失(う)せ物さがし の てぃあどろっぷ
わたし、音無 美咲都 14才
難しい読ませかたが好きなお父さんは 美咲都て漢字当てたけど
本当は”美里”だったってお母さんが言っていた
だから、クラスのみんなには、ミリーと呼ばれてる
髪もくせっ毛で淡い茶色、ハーフでは無いけどお婆ちゃんのお母さんがイギリス人だって
お母さんが言っていたのを聞いたことかあって少し自慢なんだ。
猫っ毛ですぐ濡れたり湿度が多いととすぐぺたんこになっちゃうの
嫌になっちゃうなぁ
今日は、近所の拓海おにーちゃんと濃い朝靄のなか髪をぺたんこにして夏休みに
特別許可を貰って 聖柊女学園の部活員以外
閑散としている初等部にやって来た。
おにーちゃんは、漫画やアニメの様に女の子の恰好はしていない。
チェックのグレーのズボン同じくチェックの着崩したグレーのドレスシャツ
に黒いベストと小洒落た服を着ていた。
拓海おにーちゃんは18才で彼は叔父さんの探偵事務所のお手伝いをしてるんだって。
高等部を卒業したら叔父さんの事務所に就職? お手伝い? かな することがもう決まっているの
まだ、将来が決まっていない私は、おにーちゃんはオトナだなぁとも思っている。
今夜は数年振りのブラッディ・ムーン テレビでも
「今夜は、ブラッディ・ムーンでも特に赤みが強く世紀の天体ショーが皆様の目で直に
ご覧になられます数時間限りの自然が織りなすエンタテインメントをお愉しみ下さい」
と派手に煽っていた。
今日は朝〜明日までタッ君とわたしの二人きり
おとーさん・おかーさんも ”今日だけ” は門限なしでいいんだって
「それじゃ拓海君 美咲都をよろしくな オレとしては気に入らんが
何せ娘たってのお願いだ くれぐれも ”間違い” を起こさんようにな」
とジロリと痛い視線
もうお父さんたら普段は気さくな癖にこの時は、拓海君を睨んでいたわ
もうやめてよ。
「まぁまぁ いいじゃないですか 私だって拓海君達のように若い時はこうだったでしょ
ふふ そう言えばあの時もブラッディ・ムーンでしたわね ア・ナ・タ♡ 」
「煩いな この娘は ”視える体質” だからな
今夜は色んなのが寄ってきやすい
君も男なら娘を守ってやってくれ どうか頼む」
「ミリー あっ いや...... 美咲都は任せて下さい
なるべく日は跨がないようにしますんで」
「そうしてくれくれると助かる ......って お前...こらぁ引っ張るなって」
「ごめんね拓海君、こうなるとこの人って話長いから さぁさ
私達は私達で 記念日を祝いましょ あなた今日は何の日か分かる? 」
「あぁ忘れるもんか あの時はお前の御両親と一悶着あったからな」
「まぁ うふふ それじゃ二人共楽しんで来てね
美咲都、鍵はスマレットの電子キーアプリで解錠出来るからそれで入ってね。 」
「うん分かった」
とこうしてお父さん・お母さんの許可も貰って
タッ君と依頼先に向かう
「ほんと ミリーの小父さんと小母さんって仲いいのな」
「そんな事無いよ 普通あんな感じじゃないの」
