。これはなろう小説、そんな生半可な感性をもって読み進めると痛い目を見ます。
主人公をクビにしたパーティは宴会の後、自分たちの屋敷に帰りました。
しかし屋敷の中や庭にはガイウスが今まで貯めていた道具や魔物の素材であふれており、ドアを開けた瞬間いろいろなアイテムがなだれ込んでくる有様で、とても屋敷で生活できる状態ではありませんでした。
あの、まだ2話の初めなんですけど……こんな早い段階で追放側ではなく主人公がクソ野郎だと分かるって、何を考えてこのような展開にしたというのでしょうか。
いくら主人公が良かれと思ってやったとしても、常識的に考えて迷惑以外の何物でもないことが分からないのでしょうか。
しかしなろう界ではどんな理由があろうとも追放は殺人と同様にやってはいけないこと。
そんな訓戒を表すかのように今後さらなる苦難がパーティを襲うことになります。
拠点にある大量の素材を売却するため、パーティは商人を拠点に連れてきました。
しかし大型魔獣の素材は城で買い取る上、募集をかけているとき限定だと叱られます。
拠点には大型魔獣の素材以外もあるのですが、なんか責められるような言い方をされます。
中型の魔物の素材を売却しようとするとどれも粗悪品であり、粗大ごみのごとく金を払って処分するしかないと言われます。
結局売却できる物はなく、時間を無駄にした商人は「ガイウスならこんな馬鹿な真似はしない」と言い残し去っていきました。
なろう特有の主人公上げを頑張っているところ悪いのですが、その粗悪品を残していったのは他でもないガイウスなんですけどね。商人さん。
で、商人に迷惑をかけたパーティの悪い噂は、瞬く間に王都の町中に広がったそうです。
日本で例えるならゴミの日を間違えたために村八分に会ったようなものでしょうか。まったく、主人公以外にはディストピアですね、ナーロッパは。
次にパーティはアイテムポーチを作ってもらうために鍛冶屋に行きましたが、作成の費用を聞いてぼったくりだと思いました。
今までパーティ内で金を出し合ってアイテムを買っていたという記述が一話で出てきているんですが、なぜ彼らは物の価値が分かっていないのでしょうか。
ああそうですね、作者による知能デバフがかかっているんでしょうね。どうせ。
その後初級回復薬を売ろうとして、またもや叱られます。もう何をしても叱られるとか、なろう小説の作者の呪いは恐ろしいですね、まったく。
この世界でかすり傷のような軽いけがに対し、重傷を治すような回復力の大きい薬を使うと『過剰回復』となり逆に傷がつくようです。
これは薬だけでなく魔法にも適用される法則であり、パーティ内に居る【上級僧侶】も知っていましたが、何故か他のパーティメンバーは知らなかったようです。
冒頭でも言及しましたが、このパーティには主人公以外カップルしかいないんですよ、これで。
作者は恋人とかいらっしゃらないんで……あっ、失礼しました。
以下の文章は私の想像がほとんどの、蛇足と言っていいような内容のため、読む方は注意をお願いします。
ここからは私の勝手な想像なのですが、本作品は作者の実体験を基にしたものなのではないかと考えました。
というのも、いままでの追放系では追放した側が追放したことによって事態が好転すると思っているのですが、この作品では追放したメリットみたいなものが全く見えてこないんですね。
主人公より強い奴を見つけたから入れ替えのためとか、無駄飯喰らいを追放して財源を確保するためとかそういった理由ではなく、庇って戦えなくなったからという理由です。
戦いに参加させずに裏方として働かせればいいと思うのですが、そのような機転は作者の都合により握りつぶされます。
次に主人公は代えの利く存在であるということが理由として挙げられます。
主人公が今までやってきたことは『初級職』という、なんか誰でもなれるような職業なんですね(具体的にどうやったらなれるとか記述はないですが、どうせ作者は考えてないでしょう)。
パーティが抱えた問題を現代で例えたら、掃除のおばちゃんをクビにしたせいで施設内がホコリ塗れになったとか、コンビニのバイトをクビにしたせいで棚に商品が補充されなくなったとか、要するに代わりを雇えば即解決するような問題ばかりなんですね。
なんか作者の実生活が透けて見える気がしますが、想像すると寒気がするので止めておきます。
そして作中には「戦闘や恋愛にうつつを抜かしていたから(素材の売買などが)できないのだ」みたいな記述があります。
やっても悪いことではないのですが、まるで悪事を働いたかのように記述されます。
でも自分も恋人が欲しいというのが本音か、主人公もパーティ内のカップル二組を羨むように恋人を欲しがっています。
しかし追放後に「どう見ても気がある(本文からそのまま引用)」女性冒険者からパーティを組まないかと打診されるも、相手の好意に気が付かない主人公。何がしたいんだよお前は。
概して、「恋人がいるリア充どもは役に立たない奴らばかり!裏方として地味に仕事をしていた俺の方が偉い!恋人は欲しいけど、恋人と認めると自分も同じ穴の狢になるから好意を持たれた相手には鈍感キャラで通すぜ!」といったところでしょうか。
まあ、すべて私の想像にすぎませんが。