人脈チートで始める人任せ英雄譚~の感想
本作の主人公は人脈を武器とし、強力なメンバーを集め最強の冒険者パーティを結成。そして数々の偉業を成し遂げました。
しかし国王は「腰巾着」と呼び、主人公のネットを省いたパーティを国のお抱えのパーティとしました。
一応ネットはパーティのリーダーなのですが、なぜ腰巾着と呼ぶのか。
多分作者が思いついた精一杯の侮蔑の表現を使いたかっただけではないかと思いますが、そんな事よりも突っ込みどころが多数存在するので置いておきます。
パーティメンバーはS級の冒険者の集まりである中ネットだけはA級であり、一人だけ実力が劣ることを理由に追放されました。
ネットがE級の弱小冒険者であるというならともかく、一段見劣る程度であるなら許容してもいいのではないのでしょうか。それもリーダーとして団を率いているのだから。
追放を宣告されたネットは国王に忠告します。
メンバーは確かに強いが、問題児でもあり自分が制御しないと大変なことになる、と。
それに対し国王は嘲笑し、改めてネットを追放しました。当然ですが。
ここで読者の方は「どうせネットは超強力な支援スキルを持っていて、追放したらパーティが役立たずになるんでしょ」と思われた方がいるでしょう。
なんと本作、そのような今まで散々使われた陳腐な設定ではありません。
じゃあどのように戦うのか、追放された後の話を見てみましょう。
追放された後、ネットはとある人物と出会いました。
その名はユリウス。ネットの代わりにパーティリーダーに任命された近衛騎士です。
ユリウスは王女殿下と結婚することが夢のようですが、ネットは彼に対し軽蔑の目を向けます。
ネットは彼を俗に塗れた小物だと思ったのでしょうか。しかし同時に、王女はネットに対し熱烈な好意を向けていることが分かりました。
ネットもその人脈チートを国王に向けていれば追放なんかされなかったと思うのですが……
ユリウスと同様に俗に塗れていたから足元をすくわれたのではないかと思いますが、後に王女を手に入れる展開があるのは予想に難くないので気にしません。
なるべく国王から離れたいと他国行きの船に乗ったネット。
途中の海域にクラーケンが発生したため、A級以上の冒険者や公的機関の者しか乗れないそうです。
ネットはA級冒険者であるため問題なく乗れました。
しかし、船上での他の冒険者との会話で、実はE級の実力しかないことが明かされます。
命がかかっているというのに戦力詐欺のようなことをしていたならば、国王どころか周りから非難されてしかるべき事案なのですが、何故か国王とユリウス以外に主人公を嫌悪するキャラが出てきません。
やっぱり好感度いじるチートしているでしょ、君。
船旅の最中クラーケンと遭遇したネット達。
自分は戦力外だからと高みの見物をする外道を尻目に冒険者たちが戦いますが、戦力が足りずこのままでは海の藻屑となってしまいそうでした。
しかしネットが笛を吹いたとたん、突如現れた人魚がクラーケンを袋叩きにした後海の底へと沈めました。
この世界の人魚は人間と互いに嫌悪しており、顔を合わせるだけで争いが起きるそうですが、ネットは人魚たちと盟約を結んでいるために力を貸してくれるそうです。
人魚が戦ったことに対する報酬はリンゴだそうです。
もう一度言います。リンゴを対価とすれば人魚が力を貸してくれるそうです。
そもそもなんでお互いに毛嫌いしているのか、険悪な関係をネットはどのように修復したのか、互いに利益がある関係を築ける者がなぜいなかったのか、一切語られません。
理由としてわかっていることはただ一つ、主人公が人脈を築いたからということだけです。
人脈が築けたからといっても他の人間が恩恵を受けられるように手を回すといったことはしなかったようですね。ナローシュだから当然の行動ですが。
クラーケンを撃退した功績が他国の耳に入り、ネットはその国の王女と謁見することになりました。
(撃退したのは人魚の功績だって?知らんな)
ネットも謁見を望んでいるそうですが、その動機がいざという時に助けてくれるから、だそうです。
王族が力を貸したら何を対価に支払うんでしょうかね。バナナかな、スイカかな。
そして王女との謁見。ネットが人脈を築くためのテクニックが明らかになりました。
貴族や王族は堅苦しい環境にうんざりしていることが多いから、気軽に話したいと思っていることが多い。
でも敬語は使った方がいいだろう。
以上です。
これであなたも今日から人脈マスターになれるでしょう。ぜひ使ってみてください。
ちなみに王女殿下に対して一応の敬語は使っていますが、ノリが先輩に対する話し方でした。
その後武勇伝がききたいと懇願する王女殿下に対し、他人の功績を我が物とするかのように語る主人公に嫌気がさしたので読むのをやめました。
ちなみにネットが抜けた後のパーティは、戦闘で町を破壊したり、むやみに死者をよみがえらせたりとやりたい放題して国王を悩ませたそうです。
きっと対価を支払わなかったからそのような結果になったんでしょうね。
知らんけど。