「さぁな オレの両親は あんなんだから一緒の所見たことないな」
「タッ君の御両親って忙しい立場にあるもんね
いつも、橘さんしか見たこと無いな わたし」
「まぁそうだろな」
こんな会話が湿っぽい朝靄の中響く。
このぶんだと、今夜は晴れて雲一つない夜になりそうだ。
こうして、守衛さんにサインをして閑散とした学園内に入った。
「なぁ、ミリーほんとにこの初等部でいいんだよな」
とイケメンの顔を私に近づけてきて いつもクラスのみんなに言われている
愛称で呼ばれた。
彼は爽やかなメンズ物のコロンの香りとほんの少しの汗の匂いを漂わせて私を覗き込んだ
男の人の匂いってお父さんしか知らないもん
ドキドキしちゃった。
「うん、タッくんこの初等部よ
アレがなくなったのってこの初等部よ間違いないわ」
「あれって何さ? 」
「アレってアレだよぉ」
初等部の娘から失せ物探しを依頼されて引き受けたものの
((( アレを捜して )))
と言われていて、具体的に何かは言われてないの」
と照れ隠しで舌をだして言う
「お前なぁ ちゃんと聞いとけよ オレの助手だろ しっかりしろよ」
『うふふ そうよ ”ミリー” ティア達が捜しているのが何なのかは
きちんと把握しておくべきよ』
と 彼・柊 拓海おにーちゃんの肩の辺りをふわふわ漂っているのは
この学園の精霊? とも言われているティアリーナだった
「ティア コイツを諭そうとしてもダメだぜ コイツ昔からなんだよ
半分聞きかじってすぐ行動を起こすからな 肝心の事をいつも
聞きそびれるんだ この莫迦美咲都め」
と
ツインテールにしているフニャフニャの猫っ毛を引っ張られた。
『ふふーん タクミ あなたその娘の事そんなこと言っていの タクミだって
私と初対面のとき ”お化けーーっ” なんていってわたしを
見るなり リツコ に泣きついたじゃない リツコから聞いていればそんなに
怖がらなくてもいいのに』
とティアリーナは拓海の首に腕を回し髪を絡めニヤニヤ顔。
「うるせぇ 母さんの話は照れるだろ」
そう、この拓海おにーちゃんはこの聖柊女学園の理事長 柊 理津子氏の
息子なの、特別の男子編入枠を嫌がって
近所の姉妹校で 彼のお父さんが理事をしている
楡総合学園大学に入学しちゃったんだ 中・高・大一貫校でたとえ息子でも容赦なし
きびしー試験を受けて首席でゴーカクしたんだって。
それで彼が小さい頃、自宅があり遊び場になっていた聖柊女学園内の敷地内で
”お化けーーっ” をみつけたらしい
でもあまり詳しいことをミリーには教えてくれないんだ。
この ティアリーナ 背が140センチと12才にしては小柄な私よりも更に
低く100センチしかないの しかも半透明で薄い水色一色で唇だけがパウダーピンクなんだ
豪華なフリルやレース彩られたワンピースドレスでふわふわ浮いて
ウェーブロングの髪をふにふに動かして
わたしのタッくんに絡み付ききてかわいいキスまでするのよ
(んもー いいなぁ)
とそんな私のココロを無視して話は進む。
『ねね ミリー 依頼した娘は今日来てるの?
