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ドラゴンキャッスル~城ゲーやってたら異世界に転移したっぽい~  作者: なすちー


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7 召喚と建国

はじめて作品を書きます。

よろしくお願いします。

次話、18時投稿予定です。

 拠点設営から数日が経過した。


 まず着手したのは、防衛の要となる軍事施設群――『サモンゲート』『カタコンベ』『モラトリウム』そして『魔力変換塔』の建設だ。


 何を差し置いても「人手」が足りない。アンデッドの国とはいえ、喉から手が出るほど……いや、骨の手でも借りたい状況だ。

『サモンゲート』は英雄を召喚できる施設である。

二人目と三人目の英雄ももう間もなく召喚できそうである。 


 下級兵士の育成所である『カタコンベ』や『モラトリウム』も稼働を開始した。 現段階で召喚できるのは、スケルトン、レイス、ゾンビ。直接戦闘は心もとないが、物体透過と透明化が可能なレイスは、斥候としてこれ以上ない能力を発揮してくれる。


 そして最重要施設が『魔力変換塔』だ。アンデッドの作成・維持には、あらゆる資源を変換して得られる「魔力資源」が欠かせない。


 ――ここまでの設営、アニスには相当頑張ってもらった。


 次に、内政の基盤として『鍛冶屋』『錬金工房』『市場』を並行して建設した。

 武器・防具を打つ『鍛冶屋』や、薬・魔導具を精製する『錬金工房』は、本来ドワーフやアルケミストの種族特権があればより高品位な品が作れるのだが、背に腹は代えられない。

 最後に、対外取引や住民の経済活動の拠点となる『市場』も配置した。


 ――アニスには、文字通り「超」頑張ってもらった。 


「主様ー、もうヘロヘロですよー! 休暇希望! バカンス希望ですっ!」


 大の字で地面に転がりそうな勢いのアニスに、私は苦笑交じりに告げる。

「バカンスはまだ先だけど、朗報だ。今から二人目の英雄召喚を行う」


 拠点のバリアが切れるまで残り時間は少ない。

 北の険しい山脈、南の底知れぬ深森、そして東西に延びる荒れ果てた街道。この未知の領域を調査するには、どうしても「専門職」の助けが必要だった。


「おおーっ! ぱちぱちぱち! 待ってました!」


 現金なもので、アニスは一瞬で飛び起きた。

二人で『サモンゲート』の前に立つ。本来なら設計ビルドから始める儀式だが、私の記憶にあるデータが生きているのか、すでに創造は完了していた。あとは呼び出すだけだ。


「――いでよ、『ケッパー』!」


 召喚端末を操作すると、ゲートがまばゆい光に満たされ、小柄なシルエットが浮かび上がった。


「お久しぶりです、あるじ様……」

若草色の柔らかなショートヘアに、どこかぼんやりとしたダークグリーンの瞳。小さな体躯に似合わぬ落ち着いた――というより、たどたどしい口調で少女は言った。

「またお手伝いできます。ケッパー、がんばります」


「ケッパーちゃあああぁぁぁん!!!」


 感動の再会に浸る間もなく、アニスが猛進する猪のような速度でケッパーに組み付いた。

「んもう、相変わらずケッパーちゃんは可愛いねぇ!」「あつくるしい……やめてください、窒息します……」


 じたばたと抗議する彼女のクラスは『レンジャー』。

不死メイド隊の一員であり、隠密・索敵・偵察のスペシャリストだ。アンデッド特有の気配の無さに加え、高い敏捷性と器用さを活かした短剣と弓の扱いは一級品。これで作戦の幅が一気に広がるはずだ。



「続いて、もう一人召喚しようと思う」


 私は再び端末へと指を走らせた。

「目覚めよ――『ソレル』」

 わざわざ口に出す必要はないのだが、これは一種の儀式だ。雰囲気作りもまた、王としての嗜みである。


 収束する光の中から、凛とした細身のシルエットが現れた。

「若様。またこうしてお目にかかれ、望外の喜びにございます」

 燕尾服を完璧に着こなした熟年の男性は、音もなく跪き、恭しくこうべを垂れた。

「この老体、執事としてのすべてを若様に捧げる覚悟にございます。……いかようにもお命じください」


「ありがとう、ソレル。またよろしく頼むよ」


 銀髪を隙なくオールバックに整え、知性的な灰色の瞳を湛えた彼は、不死メイド隊を統べる執事長だ。  見た目こそ老齢だが、その身のこなしには一点の淀みもない。クラスは『バッファー』。戦場では仲間を鼓舞し、その能力を底上げする。仕込み杖による剣術も心得ており、あらゆる事態に即応できるオールラウンダーな実力者だ。


「アニス、ケッパー。共に若様を支えましょうぞ」

ソレルの穏やかな、しかし芯の通った声が響く。

「かしこまりましたっ!」

「ソレルじい、わかった……がんばる」



 明くる日。

 私はソレスと共に街を歩きながら、現在の発展状況や今後の展望について言葉を交わしていた。

 ちなみにアニスには休暇を与え、ケッパーには付近の地理調査を命じている。


「若様。拠点も随分と発展し、もはや街と呼んでも差し支えない規模になりました。そろそろ、国としての名を冠するべきかと」


 ソレスの提案に、私は小さく頷いた。

「確かに。これから先、外交の場でも国を名乗る必要があるだろうからな」


「前回と同じ国名でもよろしいかと思われますが」

ソレスの言う『前回』とは、もちろんゲーム内での国名のことだ。


 あの時はアンデッドの都市国家ということで、安直に『ネクロポリス』と名付けたっけ。

今回も同じでいい気はするが、前回を凌駕する大国家にしたいという野心もある。とはいえ、あまり悩みすぎて時間を空費するのも本意ではない。


「よし、決めた」  私は空を見上げ、宣言した。

「我らが国は今日より――『ネクロエリシュオン』と名乗ることにする!」



「主様、実は英雄全員召喚できたりしないんですかー?」

「この前試したんだけど、無理だったんだよね。」

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