1-3 四魂学園
太陽のせいでしっかりとは確認できなかったが、スカートが、風によってやや舞っているので、女性なのははっきりとわかった。
ここが生徒会長室なので、さっきの女性――希白なのだろう。
彼はゆっくりと彼女の後ろへと足を運んだ。
彼女の部屋は、小さめのシャンデリアがぶら下がっていて、温かい橙色の光を発している。
そして、白い毛がふわふわしているカーペットなので、何故か素足の龍我の足を擽る。
「いらっしゃい。…怪我は大丈夫だった?」
小さく微笑みながら立ち上がる彼女の身長は高かった。多分、172㎝ぐらいはあるのだろう。龍我よりも高い。
やや見上げるようにして龍我は口を開く
「あぁ。…少し打撲痕がある程度だと言われた」
「そう、良かった」
ニコッと微笑む彼女はとても嬉しそうに言った。
そして、手をスッと動かしソファへのほうへと向ける。
「良かったら座って。…聞きたいことも多くあるでしょうし」
「…あぁ」
龍我は希白に促され、ソファへと腰かけた。
吸い込まれるような柔らかさなので、もう立ちたくない感が座った瞬間からでるようなソファだ。
希白は、一度部屋の隅に引っ込むと、コップと何かの入れ物を持ってきて、机の上へと置いた。
茶色い液体が湯気と一緒にゆらゆらと揺らいでいる。
そこに何かの入れ物に入っていた砂糖をつまみ、2,3個入れた。
そしてもう一つに2ついれると、龍我の前へと置いた。
龍我は軽く会釈をすると、茶色い液体…すなわち紅茶を口に運ぶ。
さわやかな香りが口全体に広がるこの感じ。龍我はその紅茶の匂いに一瞬ふてった。
そして、息をほうっと吐くと、カップを机の上に戻し、口を開いた。
「じゃぁ、質問する。」
希白も飲んでいたカップを机の上に置き、コクリと微笑みながら頷いた。
それを確認すると、また龍我は口を開いた。
「ここは学園…つまり、学校なのか?」
希白はコクリと頷きカップを手に持つ
「えぇ。小学校からのエスカレーター式が可能な学園よ。今いるほとんどが、中学からの生徒ばっからしいけど。」
ふうっと紅茶に息を吹きかけると湯気が一層多くなるのを見て、彼女はクスッと微笑んだ。
それを見て彼はふぅっと小さくため息を付くが、彼女の目を見てまた話し始める
「…この学園は…なんなんだ…?」
龍我の一番聞きたかった質問だ。先生が生徒会長にあんなに深くお辞儀をするというのはおかしいと思ったからなのだ。
どんなに、生徒中心の学校だといっても、結局は先生が最終的な判断を持っているのが当然だ。
なのに、この学園の先生は、生徒会長に頭が上がらないとでも言うのだろうか。
「…そうね。なら、この学園の特徴から話していきましょうか。」
彼女はカップを置くと、今まで見なかった真剣な顔になり、龍我のほうへと向いた。
…1-3は2話で一つとなります。
一話(?)が千文字弱になるようにしてるので、お許しください。
さて次回は、表の顔の四魂学園が明らかになります……