いま 夏休み中でしょ』
「えっへん、それはこの美咲都様に抜かりは有りませんよーだ
改めて依頼の品を聞いていい? って言ったら 部活の合間ならいいんだって
ほら、もうすぐお昼ね いこ タッ君? 」
「あぁそうだなでも ”タッ君”はよしてくれよ 」
「えっいいじゃない ”タッ君”でもぉー 」
「しょうがないなぁ 今回は只働きだからな いつもは叔父さんからバイト代出るんだけどな
ミリーからから依頼料取るのは”無理ー”だもんな」
「あはは なにそれ駄洒落のつもり? 」
「るせーよ」
とこんな会話をしながら学食へ入っていく。
ちなみに ティアリーナは私とか、後タッ君の御両親にしか見えないそうだ
何でも私には旧いケルトの血が流れているそうで偶々 視える 体質らしい。
拓海おにーちゃんも旧いアイルランドかケルトの血脈の末裔らしく目は淡いアメジスト
髪もアッシュグレイでカッコいいんだ。
何でも彼の曾お祖父様は魔法使いだって噂もあって、それ聞いただけで
ワクワクしちゃう。
それに、男の子にしては線が細いし肌は雪のようだし
小さい頃は女の子の恰好を良くさせられていたらしい
だから、アルバムやフォトフレームの類いをあまり見せてくれないんだよ
つまんないの。
そんな彼が小さい頃は良くここのセンパイ方にここの可愛い制服を着せられてよく
弄られてその写真を今でもスマレットの背景にしている娘が居るとかなんとか
わたしも見てみたかったぁ。
お昼の学食は部活や合宿練習で多くの娘達がいて
わたしは
私服であるボレロ風ジャケットも気合いを入れて
莓柄のティアードフリルの赤いミニスカートが可愛く揺れ黒のタイツには
赤いリボンパンプスとくせっ毛と猫っ毛と相まって可愛らしい ......と思っている。
隣の拓海君にさりげなくアイコンタクトを投げてみると
彼も視線に気付いて
「ダサいミリーにしちゃ 気合い入ってんな」
と第一声としては嬉しくないコメントが出る
「なによぅ 普段のわたしはダサいみたいな言い方」
「そ そんなことは言ってねぇぞ ミリーが勝手に ......って
うお 可愛い子がいるぞ 誰? 」
と指差した方を見ると白を基調とした淡い薔薇柄のフリフリのワンピース
ウェーブロングの明るい栗色の髪。
足元は薔薇柄のタイツにピンクのパンプスで一見は清楚なお嬢様風で
毛先がゆるくカールしていてる なんでも天然らしいわ
学園は髪型に関してはかなり自由があって
朝の礼拝だけ女性用頭巾で覆えば言いんだって
自宅が美容院の娘なんかも髪をアレンジしているけど 白いレースの
ウィンプルでちゃんと覆って
いて聖教の教主様に失礼が無いようにしているしね
そのウェーブロングの髪をツーサイドにして白いレースの大きなリボンで結んでいる
隣のクラスの 化野 紗砂 を指していた
彼女は中等部でもトップを争う美少女で、有名人だった。
「あっ 化野 紗砂さんよ でも何故ここにいるのかしら? 」
「さぁな 忘れもんでもしたんだろ」
と拓海君はそっけない
わたし、その時気もそぞろでドキドキしていた
彼は普段の同年の娘を見る目とはちょっと違っていたから。
『 うふふ あの娘が出張って来たわ 今夜一騒動あるかもよ タクミ』
「お前、あの娘の事 何か知ってる? 」
拓海君もティアリーナに問いただしていた。
『さぁ、私は知らないわ でも、美貌とは別に私達妖精の中では有名人よ
あの娘の色香には気を付けなさい』
と明らかに何か知って居るようだがティアリーナは教えてくれない。
『あの娘に ”こちら” からちょっかいを出しちゃだめよ絶対。 いいことタクミ』
「俺が、可愛い娘に手当たり次第に手を出しているような言い方はよせよ
って 何、ミリーさっきからむっつりして? 」
「だって あの娘をみて ”可愛い娘”って言ったの 凄く嫌な気分なの」
