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この世界の裏側で誰かが何かをしている〜最強のモブと自重出来ない美少女双子妹〜  作者: 涼月 風
第三章

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第59話 私をチャペルに連れてって





 放課後、学園長の依頼で学園内にあるチャペルに向かった俺は、編入してきたストーカーアイドルこと連城 萌に捕まり、仕方なく一緒に行く事になった。


「ねぇ、どこにあるのよ。そのチャペルって」


「弓道場の裏だそうだ」


「その弓道場ってどこにあるの?」


「多分、こっちだ」


「もしかして、霞 景樹も知らないの?」


「ああ、俺もこの間編入してきたばかりだからね。ところで、その呼び名どうにかならない?選挙に立つ立候補者みたいで気になるんだが」


「そう?私は平気よ。むしろ、周りのみんなに名前を知ってもらえて嬉しくない?」


 嬉しいわけないだろう。こちとらモブとして生きていきたいんだ!!


「嫌、嬉しくない」


「そうなの?じゃあ、霞、なんか間が抜けてるわね~~、景樹、う~~んこっちだと厳つくてあんたのイメージに合わないわ」


 失礼な。両親がつけてくれた名前だ。両親に謝罪しろ!てか、俺に謝れ!


「よし!霞 景樹のことは今度からあんたって呼ぶわ」


 名前ですらないよね。


「ねぇ、あんた?」


「なに?」


「うんうん、ピッタリくるわ」


 この感じ、熟年の夫婦みたいで気に入らないのだが……


 その時、前から女子生徒が歩いて来た。

 連城 萌がアイドルだとバレたみたいだ。


「キャッーー萌ちゃんじゃない」

「この学校に編入したって噂本当だったんだ」

「サイン下さい」

「一緒に写真撮って~~」


 こいつは人気だけはある。

 みんな頭がおかしいのでは?


「すみません。先輩方。今はプライベートな時間なのでご遠慮させて下さい。そのかわり、お声をかけて下さればライブのチケット用立てて頂きますわ。それでは、ご機嫌よう」


 綺麗なお辞儀をしてその場を離れて行く。


「誰!?」


 猫被りすぎだろ~~う。


 俺が引いた眼でジッーーっと連城 萌を見てると


「あんた、何見てんの?お金取るわよ!」


「おまえさぁ、猫何匹飼ってんだ?」

「猫は飼ってないわ。そんな余裕家にはないし」

「余裕ないって言って、チケット用だてるなんて矛盾してないか?」

「勿論、お金は頂くわ。手数料込みでね。慈善事業じゃあるまいし」


 何言ってんの?みたいな顔をしなくとも良いと思うが……

 そうだ。こいつはそういう奴だった。


「そう言えば、あんた。レイプ犯なんですってね。みんなが言ってたわ」

「違う!それは誤解だ」

「そうなの?あんたがレイプ犯でもお金をくれれば私は気にしないわ」


 どうしてそう言う思考になる?

 猿だからか!


