地下室にて-Side:職員の独白-
■■■Side:職員■■■
全く…胸糞が悪い…。
勇者管理部と呼ばれる花形職についたというのにまさか勇者管理部という物が勇者の補佐だけでなく選定や候補生の面倒を見るような仕事だとは思ってもみなかった。
しかもだ、候補生の環境も、またどういった人間がが候補生になるのかも知らなかった。
守秘義務がある事は知っていた。
大切な勇者の情報を外に漏らす訳にはいかないからだと思っていたし、当然の事だと思っていたが、現状は違う。こんなもの。外に出せる訳がない。
月詠みの巫女が勇者が誕生する日を宣言する。
誕生するその日は勇者管理部の職員は全員総出で国内中に散らばり当日・またその前後日に生まれる新生児を全て集める。
前後日も含めるのは以前に一例だけ月詠みの巫女の宣言が外れて1日ずれた為だ。
国内中となれば1000万人の人口から1日に生まれる新生児が多くとも300~400人。3日間で1000人強の勇者候補生が集められる。
貴族達は当然この勇者管理部の仕事内容もわかっているから両親は泣きながらも勇者候補生として送り出す。国には逆らえない。
村々で生まれた子供は勇者候補生として国が買い取るという形で多額の金銭にて黙らせる。
勿論その契約書は完全に奴隷契約と同様の物だ。ただ奴隷という文字こそ書かれていないものの所有を国の物として一切の生殺与奪の権利を国が保有するという物だ。
勿論抵抗もある。だが親としても勇者候補生として国家の人間となる上に多額の金銭が支払われるのだ。抵抗があったとしても勅命に従わないという選択肢はすなわち国家反逆となる。
抵抗するにせよ、しないにせよ、その子供は国の物になる事に変わりはないのだ。
なら諦めろとしか俺は言えない。
そうしてつれてきたこの子達も今日で10歳になる。
今日で管理部職員としての仕事もしばらく休暇になる。
最後の時は近い。
説明話です。
何処に入れるか迷いましたが早めにSide職員を入れておきました。
最初だけ3話連続にさせて頂きます。
※2014.9.15 2時 3話投稿予定※