「可愛いは可愛いだろ 他にどんないい言い方があるってんだ 訳分かんね」
「あ タッ君ごめんね つい、気になっちゃって」
(うわぁ 失敗失敗 もうミリーのバカ タッ君怒ってるかな)
「分かったよ 普通の娘 で良いだろ」
「其処まで言い直さなくていいよ」
とわたしが強制したみたいで自分で嫌な気分になった。
「でも 化野ってどっかで聞いたことあるな ......あぁ親父の学園の天文台の
所長がたしか化野って人だったな スゲー人で天文関係の学位総なめで
親父も高く評価していたな」
「へぇそうなんだ わたしの友達がね 化野さんに
プラネタリウムのチケット貰ったって言ってたわ」
「そうかお前もおこぼれ貰えば良かったじゃん」
「ソレは嫌 わたしタッ君と ”二人で” 行きたいの」
「あれ、そんなに面白いか? 俺には良い仮眠場所になるだけどな」
「男の子って ロマンが無いのね」
「生憎様だが俺はバイトで探偵の手伝いの方がいいな
この頃 ”人外” 絡みの事件もあるんだぜ、世間には内緒だけどな」
「え うそ!! 」
「ウソなもんか コイツ(ティアリーナ)がこうして実在している時点で可笑しい事でもないし
科学と隠秘学が交叉するこの国は、幻想な事でもないだろ 」
「それはそうだけど でも......」
「でも なんだよ? 」
わたしは答えに詰まっちゃったこの学食に中にも人外が紛れているかもと
想像するだけで怖くなって
でもタッ君にはこのキモチを秘密にしておきたいの
だって弱虫って言われるのが嫌だったから。
とチラリと紗砂さんが気になって目を向けたら
なんとこれから依頼品を改めて聞こうと思っていた初等部の娘に何やら話し込んでいて
二人の前には学食の定番のスウィーツのチョコレートパフェが置かれていた
でもなんか紗砂さんのパフェはなんか量が多かったような気がしたけど
「あれ、大盛りって出来ないよね」
タッ君に言うと
「当たり前だろ 主食の炭水化物以外で出来るわけ無いだろ
スウィーツな頭してんのな ミリー? 」
とニヤニヤ笑う
「うう またバカにして」
「えっ 俺いつバカって言ったよ? 」
「言って無いけど言ったもん」
「なんだ そりゃ? 」
『ふふあの娘 ”魅了” を使ったわね 可愛いこと』
とティアリーナ
しかしボソリと一言だし学食が賑やかで声はかき消され良く聞こえなかったの
今思えばこれジュウヨウな事だったのに。
「なんだって? ティーナ今、何か言ったか」
『いや 何もそれよりあの娘どっか行ったわ
早くあの初等部の娘に聞いてきなさいな』
拓海おにーちゃんは大盛りのチャーハンを食べていて
わたしは、サンドイッチを早々をお腹に入れて”ド”ロピカルフルーツジュースを飲んでいた
これわたしの大好物で”ドロリ”と濃厚なジュースで学食で食べた後はいつもこれで〆(しめ)るのだ。
「ねぇ えーと」
「あ 依頼した 音無センパイですよね わたし東雲 神奈って言うの
ごめんなさい 下駄箱に依頼が有りますってだけで わたしの名前まで書くの忘れて」
「いいの気にしなくて、あのお兄さんは? 」
「あぁ彼 拓海君っていうのよ ミリー 一人で行って来いって
当たり前だよね アハハハ
それで サガシモノはなんなのかな 神奈ちゃん」
その時彼女はニヤリと薄気味悪く笑ったようだがわたしには分からない。
「うんとね そうね ”てぃあどろっぷ” よ神奈のサガシモノって
それ見つけたら 神奈に頂戴
どうしても今夜紅いお月様が出る前までに見つけてほしいの
場所は校庭のあの菩提樹の樹の下でスマレットにチャットアプリで連絡してね
報酬は、その時のオ・タ・ノ・シ・ミ」
と綺麗に食べ終わった”一人分”のパフェグラスがあった
パフェグラスはガラス製なので学食のおねーさんが下げにくるのだ
乱暴に扱って壊すと危ないしね。
テーブルにコースターも無ければ水の輪っかも付いていない