 俺は昨夜の事をきちんと話す。

 こいつにレイプ犯と思われてても気にしないが、妹の桜ちゃんに誤解されたら生きていけそうにない。


 そんなこんなで学園を歩いていたらチャペルが見えてきた。

 チャペルの前では、女子達がスマホを持って騒いでいる。

 撮影者の女子もいるようだ。

 被写体の女子は、意味のわからない踊りをしている。


 咄嗟のことで、近くの植え込みに隠れてしまった俺は、その様子を見ていた。

 隣には、頭に葉っぱを乗せたアイドルがいる。


「なあ、何であんなところで踊ってるんだ?」

「知らないの?Tyaki Tyakiにアップしてみんなに見てもらうためよ」

「何だ?そのチャキチャキって?」

「はあ~~これだから、田舎者の鈍感クソださメガネは~~」


 言っていい事と悪いことがあると思うが……


「とにかく今流行ってるの?」

「そうなんだ」


 後で陽奈か瑠奈に聞いてみよう。


「しかし、もっとキレ良く踊れないのかな~~」


 そういえば、こいつ、キレっキレっのダンスをテレビで踊ってたな。


「違うわ。そこは、こうよ!」


 植え込みに隠れながら暴れて欲しくないのだが……


「そうそう、そこよ!はい、はい、タタタン」


 もう、こいつ放っておこう。


 チャペルの前で踊っていた5人の女子達は、完全にこっちを見ている。

 もう隠れているのがバレバレだ。


「まさか、痴漢?」

「盗撮じゃない?」

「嘘、通報した方が……」


 そんな声が女子達から聞こえてきた。

 これ以上、あらぬ誤解を受けたくない。

 いくら誤解とはいえ、レイプ犯に痴漢、そして盗撮魔。

 これだけそろっていたら、いくら何でも冤罪から無罪を勝ち取れる保証はない。


「おい、お前のせいでバレただろう?何とかしてこいよ」

「嫌よ。私はプロよ。踊るならお金をもらうわ」

「俺が何か奢るよ。それでいいだろう?」

「そうね~~わかった。貸しひとつね。その方が良い気がする」


 そう言って立ち上がった連城 萌は、踊りを撮影していた女子達の方に向かった。


「こんにちは。先輩方のダンスが素敵だったので見惚れてしまいました。騒がしくして申し訳ありませんわ」


 そんな猫っ被り全開の声が聞こえた。


「キャッーー、萌ちゃん?」

「わーーすごい」


 そんな女子達の声が聞こえてきたと思ったら、暫く話をしていて気がついたらみんなで踊ってた。


 これ、調査できないよね……


 俺は、諦めてその場から離れる。

 ふと振り返って連城 萌と女子達を見たら、今度は違うダンスを踊ってた。




 踊り狂っている連城 萌を放っておいて家に帰ると、桜ちゃんが既に来ていて勉強していた。

 今日の担当は、庚 絵里香と結城 莉愛夢だ。

 嫌な予感しかしない。


「兄様、どうかしたのですか?」

「瑠奈、ただいま。大丈夫、何でもないよ。陽奈は何してるの?」

「実は、えーっと、その~~」


 瑠奈がごにょごにょ言うなんて珍しい。


「まさか!」


 俺は、陽奈の部屋に駆けつける。


「あっ……」


 背後で瑠奈の声が聞こえたが気にする事はない。

 俺は、ドアをノックして陽奈の返事がくる前にドアを開ける。


「あっ、お兄……」

「陽奈……」


 バツの悪そうな顔をする陽奈。

 やはりか……と思う俺。


 陽奈の周りには、猫、犬、カラス、鳩、雀‥‥エトセトラ・エトセトラ……


「陽奈、ここは動物禁止だぞ。茜オバさんにバレたら怒られるんだぞ」


「へへへへ、バレちゃった。ちょっと、情報交換してただけだよ」


「そうなんだ、それなら仕方ない‥…なくない。猫や犬、鳥ならわかるけど何で猿がここにいるんだ?」


「近くの動物園から逃げてきたんだって。虐められているみたいなんだ」


「そうか、そんな酷いことを……違う、そういう話じゃない」


「もう、さっきからお兄はうるさいよ。何で頭ごなしに怒ってるのさ」


「だって猿ならまだしもその大きなニョロニョロした奴は何でこんなところにいるんだ」


「飼い主が今日ご飯のハツカネズミを忘れて出かけちゃったんだってさ。お腹が空いたみたい」


「腹が空いたのなら仕方ない……なくない!」


「お兄、一人でノリツッコミしてて虚しくならない?」


「お兄ちゃんがこうなったのはみんな陽奈のせいです。とにかく解散してもらえよ。桜ちゃんやうちのクラスの女子にバレたら大変だろう?」


「「何が大変なの?霞君」」


 そこには、後ろから俺の肩に手を乗せている庚 絵里香と結城 莉愛夢がいた。


 マジですか~~





 バレた……

 陽奈が動物と話が出来ることを……


「わーー可愛い。キャッ、大きな蛇もいるのね」

「蛇は怖いけど、他のは可愛い。動物園みたい」


「蛇も大人しいよ」


「そうなの?でも何でここにいるの?」

「マンションの住人のペットを預かっているの?陽奈ちゃん優しいね」


 えっ‥‥そんな理由でいいの?

 助かるわ~~流石、空気の読める結城 莉愛夢だ。


「そ、そうなんだ。頼まれちゃって~~えへへ」


 陽奈もこのビッグウェーブに乗ったな。

 賢い奴だ。


「そうだ桜ちゃんも呼んでこよう。喜ぶよ」

「そうだね~~陽奈ちゃんいい?」


「も、もちろん」


 陽奈、俺の顔を見て返事をするな!

 もう、この波に乗るしかないのだから……


 それから桜ちゃんも来て、暫くみんなでワイワイ楽しそうに過ごしていた。


 女子達、蛇怖くないの?


 俺は、瑠奈が入れてくれた番茶をみんながいなくなったリビングですする。

 すると、喉が乾いたらしく、陽奈もやって来て俺の隣でお茶を飲見始めた。


「お兄、大丈夫だったね」

「ああ、良かったよ。でも、陽奈。罰として夕飯のおかわりはナシだからな」

「えーーっ、酷ーーい。せっかく遊びに来てた鶏が卵産んだのに~~。卵かけご飯で三杯はいけるのに」


「鶏もいたんかい!!」


 今日、桜ちゃんの勉強が捗らなかったのは言うまでもない。





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