いつもと同じでいい、同じがいい。
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お題【いつもと違う】
お題【いつもと違う】
6時30分。
お気に入りの音楽で、アラームが鳴る。
布団の中から、手を伸ばしアラームを止めると「ん〜」と、声を出しながら布団から出てくる。
彼女の名前は清水晴美、高校2年生。
いつもと同じ日常を、望んで毎日を過ごしている。
「晴美〜、お母さん先に出ちゃうわよー」
「ん〜……いってらっしゃーい!」
「ちゃんと、起きなさいよ。いってきまーす」
晴美の部屋に入ってきた母が、未だに布団から出てこない晴美に声を掛け、仕事へ出る。
晴美は、しばらく布団の中で寝転んでいると、再びアラームが鳴る。
それをきっかけに、晴美は動き始める。
着替えを済ませ、リビングに行くと母が作っておいてくれた朝食がある。
「ベーコンに目玉焼き、ご飯はチンして、お味噌汁も温めてっと」
手際よく用意すると、1人で朝食を食べ始める。
テレビでは、最近起こったコンビニ強盗事件の報道がされている。
「コンビニ強盗事件しても、すぐ捕まるのに」
ズルズルと味噌汁と飲み干すと、少しテレビを見続け、時計が7時10分を指したのを見て、慌てて洗顔や歯磨きをし始める。
7時27分。
家を出ると晴天の空が広がる。自転車に乗り、駅へ向かう。5分ほどで着くが、いつも全力で走って向かう。
7時32分。
(よし、いつもと同じ!)
電車が到着するまで5分ほど。晴美は駅のコンビニで飲み物とお菓子を買うとホームへ向かう。
7時37分。
電車が駅に到着し、38分に発車する。
3両目の前から2つ目の扉から入り、すぐの椅子の端に座る。
(いつもと同じ)
少し離れた所に同級生の神崎彰が、いるのが見えた。
(うん、いつもと同じ)
晴美の地元の駅から3つ目の駅に到着する。そこから乗ってくるのは、別の高校の男子生徒。晴美の向かい側に座る。
彼は黄色い音楽プレーヤーを使い、黄色いイヤホンを着けている。
晴美は、彼のことをチラッスマホ越しに見る。
(いつもと、同じ……)
何かを確認するかのように、晴美は彼のことを見続けている。
晴美が降りる駅まで残り2駅。それまで晴美は彼に気付かれないように、見ている。
(もう着いちゃった)
晴美は、立ち上がると高校のある駅で降りる。
6時30分。
お気に入りの音楽で、アラームが鳴る。
布団の中から、手を伸ばしアラームを止めると「ん〜」と、声を出しながら布団から出てくる。
彼女の名前は清水晴美、高校2年生。
いつもと同じ日常を、望んで毎日を過ごしている。
「晴美〜、お母さん先に出ちゃうわよー」
「ん〜……いってらっしゃーい!」
「ちゃんと、起きなさいよ。いってきまーす」
晴美の部屋に入ってきた母が、未だに布団から出てこない晴美に声を掛け、仕事へ出る。
晴美は、しばらく布団の中で寝転んでいると、再びアラームが鳴る。
それをきっかけに、晴美は動き始める。
着替えを済ませ、リビングに行くと母が作っておいてくれた朝食がある。
「ベーコンに目玉焼き、ご飯はチンして、お味噌汁も温めてっと」
手際よく用意すると、1人で朝食を食べ始める。
テレビでは、最近起こったコンビニ強盗事件の報道がされている。
「コンビニ強盗事件しても、すぐ捕まるのに」
ズルズルと味噌汁と飲み干すと、少しテレビを見続け、時計が7時10分を指したのを見て、慌てて洗顔や歯磨きをし始める。
7時27分。
家を出ると晴天の空が広がる。自転車に乗り、駅へ向かう。5分ほどで着くが、いつも全力で走って向かう。
7時32分。
(よし、いつもと同じ!)