「あれ、ここに綺麗な娘いたでしょ? 」
”綺麗な娘”って言う時ココロがチクリとして嫌な気分になっちゃった。
「ううん 神奈一人だよでも 誰か傍に居たような気もするけど わかんないや
ごめんね もうすぐ部活始まっちゃう20分しか休憩出来ないわ」
「ご ごめんね じゃね」
「センパイって子猫みたいで可愛いわ じゃあまってるから
頑張って見つけて来てねぇ」
とその時は、なんか自分の事ではない他人事のような言い方だったの。
そして陽が落ち、月が紅く染まって行く
「ふふ そろそろ仕掛けようかな」
髪はパウダーピンクに染まり小さな翼、尻尾も遠慮なく出して
可愛くもちょっとエッチな小さな”サキュバス”になった紗紗
学園北東の学園地下霊廟の結界を難無くぐり抜けて
更に地下の納骨堂の警備員を 魅了で昏倒させ
中に入る
そして 旧い”空”の石棺に可愛いワンピースで
片足を抱えてショーツを見せつけるように腰掛けていた
「ふふ これオギョーギが悪いってパパに怒られるけど
サキュバスになるとエッチな気分になるからいいもん
ママだってこれやるし」
ぴちゃり
とまたゲヒンな舌舐めずりをする。
「さぁタクミ 謎解きの始まりよ 学園をワンちゃんの様に走って走って走り回りなさい
ヘトヘトになったところで ティアーナのココロのてぃあどろっぶもらっちゃお」
と ”死の妖精:ルリン”に
「さぁ 打ち合わせ通りにタクミ達を翻弄してきて♡ 」
とパチリ と指を鳴らした。
そしていよいよ天体ショーが始まったの
お月様が徐々に紅く染まっていく
着信音が鳴りスマレットに入り何やらメッセージが入ってきた
〜 私神奈、 じつは てぃあどろっぶらしきモノみたけど 誰かに盗られちゃった
依頼は変更で ソイツから取り戻して!! 〜
「おわっ、やはりブラッディ・ムーンのこの時期はすんなりとは事が運ばねぇな
ミリーまずは ”南” の校庭の菩提樹の下だ」
「うんっ」
とタッ君の後を追いかけるように走る ......が
誰も居ない
「あれ 居ない 神奈さんどこ? 」
と辺りを見ると
ピンクの可愛い便箋が枝に挟んであった。
「ふふふ 貴重なてぃあどろっぶは ”異邦の客人” が頂いた
返してほしくば 我の元へたどり着いてみせよ
第一問:優しき衣擦れ歩く、その先は? 」
と謎掛けを聞いてきた
「”異邦の客人”か厄介だな ”大物”でなければいいんだかな」
「えっ ”異邦の客人”て 怪盗の名前 でしょ? 」
「この国においては ソレは違う意味を持つね まぁ説明はひと目見たほうが
早いしな でも危険だぜ大怪我以上の事になるかもな
ティアーナ頼むぞ どんな大物かは遭って見ないと分からん」
とティアーナにいうと彼の右手に覆いかぶさり一体化し
ひと振りの剣になった。
「えっ ”異邦の客人” って怪人○面相 や 怪盗ル○ン とかじゃないの
大袈裟じゃない それにその剣って」
「だーかーら、 違うって言ったろ まぁ後で叔父さんの事務所に来いよ
説明してやるから」
「うん ごめん今は黙ってる」
(うぅ どーしよー これ まるで学園バトルモノじゃない トイレ行っとけばよかったかも)
「うわこれ苦手だな 優しき衣擦れ って何のことだよ 現国はニガテなんだよな」
「ふふ わたし分かったわ この優しき衣擦れって 多分シルキーの事よ」
「え シルキーあの妖精か亡霊ともいわれる? 」
「そ この学園にも彼女いるのよ 私、時々授業で手伝って貰うの」
「で ソレは何処? 」
「えっへん すごいでしょ? 」
「あぁすごいすごい」
「むぅ いいわちょっと態度が気に入らないけど スバリ家庭科実習被服室よ
ウチ居る娘って お洋服を繕うのが好きなの
私も ”視える”から仲良くなってね 時々被服実習で手伝って貰うんだ」
「それって ”ズル”だろ でも今はさておき場所は 何処だ?
