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怪談話

花子さん

作者: 花染

 とある学校のトイレ。そのトイレに花子さんがいると言う都市伝説がある。花子さんは、誰もが知っているトイレにいる女の子幽霊。しかし、そのトイレにいる花子さんは、少しだけ変わっていた。


 これは、噂の話し。都市伝説。そう思っていても可笑しくない。しかし、幽霊は、君の後ろにきっと…



*+*;*



 物語の始まりは、照りつける夏の日差しが皮膚を焼き付けるように暑く燃えるような暑さのなかしおりは、必死に自転車をこぎ学校へと向かっていた。学校へ行くと言っても夏休み。吹奏楽部に入っているしおりは、秋のコンクールために猛練習をしていた。


「しおり!お疲れー!」

「ひゃあ!冷た!もう、ほたるなにやってるのよ!」


 振り向くとひんやりしたものがおでこにあたり思わず声が出てしまった。しおりは、おでこにあるものを触ると冷たい炭酸ジュース。そして、にっこり微笑んでいる親友のほたるを見て、不機嫌そうに炭酸ジュースを受け取った。


「ありがとう…」

「可愛い声だったよ!しおり」

「あーうるさい!うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさい!」


 そう言って炭酸ジュースを飲みため息をはいた。熱心にしていたが中々上達がしない。悔しいが、それが実力と言うものなのだ。


「そっちは、どんな感じ?」

「ぼちぼち」


 もうすぐコンクール。もっと練習をしないとって思っても暑さには勝てない。やる気は、ある。しかし、本気で全国に行こうと思わない。


「暑いねー」

「そうだねー」


 自主練に行っている皆は、何時戻って来るのだろうか?合わせて練習がしたい。ふと何か思いついたのかほたるは、しおりの前へ行きしゃがみ込みこう言った。


「肝試しやらない?やろうよ!やるべきだよ!そうだよ!やろう!」

「うるさい。っで肝試し?何処で?こんなにも大変なときに」

「ほら、音楽室近くにある女子トイレの右の3番目にある“開かずのトイレ”って気にならない?しかも開かないのに張られている“使用禁止!”と言う紙!噂によるとあそこって花子さんがでるんだって!暑いしちょうど良いじゃん!ね?」


 確かにそこには、使用禁止と言う貼り紙があるところがある。しおりは、少しだけ考えあきれた顔で、ほたるを見た。


「ほたる。子供じゃあないんだからね。トイレの花子さんって居るわけないでしょ?迷信よ!め・い・し・ ん!本当、馬鹿馬鹿しいんだからやめて」

「でもさ、そんなの解らないでしょう?誰かが調べないと解らないことなんだから私たちがこの目で、確かめて証明しないと、ね?


 それにパート練習ってまだ出来ないんだから…どうせしないんだから…お願いします。一人だったら怖しいねー?良いでしょ?御願い。しおり様。私のために私の願いを頼まれて」

