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でい・どりーむ・びりーばー

僕が君の顔を思い浮かべようとすると、真っ先に思い浮かぶのは写真の中の笑顔だった。

僕が君の顔をまっすぐ見つめる事が出来るのは、いつもファインダーを通した時だけだった。

だけれど、君はとても照れ屋さんだから、なかなか真正面からは撮らせてくれない。僕はいつも君の横顔ばかりを眺めていたんだ。それでも君は十分に美しく、何より可憐で気品があったのだから何ら問題はなかったけど、やっぱり、真正面からの君の笑顔は、世界樹を圧倒するものがあった。何より、それが自分に向けられたものだという事実が、僕を恍惚とさせたんだ。

君の怒った顔も、泣き顔も、つんとすました顔も、ぐっと何かを堪える顔も、僕は全部、全部カメラに収めてきた。そしてもちろん、たくさんの笑顔もだ。きっと君は、知らなかっただろう。僕がこんなにも多くの君の写真を撮っていた事を、こんなにも君を愛していた事を、知らなかっただろう。だって君は照れ屋さんだからね。僕が思いを伝えると、顔を赤くして、きっと逃げてしまうでしょう?

僕はいつも、君の写真ばかりを眺めていたんだ。今だってそうさ。たくさんの花に囲まれた君の笑顔を、僕はただ見つめている。


こんなにも近くにいるのに、僕は君の体温も感じることが出来ずに、ただ君の写真を見つめているんだ。ただ、見上げているんだ。もう、君の怒った顔も、泣き顔も、つんとすました顔も、ぐっと堪える顔も、大好きな笑顔も、僕のカメラじゃ、収められないから。

ねえ、気づいてよ。お願いだから。怒ってよ。泣いてよ。笑ってよ。もう一度だけでも、いいから。夢を、見せておくれ。

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