【悲報】生殺与奪の権を竜に握られた人類、竜国の使者を「田舎者」呼ばわりしてしまう~の感想
古き時代、人類と竜王族は古の盟約を結び、お互いに不干渉を決め込みました。
しかし時代の変遷とともに人々は盟約を忘れ、次第に竜王族の領地に侵入するようになりました。
それに憤慨した竜王族の長は人々を滅ぼそうとしましたが、竜王族の中にも人間を信じる者が存在し、彼らは人間の滅亡に反対しました。
そこで竜王族に育てられた人間であるアイレンを人間社会に送り、人類は存続させるに相応しいか否かを判断しよう、というのがあらすじです。
それでアイレンはどのように見定めるというかという話ですが、王都学院という所に入学するそうです。
この王都学院、実力主義を謳っていますが、この世界の人間の強さは血統によるところが大きいらしく、貴族専門の学校と言って過言ではありません。
当然尊大な態度をとられて馬鹿にされますが、どうせ主人公の実力を見て手のひら返しをする前触れであることは想像に難くないでしょう。
入学試験として最初に筆記試験を行いましたが、出来るのは読み書き位であり、歴史やその他の貴族に必要だと思われるような問題には全く歯が立たなかったそうです。
試験終了後に試験監督から馬鹿にされるアイレン。そりゃ貴族専門の学校に貴族じゃない奴が来て、筆記試験がボロボロとなれば冷やかしにしか思えませんよね。
普通ならそこで足切りされるのですが、なろうだからね。いつものように実技試験の方が重視されるらしいです。
だったら筆記試験なんかやる必要ないだろうと常々思うんですが、字数稼ぎのつもりでやっているんでしょうか。
まあ、他の作品がやっていたから俺もやろうみたいな短絡的な動機以外存在しないと思いますが。
肝心の実力試験ですが、滅茶苦茶頑丈な岩に攻撃する試験のようです。
どれくらい頑丈かというと、卒業しても傷をつけられない生徒がいるくらい頑丈らしいです。
(実力主義とはいったい……)
当然ナローシュは破壊します。それを見た周りの受験者は不正を疑います。
そこに学院長と、主人公の姉であり竜王族であるリリスルが登場。
学院長は竜王族の恐ろしさを知っており、不正と騒がれるアイレンを見て激怒しそうなリリスルを宥めるため、その場で合格を宣言しました。
このシーン、校長がモンペに屈したようにしか見えません。
その後、学院長とアイレン、リリスルの三者面談が行われました。
そこでアイレンが入学に至った理由が語られます。
竜王国の森を勝手に荒らし、蓄えた宝や竜の卵を盗む人類を絶滅させるか否かを、学院にアイレンを入学させることによって判断するというものでした。
それに対し学院長曰く、賊の取り締まりはやっているが、それでも漏れが生じると。
そもそも竜王族側が賊を生かして返すくらいなら、そちらで裁きを下せばよいのではないか、と。
しかし竜王族側は、人間の処分にこちらがコストを支払うのは嫌だと駄々をこねます。
ちなみに竜王族というのは単独で国を滅ぼすことができるほどの力を持っています。
人間を裁くのは豆腐を握りつぶすより容易だと思うのですが、それは面倒だけど滅ぼすのは容易だそうです。人間の私にはよくわからない理屈です。
そもそもの話、古の盟約という割に破った際に罰則が存在しません。だから竜王族は侵入した賊は捕らえたら生かして返してきたようです。
しかし賊からしたら宝を持って帰れたらラッキー、見つかっても生きて帰れるからリスクはない、こんな状態なら盟約なんか破るにきまってますよね。
というか、古の盟約の存在自体王族や上級貴族にのみ語り継がれ、下々の者は知らないそうです。
で、お偉いさんは竜王族を怒らせたら大変なことになるのは知っていましたが、そのことを今まで広めなかったそうです。なぜかって?作者の都g……
それで今回アイレンの入学を知ったお偉いさんは慌てふためきましたが、それに対する作者の語りが、
「結論から言えばその教育を中級以下の貴族や市井にまで広げるべきだったのだが、もう遅い。」
だそうです。
手遅れなのは作者のストーリーの構築力でしょ。
竜王族の真意を知った学院長は、事の真相を生徒に伝えようとします。
しかしリリスル曰く、竜王族を恐れる人々を裁定しても何の意味もないから、王族や上級貴族以外には広めるなとのこと。
「だったら学院に来るなよお前」とは口が裂けても言えない学院長に代わって私が突っ込むことにします。
ちなみに主人公は王侯貴族のお偉いさん方の息子や令嬢が集まるクラスに配属されました。
同級生の中には王太子がいます。でも彼はアイレンの正体はなぜか知りません。
おそらく作者は「オウタイシ」の意味が分からなかった……から……えー……
多分作者はそこまで考えてないでしょう。そうに違いない。
その後カマセキャラが登場し、作者がこれ見よがしに、如何に愚かであるかをネチネチと綴っています。
悲しいことに、どれほど頑張って描写しても人類の蛮行に対し何ら対策を行って来なかった竜王族の方がよっぽど愚かであるとしか思えません。
本作品で一人だけ比較的まともなキャラがいます。アイレンのもう一人の姉のミィルというキャラです。
彼女は人間に対して侮蔑的な言動はせず、人間が自分たちに排他的であるのは弱さから来るものであると理解し、人間との共存を維持しようとしました。
なんで人間である主人公より竜族の方が先に人間に理解を示す展開を書いたのか、これもうわかんねえな。
ちなみに竜王族特有の禅問答というのがありますが、その実、衝撃波で気を失ったら負けの根性試しです。
作品内では「気を失ったら論破」と書かれています。
どうしてこうもなろう小説にでてくる人類を滅ぼそうとする人外共はまともな会話ができないのでしょうか。