異世界転生をしよう!
初めての小説で、分からない所が多々ありますが、温かく見守ってください。
異世界転生で少し難易度が高いですが、頑張ります。
ミスなどがありましたら、教えて頂ければ幸いです。
更新遅いですが、よろしくお願いします。
それは8月上旬のことだった―。
母親にお遣いを頼まれ、家から5分程の商店街に、私、神城結姫はいた。昼間だからだろうか、人の熱気が漂うこの昔ながらの商店街は、ギラギラとした太陽が自らの体を容赦なく照らし、体中から絶え間なく汗を流させ、地面からは、日差しに暖められて陽炎がたちのぼっていた。
只今、絶賛夏休み期間中である。元々バスケ部に所属していた神城結姫は、普通なら、こんな地獄の時でも部活は行われている筈だが、高校3年生ということもあり、高総体を最後に既に引退していた。
部活に人生をそそいでいたわけではない(嫌いでもなかったが)、神城結姫はこの待ち望んでいた休みを満喫していた。そんなに休みが待ち遠しかったなら、運動部に入るなよと思う人もいるだろう。...実際自分でもそう思う。何故入ったのか、自分でも分からない。だが、部活が終わり、休みを満喫しているという結果だけで充分なので、そこはどうでもいい。
私は母親に頼まれた物を購入し終わる。そろそろ帰ろうかと商店街のアーケードを通って、少し先の横断歩道で、多くの車が横切っていくのをぼっーと見ながら、歩行者の信号が青になるのを待っていた。
そのせいか、気付かなかったのである。
―――自分の方に車が向かってきている事を。
ドンッ!!!
大きな衝突音と共に、体がふわっと宙に舞う。
そしてズザザザザッと地面に引きずられる。
―あれ?今何が起きた?
一瞬のせいか、意識が朦朧としているせいか、はたまたどちらのせいでもあるのかは分からないが、自分では何が起きたのか何も分からなかった。
あー、なんか体ダルい。
掠れた視界に、赤い液体がみえる。
意識が朦朧としていたが、これだけは分かった。
これ私の血だ。
誰かが呼んでいる気がする。
けどお願いだから、そんなに呼ばないで。
眠いんだよ。
ちょっとでいいから、寝かせて。
心の中で呟くと、重い重い瞼をゆっくり閉じていく。次第に光も通さない暗い視界が広がった。
「…っい!…さいっ!起きてくださいっ!!」
誰かに起こされはっと目が覚める。
掠れた視界が、次第に焦点が合うようになり、辺りがはっきりと見えてくる。
目の前には、今まで見た中で1番美しい、いや可愛らしいと言ったほうがいいのか?10代後半だろう少女がいる。周りは見た事もない真っ暗な空間だ。
なんだここ?てか、どこ?
「やっと目が覚めましたね!何度呼んでも起きないものですから、そろそろ引っ叩こうと思ってた所だったんです」
うわぁ。可愛らしい外見とは裏腹に、ニコニコしながら怖い事を言うな。
「それは、すみません。ここ何処ですか?というか貴方はどなたでしょうか?」
いまいち状況が読み込めず混乱し、目の前にいるどこの誰かも分からない少女に尋ねる。
「あ、これはこれは申し遅れてしまい申し訳ございません。わたくし、ここの管理者をさせて頂いております、『シャルル』と申します。気軽にシャルルとお呼びください。」
「わ、私は神城結姫です!了解です!」
お嬢様の様な話し方に戸惑い、つい反射的に自分も名乗る。
「はい。存じておりますよ」
崩れない笑顔で返答される。
え、ちょっと待って。
「ここの管理人ってことは、ここは施設か何かですか?」
「ここは生と死を司る空間。といった方がよろしいでしょうか。」
「生と死を…?」
「はい。」
…。話が進まないのでそこは突っ込まないでおこう。
そして結姫は自分が何故ここにいるのかを、自分が記憶している最後を思い出してみる。
そういえば私、確か車にはねられたんだっけ?
それで、目の前に血がいっぱいに広がってそれから眠くなって…。
そっか、私死んだんだ。
「それでは、目も覚まされて、ここの事もなんとなく理解出来たようですし、本題に入りましょう!」
「え、本題?」
地獄にいくとか、天国にいくとかかな?
「基本として、亡くなられた方は1度この世界に来て頂き、ここを通じて異世界に転生して頂くか、もう1度元の世界に転生して頂くかにしてもらっております。」
「天国とか地獄とかじゃないんですか?」
「はい。異世界が、天国や地獄と同様のものと思われてください。」
「あー、なるほど。」
「それでは、早速ですが、この後も予定が詰まっておりますので、元の世界に転生するか、異世界へ転生するかお選びください。」
うっ!
結構唐突にきたなぁ。
「あの、いくつか質問してもいいでしょうか?」
「はい。なるべく手短にお願い致します。」
どうやら急いでいるようなので、いくつか疑問に思ったことを手短に聞いてみる。
「ありがとうございます!えっとまず1つ目は今の記憶は、転生したら無くなるんでしょうか?」
「過去に残った方がいましたが…。でも、それは本当に極稀ですので、無くなりますね。」
なんだ、無くなっちゃうのか。
まあでもそれは当然かもしれない。
「2つ目は、異世界は選べるのかです。」
「お望みであれば選べますよ。ただし、ファンタジー世界とか、ほのぼの世界とか大雑把になりますが。」
大雑把な感じでも選べるのか。
出来れば、常にハラハラドキドキする場所がいいなぁ。
「3つ目は、家族です。私が死んで、どうしてるのか気になって。」
「もう、元の世界では1年経っており、だいぶ家族の方々も立ち直られておりますよ。」
そっか。元の世界ではもうそんなに時間が経ってたんだ。
本当はちゃんと社会人になって、今までしてもらってきた分、親孝行とかしたかったんだけどな。本当にこの年で死んじゃったことが申し訳ない。
でも、元気に過ごしてくれてるのなら、安心した。
「質問に答えてくれてありがとうございます。」
「いえいえ。少しでも参考にして頂ければ幸いです。」
…うーん、どこに転生しようかな。
元の世界は嫌いじゃなかったけど、あまり私には合わなかったんだよなぁ…。
よし、決めた!
「シャルル、私ファンタジー世界がいいです!」
たぶん、自分にはそこが合ってると思う。
あまり漫画とかアニメとか見ないから、よくは分からないけど。
「かしこまりました。転生先はファンタジー世界ですね。」
「はい!」
「神城様、1つだけ確認要項がございます。」
いきなり、ずっと崩れない笑顔だったのが
真剣な表情に変わる。
思わず、ごくりと生唾をのみこむ。
「ファンタジー世界では魔法というものが存在し、命の危険にさらされることも多々あります。それでも、ファンタジー世界でよろしかったでしょうか?」
命の危険か。
元の世界にしろ、これから行く世界に限らず、命の危険は付き物だと思うが。
と、若年で死んだ経験者は思う。
「はい。大丈夫です」
私の返答を聞き、シャルルは真剣な顔からさっきのニコニコとした表情に戻る。
「それでは、神城結姫様の異世界転生を行います。転生先、ファンタジー世界」
『神城結姫。異世界転生。ファンタジー世界。確認』
どこからか、機械音のような世界の声のようなものが聞こえる。
「それでは、よい人生を。神城結姫様―。」
その言葉を最後に私の意識は途絶えた。