建増していてオレの小さい頃とは違っていて今は良く分からねぇ
「東よ 急ぎましょう」
と無駄に広い学園内を 廊下を右に左に階段を上に下にと
件の被服室に到着してときはかなり息が上がっていた
「待ってすこし休も タッ君」
「忙したの ミリーだろ」
とやむ無く小休止
『ふふ タクミ 疲れたようね ティアーナを外せば魔力の
温存が出来るわよ ッフフ』
「だれだ? テメェが ”異邦の客人”か? 」
可愛い 女の子の声が空間にこだまする
何処かで聞いた声だと思うがどうしても思い出せない
「くそ 可愛い声でオレらを騙そうとするなよ」
『可愛い声って行ってくれてありがとね さぁ休みはお終い
つぎはここにおいで』
とひらりと便箋が舞い降りる
「良くぞ 見つけられたし
第ニ問:
小さき茶色はお菓子が大好き お菓子の貨幣はわれらの生きる糧
今日も今日とてパンを仕込みお米を研ぎましょう
クッキー 一枚ではモノ足りぬ ならば我らの元へ」
と可愛い小袋に入ったお菓子がそこにあった
「おうこれは簡単だな コイツは”ブラウニー”だな
お菓子などの見返りに料理等の雑務をやってくれる」
「もう タッ君それ 言おうと思ったのに レプラコーンじゃ有りえないし
この学園では見たこともないもの」
「レプラコーン(あいつら)は人間の為には動きやしねぇしな
そいつら絡みの事件も叔父さんの事務所に良く舞い込んでくる」
でも 厨房なら学食だ学園の中心だ今度は近いぞ」
とタッ君もわたしも其処に向かったわ でも ”ブラウニー”はいない
わたしの視える目でも 視えなかった
「ちくしょう 後何処よ」
『ふふ ハ・ズ・レ よタクミそこは働く場所で彼らのオウチじゃないわ
さぁ走って走って ワンちゃんのように』
と”死の妖精:ルリン” の目を通して紗紗はうっとりと淡い金の瞳の目を細めた
「そうだ もう一箇所あるわ調理実習室!! でも学園の西端よ」
「おし、急ぐぞ」
『ねぇなんかティア達 ”異邦の客人” に振り回されいる様に
感じるけど? 』
「そういえばそうだが相手は ”異邦の客人” だどんな事が起きるか分からねぇ」
『そうね いまはヤツに踊らされてみましょうか? 』
「おう」
と剣のティアーナはタッ君と相談をしてた
また廊下を右に左に階段を上に下にと走り調理実習室に到着。
『ふふおつかれ様 お菓子は回収させて貰うわこれお小遣いで買ったから
私のモノ ブラウニーになんかあーげないと 』
と暗闇から手がが伸びお菓子袋をさらっていって
タッ君の剣は虚しく闇を斬って
「こら ”異邦の客人” いつまで鬼ごっこに付き合わせるつもりだよ」
『ふふ 怒った怒った あぁん♡ 大好き大好きなの早く私のモノになりなさいタ・ク・ミ
でも今度で最後
ここは辛気臭くて嫌なの早くいらして
でないと待ち草臥れてお漏らししちゃうわ タクミ』
とひらりと便箋が舞い降りる
「第三門:すすり泣く声は悲しみの標
憂きその眼差し 今は語らぬその口で愛の言の葉紡がん」
「「これは バンシーだな」 だね」
となるともう彼処しかない
この学園の”地下霊廟”でなく 更に地下の ”旧い納骨堂”
なぜなら ”地下霊廟”には遺体はなく遺品しか収めれていない
しかし大昔の ”旧い納骨堂” は学園でも厳重に管理されているし
まだ”遺体の入った”石棺が多数安置してあってしその上に”地下霊廟”があるから
霊廟のように乳香や没薬安息香などの
お香の香りはしない。
学術的な価値もあるので発見当時のままであり
その死者の魂を鎮める目的で地下霊廟があるの
魔術的にも地下霊廟だけは結界が張っていて
私の目にはいくつもの陣が折り重なって視えていたの
朝の礼拝のときも遠目で霊廟のへの降り口が見えるが立ち入りは厳禁だって
講師の先生が言ってた
「位階が高かったり特別な術を使うヤツだと結界は意味ないな
さぁ、ボスのお待ちかねだぜ ミリー行くぞ
ティアーナ一時的な結界の解除を頼む」
『ふふ任せなさいな』
と結界は解除され神聖な霊廟を歩き更に奥の祭壇の裏へ
お香の匂いは薄れ徐々にカビ臭くなっていったの。
「あぁん 大好きなタクミようやくここまで着たわね」
と言葉を発したのは
別のクラスの化野 紗紗さん似の
パウダーピンクの髪、小さな翼、そして可愛い尻尾があり
淡い金の瞳をした女の子だったの
「てめぇ サキュバスか サキュバスがなんでこんな 辛気くさい ”旧い納骨堂”
に? 」
「う〜ん シャーサは ねぇ タクミが だぁ〜い好きなの だからなの」
「意味わかんね でもなんでここを選んだ?
