乾杯
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お題【缶ジュース】
お題【缶ジュース】
ガタンッ。と、大きな音を立てながら、飲み干された缶がゴミ箱に投げ入れられる。
成田ミチルは、どこか荒れているような雰囲気で、公園のベンチに座っている。そのベンチには、大量に買い込んだ缶ジュースが並んでいる。
オレンジ、ぶどう、りんごにコーンポタージュ。コーヒーにココア、炭酸飲料など飲み合わせは最悪な状態。
しかし、ミチルはがぶがぶと飲んでいる。
「なんだよ、酒が飲めないのがそんなに悪いのかよ。アルコールに弱いから、ジュース飲むのがそんなに悪いのかよ!!」
辺りは暗く、もうすぐ0時を越えようとしていた。
ミチルが何故こんなにも荒れているのかは、数時間前の合コンが原因である。
アルコールがダメなミチルは、お茶やジュースでその場にいたのだが、ある女が「なに? お酒飲めないの? お酒飲めない男とかないわ」と、言ってきたのである。
「なにが『酒が飲めない男はないわ』だよ……。酒なんて、飲めなくたって別にいいじゃねーか!!」
「そーだ、そーだ」
「……凛」
「やっほ」
いつの間にかミチルの後ろに立っていたのは、幼なじみの白岡凛。彼女の手には、缶ビールがある。
「お前、なにしてんの?」
「いやさ、私も合コンしてきたんだけど、どれもハズレ」
「それでやけ酒か?」
「そう」
「いいよな、酒飲めて」
「別にいいことなんて。ジュースとかの方がよっぽど安いし、酒飲むと次の日頭痛くなるし」
「じゃあ飲むなよ」
「記憶を無くしたい」
「怖いこと言うな」
凛は、ミチルの横に座ると、缶ビールを飲み干す。そしてミチルが買ったジュースに手を出す。
「あぁー酒やめたい」
「だから、飲むなよ」
「今はジュースでしょ」
一気にオレンジジュースを飲み干すと、ゴミ箱へと投げこむ。
凛はまた別のジュースに手を伸ばす。
「酒飲めた方がまぁいいこともある」
「例えば?」
「シラフでは言えないこととか」
凛がミチルを見る。ミチルは眉間にシワを寄せ、首を傾げる。
「なに?」
「シラフだから言わなーい」
「いや、酔っ払いだろ」
「こんなの序の口」
「そうですか……」
缶ジュースの蓋を開けると、2人は乾杯をした。
おわり