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四魂学園物語。  作者: 黒咲 猫架
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1-2 ガクエン。ガッコウ

「では、診察を始めますねー」

希白が居なくなったことを確認してから顔を上げた白衣の人たちは、龍我の体を触り始めた。

カーテン越しに見ると、変なことをしているようにも見えるのだが、実はそうではないということなのだ。

ここは、学校で言う”保健室”だということを、この時龍我は悟ったのだった。

「…あ、はい」

曖昧な返事を返しておいて、龍我は動かないようにする。

窓際のベッドだったので、窓越しに、雲一つない、空が永遠に続いているのが見える。

首だけ窓のほうへと向け、ぼうっとしていると、龍我の身体から手が離れた。

それと同時に、龍我も白衣の人のほうへと向く。

「軽い打撲痕がややありますが、大丈夫でしょう。」

白衣姿の彼はニコリと微笑み、そう言った。

龍我はほっと胸をなでおろす。

ここでまた、何か異常があり、ここに長期にわたり居るのは、絶対に嫌だと身体自身が拒絶しているからである。

「では、生徒会長のお部屋へと案内しますね」

白衣の彼は龍我に手を差し出してくる。それを彼も微笑しながら手を取り、立った。

龍我の洋服は、彼が通っていた高校、西春宮にしはるみや高校の制服のままだった。

黒地に灰色のチェックが薄めに入ったズボンに、青地に白と黒のチェックのネクタイ。ブレザーは灰色がかった黒。

これでも、この制服は恰好いいと街で評判な為なのか、龍我も気に入っている。

制服についてしまったしわを手で伸ばしながら、白衣の彼と保健室を出た。


保健室を出て広がってきたのは、真ん中が地下から最上階まで筒抜けな空間と、でて左右に広がり、円を書くようにして上るしかない階段である。

「…うわぁ」

手すりと周りの壁が所々金なのを見て、思わず声が出る。

「すごいでしょう?…少し古いので金とかもう取れ始めちゃってますが、新しかった時は、壁や手すり、すべてが金だったんですよ」

「そうなんですか!」

周りをきょろきょろしながら龍我が上るのを見て、白衣の彼がそう教えてくれた。

落ちている…といっても、本の少しだけである。

こういうところだけを見ると、古いなどといった言葉は似合わないが、確かに良く見ると、手すりに疵が何重にもついていたりするところがあったりもするので、やはり古いのだろう。

最上階から長くぶら下がっているのか、大きなシャンデリアは生徒たちが階段をテテテ…と走る風で、キコキコ揺れている。

龍我はそんな風景を見ながら、疑問に思ったことを質問してみた。

「…あの、なんでさっき生徒会長…?に、深くお辞儀してたんですか…?」

白衣の彼は微妙に顔をひきつらせながらも、口を開いた。

階段を上るスピードが、少し落ちた。

「あー…それはですね。…この学園は、生徒会長や委員会、生徒会などが中心に動いてる学園だからなのです。」

龍我は話を後ろで聞きながら、首を傾げた。

生徒会や委員会が中心に構成される学園や学校はよくある。

生徒にとって過ごしやすい学校づくりのためにだ。過ごしにくい学校へは来たくないだろうし。

ましては、楽しくもなんともない、ただ勉強するだけの場というのは、学校として意味がないので、先生方が考えてそういう方針にしていくこともあるだろう。

「…そうですか。…でもだからって——」

「まぁ…そういう話は、現生徒会長にすべてをお聞きになってください。」

最上階近くなったところで、白衣の彼は近くの扉を開けた。

カーペットが引かれている廊下を進み、左に曲がる。

そこには、大きな扉が2つあり、右の扉の端角のには桃色のバラはが花瓶に、左の扉には、スズランの花が、花瓶に入っているのが見えた。

上に広がるのは、小さめだが、綺麗な色をしたシャンデリアがあった。

その風景に開いた口が房が奈良井龍我だったが、彼は右側の扉の前へと移動し、扉をノックする。

「すみません。会長。…龍我様をお連れいたしました。」

白衣の彼がそう静かに言うと、内側から、「おはいりなさい」という声が、龍我の耳にも届いた。

彼は誰も居ない扉へと一礼すると、扉を大きく開いた。

光が差し込んだ。


挿絵(By みてみん)

一章の2話目ですね。生徒会長室へおじゃまする…というところでした。

龍我を生徒会長室まで案内してくれた彼は、これからも出てきます。

彼は元は数学の教師で、キャリアもそれなりです。…でも何で保健室なんか…w

自分でもわかりません。えぇ、本当にw

ですが、まぁ、楽しんでいただければそれでいいです。

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