もっとテメェ(サキュバス)にふさわしい場所があったろうによ」
タッ君はすごく怒ってた。
「ふふまだ 分んない わたしここの生徒で その娘とは違うクラスで
化野 紗紗っていうの ねぇ 音無 ミサトぉ 貴女なら知ってるわよね
学年でも 貴女とツートップを争う美少女な ワタシをね」
とすぅと色が変わり 化野 紗紗その人になったの
「あなた サキュバスだったの? 」
「ぶーっ バズレ それはわたしの ママ ......で私はその娘って訳
半分は貴女達と同じ人間よ」
ととんでもない事を言っていた
もう 探し物のてぃあどろっぶはどうでもよくなってタッ君も
「ここで手を退け そうしないと本気でいくからな」
と剣を構え直す。
「いいもん 来るなら来てみなさいよね セルン それと幽霊の”ルシア”ちゃん
やっちゃって 」
と小さな蛇にそのまま羽が生えたような使い魔 ”セルン”と たった今
紗紗と使い魔の契約を結んだ”ルシア”が 襲いかかって来たけど
何故か”場慣れ”しているかのようにかっこよく戦ってくれたの
「ミリーは 引っ込んでな 」
と言われ わたしは石棺の影に隠れてた。
だんだん彼女を追い詰めていって 最後の大きなひと振りを
振り下ろそうした瞬間
「はい シャーサここまでよ、 今回はアナタの負け
負けを認めなさい
ねぇ タクミ君、私に免じて今日は赦してくれないかしら」
と突然、綺麗な女の人の声。
その女の人が私とタクミの間に割って入ってた。
「あの 美咲都ちゃんこの娘は見ての通りハーフサキュバスよ
まわりには黙っていて欲しいんだけど この娘がタクミ君をダイスキって
言ったことだけは忘れて貰うわ でないとこの娘可哀想だもの
サキュバスが男を虜にしようとして失敗するなんて失態は
サキュバスの私としても見逃せないわ いい? 」
それから いきなり その綺麗な女の人に頬っぺにすんごいキスをされちゃって
「いい お口は許してあげるわ ノーカンってことにしといて構わないけど
暫し”夢”と戯れなさい これからのお話は 貴女には、まだ早いもの」
とタッ君とその綺麗な女の人が何やら話し込んでいたのを
最後に自分が夢の中か、現実の事か分らなくなっちゃった
「うわ〜ん ママぁ 怖かったぁ あとごめんなさい 勝手に 使い魔 持ち出したりしてぇ」
「ほら 泣かないの シャーサはサキュバスでしょ あきらめないの ......」
とぼんやりした頭の中でそんな会話が聞こえてた
紗砂さんの涙は青水晶の様に涙型に結晶化して
更にブラッディ・ムーンの紅い月光を浴びパウダーピンクに染まっていく。
気付いた時は一個小さなてぃあどろっぶを握らされていて
「あぁ6個貰って一個はお前への迷惑料だと」
残りの5個はタッ君報酬代わりに持って行きなさいと言われたらしく
これは
事務所に持って行って 霊廟の結界の修復やら地下納骨堂の痕跡を消したりと
後始末をするんだって、その対価らしいわ
彼女のお父さんも来てきて
「拓海君、この娘と麗奈のことは君の叔父さんには内緒にしておいてくれないかな
麗奈と娘はこの国で静かに暮らしたいだけなんだよ」
と頭を掻きながら化野所長はタッ君におねがいしてた。
「えぇ分かっています叔父には上手く言っておきますよ」
とわたしの呆けた頭にも辛うじてそんな声が聞こえてきた。
「さぁシャーサ行きましょ ハヤト 私とこの娘は ......」
「あぁ 分かっている 車は嫌なんだろ ”大火蜥蜴の涎”
は匂いがきついんだっけ?
