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短編集〜ワンライ〜  作者: 山芋娘
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乾杯

pixiv URL:http://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=6939584


お題【缶ジュース】

 


 お題【缶ジュース】




 ガタンッ。と、大きな音を立てながら、飲み干された缶がゴミ箱に投げ入れられる。

 成田ミチルは、どこか荒れているような雰囲気で、公園のベンチに座っている。そのベンチには、大量に買い込んだ缶ジュースが並んでいる。

 オレンジ、ぶどう、りんごにコーンポタージュ。コーヒーにココア、炭酸飲料など飲み合わせは最悪な状態。

 しかし、ミチルはがぶがぶと飲んでいる。


「なんだよ、酒が飲めないのがそんなに悪いのかよ。アルコールに弱いから、ジュース飲むのがそんなに悪いのかよ!!」


 辺りは暗く、もうすぐ0時を越えようとしていた。

 ミチルが何故こんなにも荒れているのかは、数時間前の合コンが原因である。

 アルコールがダメなミチルは、お茶やジュースでその場にいたのだが、ある女が「なに? お酒飲めないの? お酒飲めない男とかないわ」と、言ってきたのである。


「なにが『酒が飲めない男はないわ』だよ……。酒なんて、飲めなくたって別にいいじゃねーか!!」

「そーだ、そーだ」

「……凛」

「やっほ」


 いつの間にかミチルの後ろに立っていたのは、幼なじみの白岡凛。彼女の手には、缶ビールがある。


「お前、なにしてんの?」

「いやさ、私も合コンしてきたんだけど、どれもハズレ」

「それでやけ酒か?」

「そう」

「いいよな、酒飲めて」

「別にいいことなんて。ジュースとかの方がよっぽど安いし、酒飲むと次の日頭痛くなるし」

「じゃあ飲むなよ」

「記憶を無くしたい」

「怖いこと言うな」


 凛は、ミチルの横に座ると、缶ビールを飲み干す。そしてミチルが買ったジュースに手を出す。


「あぁー酒やめたい」

「だから、飲むなよ」

「今はジュースでしょ」


 一気にオレンジジュースを飲み干すと、ゴミ箱へと投げこむ。

 凛はまた別のジュースに手を伸ばす。


「酒飲めた方がまぁいいこともある」

「例えば?」

「シラフでは言えないこととか」


 凛がミチルを見る。ミチルは眉間にシワを寄せ、首を傾げる。


「なに?」

「シラフだから言わなーい」

「いや、酔っ払いだろ」

「こんなの序の口」

「そうですか……」


 缶ジュースの蓋を開けると、2人は乾杯をした。





 おわり



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