ステータスを確認しよう!1
前回
周囲を探索する事に決めたようです。
しばらく周囲を探索していたが、生い茂る森が広がるばかりで、人っ子一人どころか、
’’生物自体’’いない。
こんなことが有り得るのだろうか?
しかし、異世界で、前世の世界と比べること自体が可笑しいのかもしれない。
だって自称管理者の『シャルル』がーーーー。
ここで『シャルル』が言っていたことを思い出す。
『ファンタジー世界では魔法というものが存在し、命の危険にさらされることも多々あります。』
と。
重要な事以外、結構話を流して聞いていたが、改めて考えてみる。
魔法?
魔法って何?
魔女や魔法少女が使う、といわれているもので合っているのだろうか?
というか、私にもそんなものが使えるの?
もし使えたら、、、。
ここで私の口角が少し上がる。
ーー結構この世界、楽しめるかも。
前世では、得られなかったであろう感情が、込み上げてきた。
探索を進めるのと同時に警戒を怠らず、頭の中では、魔法が使えたら何をしようか、と妄想を始める。
頭がお花畑の真っ只中、生い茂る森の景色から、直径100メートルほどの、透明の湖水の景色へと移り変わる。
「き、れい。」
思わず感嘆の声をあげてしまう。
それほどに美しい光景だった。
一時その光景を眺めていると、30メートル先に人影らしきものを見つけた。
よく目を凝らしてみると、黒いローブを着ておりフードを被っている。
顔はフードのせいであまりよくは確認できないが、体格的に女性?なのだろうか。
黒いローブにフードと怪しさ満点だが、取り敢えず、人に出会えた事は幸いだ。
話し掛けて、ここはどこで街や村があるのか聞いてみよう。
異世界から来た私の言葉は通じるのだろうか?
と心配要素はあるが、このような機会を逃すわけにはいかず、話し掛けてみようと女性?らしき人に近づく。
相手と数メートルの距離と言う所で、相手が自分の存在に気付いたらしく、有り難い事に、相手から話し掛けてきてくれた。
「お主、何者じゃ?妾が気付かぬとは…。」
と少し身構えてきた。
言葉は理解出来る。
どうやら声的に、女性のようだ。
え、てか、何この、昔の日本の皇族や貴族が使ってそうな口調。
少し吹き出しそうになったが、初めてあった相手に失礼だと思い、堪える。
「えっと、何者と言われても…。私は、だだここの場所を尋ねたくて。」
取り敢えず相手が警戒しているようなので、質問に素直に応えてみる。
ん?というか、私は今男なのだから、女口調は流石にやめておこうかな。
「ここの場所?」
何を言っているのだ。という顔で相手が見てくる。
言葉も通じたみたいだ。
「実は道に迷いまして。ハハハ。あ、申し遅れました。私は、ユーキと言います。」
今の世界では、名前をつけてもらってないといか、つけてもらう人がいないので、前世の名前を名乗る。
「…本当か?」
なんか、めっちゃ疑ってくるんだけど。
「はい。」
相手は敵意が無い事を確認したのか、はぁ…と息をつくと、身構え体勢をやめた。
「疑ってすまぬ。今ちと、面倒事に巻き込まれておってな。」
「いえいえ」
警戒するほどの面倒事については触れないでおこう。
改めて向き直った女性の顔をしっかり見てみると、小さい顔に、すっと透き通った鼻筋、ぱっちり二重の大きな目に長い睫毛、厚くも薄くもない赤い唇の美人さんだった。
死んでから、この世のものとは思えない顔立ちしか見てないな。
羨ましい限りである。
しかし、肌は白いというよりは青白いに近いような気がする。
なんか、具合悪いのかな?的な感じだ。
「妾は、ヘルゼという。所で、お主はここの場所を知りたいのじゃったか?」
「はい。」
「ここはユハナ王国のジュオルダ森林じゃ。」
ユ、ユハナ王国!?ジュオルダ森林!?
…全く分かんない。
そりゃそうか。
んー、と唸って考え込んでいると、相手が私が分かっていないという事が分かったのか、
「お主、まさか生まれたばかりか?」
「!!そうですが。なんで、、、。」
分かったのだろうか。
「妾が何年生きてきたと思っておる。それにお主、見た目からして妾と同じ種族のようじゃからの。」
え、同じ種族って、私人間じゃなかったりして。
ハハ…。
女性に年齢について言うのは失礼かもしれないけど、ヘルゼさんの歳は先程の外見からみて判断すると…
「20歳くらい?」
私の回答を聞いて、女性はまたもや息をつく。
「この世界について、何も知らんようじゃな。」
「す、すみません。」
ヘルゼさんは親切に、この世界の国や基本的な事をいろいろと教えてくれた。
まずはこの世界の国だ。
北にはブルトン聖国、東にはアージニア帝国、南にはシュギール王国、そして今いる西がユハナ王国だ。このジュオルダ森林はユハナ王国とジュギール王国の間にある広大な森林らしい。
次に、種族についてだ。
人族はもちろん、魔法が得意な魔族や魔法を駆使する動物の魔獣、吸血鬼、亜種族である、外見は人間と変わらないが耳が長く美男美女ばかりのエルフ族、体は全体的に小さいが屈強で物づくりが得意なドワーフ族、人間と見た目が似ていて、耳や鼻が動物の獣人族等、多種存在するようだ。
もちろん魔法についても少し教えてもらった。
魔力量に個人差はあるようだが、この世界の人達は皆魔力があるらしく、魔法は珍しくないということ。
簡単に纏めるとこんな感じだ。
「ところでお主、ステータスを見る方法は分かるか?」
ステータス?
RPGのゲームを少しやったことがあり、HPやMPの事だと理解は出来る。
しかし、見る方法となると分からない。
「分かりません。」
「これは、簡単じゃ。『ステータス』と唱えればいいだけじゃ。」
「なるほど…。」
試しにやってみるか。
「ステータス」
唱えるとと同時に、透明のウィンドウのようなものが表れ、思わずのけ反る。
「妾には見えんが、見えたようじゃの。それに書かれているのがお主のステータスとスキル等じゃ。それは唱えた本人にしか、見ることが出来んから情報が漏れることはないぞ。」
試しに指で触れてみるが、感触はなく、そのままウィンドウを突き抜けた。
す、すご過ぎる。
今私は、田舎から上京してきた村娘の気分だ。
まあ体は男だけどね。
私は表示されているウィンドウを見て、ステータスを確認する。
長くなりそうなので、ここで区切ります。