ボクは講義を抜けて来から早く戻らないと」
と化野氏は早々に車に乗り込んだ
「「うん」」
と泣き腫した紗砂こと”シャーサ”はベーとわたしに舌と翼と可愛い尻尾を出し
彼女のお母さんと一緒に
化野天文台所長の運転する車を追いかけるように飛んでいった。
「へぇこれが男女問わず誰でも必ず恋の虜にするはずの ”恋” に敗れたサキュバスの涙ねぇ
すげー貴重品だな こりゃ ”パウダーピンクのてぃあどろっぶ” でも事件の後始末の
報酬に回るけどな。
紗砂さんの事は内緒だしどう言い訳しよっかな
ミリーも分かって居るだろうな 紗砂さんの事は言うなよ
お前の軽はずみな一言で化野さんにも迷惑がかかるからな」
「分かってるよ もぅ でもタッ君と同じ秘密を共有するって
なんか得した気分ね」
「ふぅ、さすが麗奈さん 紗紗がオレに大胆な告白したことは完全に忘れてるな」
とぼそりと気になる事を言ったような気がしたが、
「タッ君? なんか言った? 恋がどうかしたの? 」
「うっせぇ、お子様ミリーにはまだ早ぇ話だよ」
とはぐらかされた。
「もぅ、またバカにして」と言い返すと
タッ君は ピン と人差し指で
デコピンの代わりに
恋に敗れた ハーフサキュバス・紗砂の ”パウダーピンクのてぃあどろっぶ” を軽く弾く
弾いた音は彼女の悔し声のような
キーーン
と鋭い金属音がした。
お終い? ......ではないよ
でも翌日彼女は何喰わぬ顔で
「でもでもタッ君は絶対 シャーサの虜にするんだから」
と探偵事務所にのりこんでまんまとバイトの契約を彼の叔父さんと結んでしまったの
もう これからどうなるの?
とわたし・美咲都の髪は
へにょり
と湿気も多くないのにぺたんこになってしまって手には恋に敗れた”証しらしい”
パウダーピンクピンクの てぃあどろっぶが 夜が明け朝靄のなか
キラリと なきはらした後の紗紗の頬のように光っていた。
おしまい
失せ物さがし の てぃあどろっぷ
ギリギリ♡(はーと)にキリキリMind
短編一話完結です
失せ物さがし の てぃあどろっぷ は
柊 拓海
音無 美咲都
のハラハラSide
ギリギリ♡(はーと)にキリキリMindは
化野 紗紗の
胸キュンSide
になります
それぞれの視点からのハラハラSideと胸キュンSideを
お楽しみ頂けましたら幸いです
世界観を元にした長編もプロットを現在
オルティア・レコード
イゲン・ルート・オンライン執筆と併行し構想中です
3月中旬ころ活動報告にてプロットを発表したいと
思っております
お楽しみに
短編ギリギリ♡(はーと)にキリキリMindの
紗紗とレーナのイラストをみてみんに投稿しました
リンクから飛べます。