異世界転生完了!
前回
管理者シャルルにお見送りされる。
「っ…。」
再び意識が戻り、私の視界が光を認識した。
どうやら、無事転生が完了したようだ。
転生する前の記憶は引き継がれてはいるらしい。
何故か、仰向けになって寝ていた私は、自分の上半身をむくりと起こす。
どのくらい寝ていたか分からないが、身体がやけに重い。
というか、転生なら、普通は赤ちゃんなのではないのだろうか?
親の概念を無視しているじゃないか。
ふと、お父さん、お母さんの顔が思い浮かぶ。
今改めてまた両親の事を考えると、涙が溢れだしそうだった。
18歳(だけに限らないが)の子供が親と予告もなく死別というのは大分精神的にこたえる。
ぶんぶんと頭を振り、感情を抑えて、先ずは目先の事に目を向けてみる。
自分の身体を、先程、光を取り戻した目で確認する。
私は、どうやら、中世ヨーロッパの男性貴族がいかにも着てそうな紳士服を着ているようだ。
手は前世の身体と比べ、大きいように見える。
否、手だけではない。
身体が全体的に、前世の身体に比べて大きい。
しかも、頭が重くない。
これは物理的にだ。前世の手よりも大きい手で、自分の髪の毛を触ってみる。
ショートカットだ。
後ろはうなじ、横は耳に少しかかるくらいで、前髪は目に少しかかるくらいだ。
所属していたバスケ部は、髪を結んでおけばOKで、髪を切りに行くのが面倒臭かった私は、ロングヘアだったので、こんなにもショートカットが軽いのかと感動する。
その後も、ペタペタと自分の手で身体を触ってみた結果、どうやら総合的に男性の体つきだ。
前世の頃の女子の身体と比べ、筋肉はだいぶあるし、胸がないのだ。
まあ前世でも無いと等しくはあったが。
…ということはだ。
前世の頃はなかったのが、今回はある可能性がある。
そう。自分の身体の下半身にだ。
ここで問題が生じる。
私は前世は女であり、男性の身体などなったことが無い。
結果からして、自分の身体とどう付き合っていけばいいのか分からない。
生活しているうちに慣れるだろうか。
というか慣れてくれ。私。
さて、この問題は後回しにして、それよりも、、、
「ここどこ!?」
自分の身体を調べる事に精一杯で、周りの状況を確認していなかった。
キョロキョロと周囲を見渡して見る。
どうやら周囲は緑が生い茂る森のようだ。
転生を完了した私が、まずこれからどうするべきなのか。
そういえば、最初に比べ身体が軽くなってきた。
こちらの世界に来たばかりなので、やっぱり歩いて周囲を確認した方がいいのかな。
人がいれば、村や街の場所も知りたいし、もしこのままここに滞在すれば、食べ物が無くて餓死するだけだろうしね。
あと、間違いなく異世界の何かと遭遇するだろう。
異世界にどんな生物がいるか分からないけど。
まあそこは、2次元モノにあまり興味が無かった私でも知っている、某マンガでいえば、おらワクワクすっぞ!!なんだけどなぁ。
悟○もこんな感じだったのかな、と少し共感を覚える。
「取り敢えず、歩くかぁ。」
どうやらこの世界でも、性格は変わらないようで、周囲を歩くだけでも、面倒臭く感じる。
だが、生きる為には仕方がない。
今後の方針は周囲を探索することに決めた。
転生無事完了です!