電車が到着するまで5分ほど。晴美は駅のコンビニで飲み物とお菓子を買うとホームへ向かう。
7時37分。
電車が駅に到着し、38分に発車する。
3両目の前から2つ目の扉から入り、すぐの椅子の端に座る。
(いつもと同じ)
少し離れた所に同級生の神崎彰が、いるのが見えた。
(うん、いつもと同じ)
晴美の地元の駅から3つ目の駅に到着する。そこから乗ってくるのは、別の高校の男子生徒。晴美の向かい側に座る。
彼は黄色い音楽プレーヤーを使い、黄色いイヤホンを着けている。
晴美は、彼のことをチラッスマホ越しに見る。
(いつもと、同じ……)
何かを確認するかのように、晴美は彼のことを見続けている。
晴美が降りる駅まで残り2駅。それまで晴美は彼に気付かれないように、見ている。
(あれ、待って……いつもと、違う)
晴美は周りの客を見回す。なにかの違和感を抱き、その違和感を探す。
「やめて……」
晴美は、同級生の神崎がこちらに歩いてくるのを見つけ、後ずさりしていく。
神崎は、真っ直ぐ晴美を見つめて歩いてくる。
晴美が「止まって!」と、叫ぶと晴美と神崎以外の者、電車、そして時間が止まった。
「清水!」
「来ないで!」
晴美が逃げようとした瞬間、神崎が晴美の腕を掴む。どうにか逃げようとするが、神崎の手はとても強く、ひ弱な晴美には解けない。
「清水、清水! こっち向け!」
「いや、いやだ!」
「清水!」
「やめてよ!」
「やめない! こんな……前に進もう」
「いやだ……。あの人が死ぬくらいなら、ずっとこのままがいい……」
晴美は抵抗することを止め、泣きながら目の前に座っている彼のことを見つめる。
神崎も晴美と同じように彼を見る。
「清水、いつも同じじゃあ、ダメだよ」
「いいの。いつもと同じでいいの」
「……あいつはもう死んだ。前に進もう」
「……私の、私のせいで」
その日は、いつもと同じように過ごし始めていた。
けれど、違うことを晴美がした。それは晴美が彼に話しかけたのだ。そこから何かが狂ったかのように、彼は交通事故に遭い死んでしまった。
晴美はあの時、話しかけなければ、彼の時間を奪わなければ、もしかしたら事故に遭わずに、済んだのかもしれないと思っていた。
そして何かに掛かったかのように、晴美の生活はループし始めた。彼のいる日常、いつもと同じ生活を始めた。
「清水、このまま同じことしても、あいつは帰ってこない。所詮、ここは空想だ」
「……私の、」
「俺は、お前に帰ってきて欲しい。一緒にあいつの墓行ってやろう。帰ろう」
「……私、恨まれてる」
「そんなことするような奴だったら、お前は見る目が無かっただけだ。前に進め。俺も一緒にいてやるから」
「……うん」
電車が動き始めた。
そして電車は駅に着き、晴美は駅に降りた。
6時32分。
お気に入りの音楽で、アラームが鳴る。
布団の中から、手を伸ばしアラームを止めると「ん〜」と、声を出しながら布団から出てくる。
「晴美〜、お母さん先に出ちゃうわよー」
「ん〜……いってらっしゃーい!」
「ちゃんと、起きなさいよ。いってきまーす」
晴美の部屋に入ってきた母が、未だに布団から出てこない晴美に声を掛け、仕事へ出る。
「あ、晴美。今日雨降るらしいから、傘忘れちゃだめよ」
「はーい」
母が戻ってきたと思っていたら、傘を手に出ていった。
晴美は、しばらく布団の中で寝転んでいると、再びアラームが鳴る。
それをきっかけに、晴美は動き始める。
着替えを済ませ、リビングに行くと母が作っておいてくれた朝食がある。
「ベーコンに目玉焼き、ご飯はチンして、コーンスープはお湯を沸かすっと」
手際よく用意すると、1人で朝食を食べ始める。
テレビでは、最近起こった芸能人の熱愛が報道がされている。
「へぇー。この2人付き合ってるんだー」
ズルズルとコーンスープと飲み干すと、少しテレビを見続け、時計が7時5分を指したのを見て、洗顔や歯磨きをし始める。
7時25分。
折りたたみの傘を持ち、家を出ると自転車に乗り、駅へ向かう。5分ほどで着くが、いつも全力で走って向かう。
7時30分。
(よし、ちょっと余裕ある)
電車が到着するまで5分ほど。晴美は駅のコンビニで飲み物とアイスを買うとホームへ向かう。
7時37分。
電車が駅に到着し、38分に発車する。
3両目の前から2つ目の扉から入り、すぐの椅子の端に座る。
(いつもと同じ……)
少し離れた所に同級生の神崎彰が、いるのが見えた。
神崎は晴美に気付かず、大きな欠伸をしている。
(口、大きいな)
クスリと笑うと、電車が3つ目の駅に到着する。そこから乗ってくるのは、サラリーマン。
まだ仕事前だというのに、疲れた様子だ。
(今日頑張れば、明日は土曜日。頑張れ、サラリーマン!)
窓の外から景色を眺めていると、いつの間にか、降りる駅についてしまった。
(あ、着いちゃった)
晴美は立ち上がると、高校へ向かうために電車を降りる。
「あ、おはよう」
「おはよう、神崎! さっきは大欠伸してたね」
「うわ、見られてた」
「あはは〜」
「あぁー今日、抜き打ちテストとか、なきゃいいなー」
「そうだね」
駅を出ると雨が振り始めた。
「うわ、マジかよ!」
「天気予報では、言ってましたよ」
「俺、見てねー」
「天気予報くらいみなさいよ」
晴美は折りたたみの傘を鞄から出し、開くと神崎を入れる。
「ほら、行くよ」
「サンキュ」
いつもと違う毎日。だからこそ、生きている。
おわり