「………はぁー…解った…行くだけよ。行くだけ。解った?」

「やった!ありがとう」

「アイスおごってねー」


 そう言って二人は、トイレへと向かった。音楽室の近くにあるトイレと言うとしおりもほたるも使いたくないトイレでもある。幽霊が出ると噂のトイレ。


 トイレにはいると何故か真夏なのにつねに寒く鳥肌も出る。息を飲み使用禁止!と言う張り紙を見る。


「花子さーん…いますかー?」

「返事するわけ無いじゃない」

「だよねーそうだよねーバカだよねー」


 返事するわけない。二人は、冷や汗をかきながらノックをする。しかし、なにも起きない。少しだけ考えまたノックをした。


「誰かいますか?」

「だから返事するわけない」

「…ハーイ…」


 小さく聞こえた女性の声。その直後に誰かがドアを開けようとガタガタと動き出した。それに驚いたほたるは、尻餅をつきしおりは、目を大きくしてドアを見つめていた。


「きゃああああ!出たよ!あの話本当だったんだ!呪われるー!」

「気のせいよ!きっと気のせい!そしてうるさい!お黙り!」


 気のせい。そう言い聞かせ三回のノックをするとピタリと止まりかわりに何か引っ張る音が聞こえた。


「ワタシヲヒトリニシナイデ…」


 その言葉と同時にほたるは、何かに取り付かれたかのように虚ろな目で、しおりを見た。


「行こう」

「何処に?」


 しおりの手を握りほたるは、屋上へと向かった。この屋上も絶対に入ることも出来ない筈だが、鍵が空いており蝉の声が聞こえる。


「ほたる、此処って…」

「ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「どうかしたの?ほたる!」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

「ほたるってば!」

「花子さんは、恨んでいる。皆を恨んでいる。しおり、助けて…」


 ほたるは、立ち止まり青ざめた顔でしおりを見た。


「ほたる?」

「いやあああああ!!来ないでぇぇぇ!」


 ほたるは、何かを怯えた様子で見つめ1歩、1歩へと後ろへと後退りをししおりの手を振り払った。


「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 悲鳴をあげ屋上から飛び降りていった。訳もわからないしおりは、走り地面に横たわるほたるをみて顔を真っ青になり座り込む。


「……なんなの?何が起きてるの?」


 後ろに視線が感じる。誰しも見ている。ほたるを殺したのではない自殺だと言い切れるだろうか?助けれなかった事を責められるのだろうか?


「誰かいるの?」


 しおりは、ゆっくり後ろを振り向くと明らかにこの世のものではない青白い肌をした女性がにっこり微笑んでこっちを見ていた。


「ダレモタスケテクレナカッタ。ダレモムシシテイタ」

「いやあああああああああ!!!!」


 女性は、しおりを指し不気味にこう言った。


「ユルサナイ。ミンナユルサナイ。コロシテヤル。コロシテヤル」


 その言葉と同時にしおりは、何者かに操られるように階段を下りていった。


「しおり!ほたるがっ!」

「…………」

「しおりってば!」


 目が虚ろで、何かおかしい。さっきまで元気で、笑っていたしおりとほたるに何があったのだろうか?不思議に思いなら警察と救急車を待つ吹奏楽部の皆は、ボーッとしている彼女を疑わない訳には、いかなかった。


「ほたるを突き落としたんだろ?」

「…………」

「親友を殺すわけないだろ?」

「…………」

「世の中解らないものだぜ」


 好きがってに言う回りの人。動揺も感情が無いようなしおり。まるで脱け殻のように立っていた。


 しかし、しおりの目の前にいるのは、昔、いじめていたあの子。自殺をして死んでしまったあの子が睨み付けている。


「しおり?」


≪貴女のせいで死んだの≫


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


≪死ね≫

≪死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね≫


「なに謝ってるの?」


≪許さない≫



「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


 息が荒くなり永遠と繰り返す同じ言葉。ついに怒れたか?とドン引きをした。


≪呪ってやる≫



「きゃあああああああ!!」


 そう叫びだし突然走り出した。その後を追うものは、居たが、見つけることは、出来ず諦めた頃しおりは、電車に跳び跳ねられていた。




 立ち入り禁止!と言う張り紙。何故、そんなことを書かれているのかと言うと、何年か昔にクラスメイトにいじめられていた“花子”と言う女性が、そこのトイレで自殺をしたのだ。その次の日そのトイレを使用した女性が不可解な死に方で死に、また次のにもまた次のにもそのトイレを使用した女性が死んでいくのです。


 恐怖に怯える女性たちは、そのトイレを二度と開けないように、誰も使用しないように鍵をかけ開かずのトイレと言われるようになったと言う。


 今でも花子さんは、いじめた人を恨み憎しみ殺し続けていると言う。そしてそれを見てないふりをする君も呪われ殺されるだろう。


そう誰か呟いた。


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