5 拠点作成
はじめて作品を書きます。
よろしくお願いします。
6話は23時投稿予定です。
さて、この『アンデッドのコア』をどう使ったものか。
ゲームでは、インベントリから「使用」を選択すればマップ画面へと切り替わり、
任意の土地を指定するだけで一瞬にして拠点が生成された。
だが、今や目の前にメニュー画面など存在しない。
「へぇー、これがコアなんですね。実物を見るのは初めてです!」
アニスが興味津々にコアを覗き込みながら、無邪気な声を上げた。
本来のゲーム進行では、まずコアを消費して拠点を築き、その後に英雄召喚施設――アンデッドなら『サモンゲート』、ヒューマンなら『英雄の祭壇』――を建設しなければならない。英雄はそこから召喚される存在なのだ。
順序として、アニスが建国前のコアを知らないのは当然のことだった。
だが、そうなると一つの謎が浮かび上がる。
まだ拠点を建てていない、つまり英雄を召喚する手段もないこの場所に、なぜアニスが最初から存在しているのだろうか…。
私は疑問に思いながらも、地面にコアを投じてみることにした。
見渡す限りの草原が広がり、遠景に小高い山と深い森を望むこの地なら、建国の敷地としては申し分ない。
――ポイッ、と。 軽い放物線を描いたコアが地面に触れた瞬間、それは純白の光を放ってはじけ飛んだ。
次の瞬間、半透明のドーム状の波動が爆発的に展開する。それは私たちを優しくすり抜け、凄まじい速度で周囲の土地を呑み込んでいった。ドームの拡張が止まると、その境界は陽炎のように揺らめき、まるで最初からそこにあったかのように風景に溶け込んで固定された。
「あ、初心者用バリアですねー。懐かしいです!」
アニスが声を弾ませる。
そう、この半径数百メートルを覆う不可視の盾。開始一週間、あるいは一定レベルに達するまで何者からの侵略も許さない「絶対領域」だ。
これがないと、初心者は先行プレイヤーたちの格好の餌食になってしまう。
「あ! 見てください、城壁がにょきにょき生えてきますよ!」
――ゴゴゴゴッ、と。 地底から巨大な獣が這い出すような地響きが起きた。
バリアの内縁に沿って、石造りの城壁と重厚な城門がせり上がっていく。
その内側に簡易的な畑や黄金色の麦畑が生成され、中央には国政の要となる『主城』と『政庁』が、その傍らには資源を蓄える『簡易倉庫』が、さらには南側の離れた位置に簡素な宿場と酒場までもが、またたく間に組み上がった。
ゲーム画面では一瞬の暗転で終わる工程だが、実物として目の当たりにするのはあまりに非現実的な光景だった。
「さあさあ主様、新しい拠点の探索といきましょー!」
弾んだ声とともに、アニスが私の手を引いた。彼女に促されるまま、私たちは生まれたばかりの国の中心部へと駆け出した。




