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FIVE  作者: AkIrA
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27/42

27:後悔

残酷な描写あり

『えっ…と、はし…き?』

『みずき。みずき、れんって読むの』

『みずきれん、か…綺麗な響きだな!』



それはアナタと初めて交わした会話。

髪色に比例するかのように、明るく太陽の様な人だと思った。



純粋に、邪な気持ちなんか無く。

アナタの近くに居たいと思った。






『瑞樹、教科書見せて欲しいんだけど…』

『良いよ』

『サンキュ。』



笑顔が眩しくて。

一緒に居ると幸せな気持ちになれた。


その頃の私は両親を亡くしたばかりで、笑い方さえも忘れかけていた。

そんな私に笑顔を思い出させてくれたのは他でもないアナタだった。




『瑞樹ー、教科書…』

『また?本当に岡野君、忘れ物多いよね…』

『う‥っ、怒ってる…?』



恐る恐るといった感じで訊ねてきた彼。

その仕草が余りにも可愛らしくて、私は笑ってしまった。



『怒ってないよ、』

『良かった。じゃあこれからも忘れてきたら見せてくれる?』

『良いけど…自分で持ってくる努力もしてよ?』



そう返すと、彼は黙り込んだ。

暫しの沈黙の後彼が出した答えは…



『嫌だ…』

『何で?』

『だってさ、持って来たらこうやって瑞樹に見せてもらえないだろ?』




そっぽ向きながら応える彼の耳は心なしか赤かった気がする。




『結構、楽しみなんだ…こうやって瑞樹と話すの。』




私の顔もきっと赤かった。

だって嬉しかったから。

キヨ君のその言葉が…














『好き、なんだ…瑞樹の事…』



放課後呼び止められて。

二人きりになった教室でそう告げられた。



『俺と、付き合ってください。』



その温もりの傍に居たくて、私は頷いた。

友情と愛情の区別も曖昧なまま。

ただ兄を慕う妹の様な気持ちで、私はキヨ君の傍に居ることを承諾したのだ。




『やった!』




嬉しそうに笑う彼に、自分の決断は間違ってなかったのだと思った。





『これ、何?』

『プレゼント…今日クリスマスだろ?』





付き合って初めてのイベント。

手渡されたのは可愛らしいガラス細工の指輪。

両親が死んでからそんなイベントめいたことなんて忘れていたからとても嬉しかった。




『じゃあ、コレお返し。』

『くれんの?』

『うん。』

『ありがと、瑞樹!』




あげたのは、街で偶然見つけて衝動買いしたネックレス。

何となくキヨ君に似合うだろうな、と思って買ったのだ。

彼はそれを肌身離さずつけてくれていた。



シャツの下にちらり、とそれを見るだけで幸せな気持ちになれた。




アナタと過ごした日々は、とても幸せだった。





でも今は。

アナタが私を選んだことを、とても後悔している。

私がアナタを選んだことも、とても後悔している。




出会わなければ、アナタが今傷つくことにはならなかったかもしれないのに。





















「キヨ君!!もうやめて!!」



近づこうにも風によってそれは阻まれる。

無理に突っ切ろうとしたら、風圧がさらに増して後に飛ばされた。


彼が何をしようとしているのか。

それは想像も付かなかったけれど、嫌な予感がした。




「キヨ君…っ、」

「瑞樹…」




名前を呼ぶ声がはっきりと聞こえた。

少しだけ、彼が振り返った。


口元に、笑みが浮かんだ。






























「          」
































口の動きが五文字の言葉を紡ぎ出した。

それが最期。





キヨ君の姿は私の視界から消えた。























































「遺言は、終わり?」



ぺたり、ぺたりと裸足の足が岡野に近づく。

血塗れの手で岡野が地面に書いたのは凪から教えられた陣形。

それを中心として風の刃が捲き起こった。




「あぁ。思い残すことは無い…」




砂を巻き上げ視界は白く煙る。

風の刃が明鈴の頬を傷つけた。


しかし、同じ様に岡野の体にも切り傷が出来ていく。




「どういうつもりなん…?」

「これは禁術だよ…」




ぱさり、と明鈴の髪留めが切れ長い髪が下に落ちた。

岡野の腕がざくり、と切れ血が噴出した。




「禁術…?」

「術者もろとも、葬られる…」

「アンタ…どういう、…!!」




明鈴の左肩の付け根から血が噴出し、腕が地面に落ちる。




「だって…内臓潰れて動けない俺が…瑞樹を護る方法はコレしかないから…っ、」

「あ…ぅっ!!」




岡野の首が深めに切れた。

血飛沫があがり、岡野の顔半分は赤く染まった。



それでも穏やかな笑みはそのままで。



「止め・・・、」

「アンタをそのままにして瑞樹を襲わない保証は無い…だろ、」



首を押さえて、荒い息のまま岡野は明鈴を見上げる。

今度は明鈴の首筋が鋭利な刃物で切られたかのように、すぱっと切れた。




「あ…くっ…!」

「アンタには悪いけど…俺と心中して?」





風の刃はどんどん互いの体を傷つけていく。


一際大きな刃が切り抜け、岡野の首からネックレスが弾け飛んだ。


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