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ドラゴンキャッスル~城ゲーやってたら異世界に転移したっぽい~  作者: なすちー


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17/19

17 白銀の剣VSアンデッド

毎日朝9時投稿です。

よろしくお願いします。


「お願い……、ですか」

 カイトは言葉を繰り返し、隣に座る仲間たちと顔を見合わせた。金銭での支払いではなく「願い」を求められる――冒険者にとってはよくある話だが、相手がこの街の主となれば話は別だ。


「そう。まず一つ目は……『銀等級』を冠する君たち『白銀の剣』の戦いぶりを、この目で見せてほしいのだ」

 ナナシは組んだ指の上に顎を乗せ、穏やかな、しかし拒絶を許さない双眸でカイトを射抜いた。


「戦い、を……?」

「ああ。誤解しないでほしいが、傷が残ることはない。怪我は一切させないことを誓おう。もし万が一、かすり傷一つでも負うようなことがあれば、こちらが回復薬を含め、あらゆる補償を約束する」


 ナナシの言葉に、沈黙を守っていたエンキがわずかに身を乗り出し、シエルは緊張に唾を飲み込んだ。カイトは冒険者としての本能で、目の前の主が嘘を言っていないことを察した。

 だが、同時に拭いきれない疑問が口をつく。


「……俺たちは冒険者です。戦いをお見せすること自体に異論はありません。ですが、一体どうやって戦えばいいのですか? まさか、ナナシ様ご自身が相手をされるわけでは……?」


◇◆◇


 白銀の剣との会談を翌日に控えた、その前日。

ナナシは私室で一つの計画を練り上げていた。


「ソレル、いるか」

 ナナシが短く呼びかけると、すぐに老執事が姿を現した。

「はい、若様。ここに」

 ソレルは静かに、深々とお辞儀をする。


「ソレル、至急いくつかの資源を集めてもらいたい。…今から闘技場を建設する」


「はっ! かしこまりました」



『ドラゴンキャッスル』における闘技場とは、他プレイヤーとの模擬戦を行うための特殊なシステム施設だった。


勝敗に関係なく、戦闘で消滅した兵士ユニットは即座に還元され、傷ついた英雄も試合終了と同時に完全回復する。相手の戦力を測るにはこれ以上ない装置であった。


 ナナシはこの機能が、この世界でも適用されるのではないかと考えたのだ。もし成功すれば、カイトたちを傷つけることなく、その戦力をある程度正確に把握できる。


 翌朝、完成した闘技場でテスト運用が行われた。相手役を務めたのはソレルとケッパーだ。 数回にわたる激しい模擬戦の結果、システムは完璧に作動した。どれほど強力な一撃を浴び、深手を負ったとしても、試合終了の合図とともに傷は消え、消耗した体力も元通りになったのである。

 

◇◆◇


 城の地下、広大な空間を丸ごと使って造られた闘技場に足を踏み入れると、その異様な完成度に「白銀の剣」の一行は息を呑んだ。


「さて、改めて確認させてもらうよ」

 観覧席の中央、全体を見渡せる位置に腰を下ろしたナナシが、静かに告げる。

「まずは二試合行ってもらおう。第一試合の相手は、スケルトン二体、ゾンビ二体、そしてレイス一体だ。白銀の剣は全員、フルメンバーで戦ってくれ」


 続いて、闘技場の中心に立つソレルが、朗々とした声でルールを説明し始めた。


「この施設は非常に特殊な魔導回路に守られております。説明は難しいのですが……たとえ致死ダメージを受けたとしても、肉体を欠損したり死に至ることはございません。かすり傷一つとっても、試合が終了した瞬間に全快いたします。今は我々の言葉を信じ、全力で挑んでいただきたい。なお、場外への落下は戦闘不能扱いとなりますので、その点のみご留意を」


 カイトは、手にした盾の重みを確かめ、深呼吸をした。

「死なない……か。信じるしかないな。皆、いくぞ!」


 カイトの号令とともに、一行は体に染みついた陣形を組む。

 最前列は大盾を構え、不動の壁となるリーダーのカイト。

 次列はカイトの背後から敵を刺す位置に、鋭い殺気を放つエンキ。

 中衛周囲を警戒しつつ、遊撃の構えをとるシエル。

 最後列は杖を握りしめ、魔力を練り上げるヒーラーのレメディとマジシャンのルル。


 一点の隙もない、熟練のフォーメーション。それに対し、対面のゲートからは、カタカタと骨を鳴らすスケルトン、うめき声を上げるゾンビ、そして青白い火を纏って浮遊するレイスが姿を現した。


「……いつも通りだ。俺が止める。その隙に叩け!」

 カイトの力強い声に、メンバーが短く、鋭く呼応する。


 ソレルが右手を高く掲げ、一気に振り下ろした。


「――両チームとも準備はよろしいかな。……それでは、試合開始!!」 



 ソレルの叫びが響くや否や、アンデッド側が動き出した。後方のレイスが不気味に指をうごめかせて呪文の詠唱を開始し、それに応じるように二体のスケルトンが剣を振りかざして突進してくる。


 カイトが地を蹴り、真正面から迎え撃つ。スケルトンの鋭い斬撃を大盾で真っ向から受け止めると、金属音と共に火花が散った。カイトはそのまま盾の重みを乗せて押し上げ、一体の体制を強引に崩す。


 その一瞬の隙を、エンキは見逃さなかった。 風のように左側へと回り込んだエンキの長槍が、雷撃のような速さで突き出される。正確に骨の節々を貫かれたスケルトンは、悲鳴を上げる間もなく粉々に砕け散った。まずは一体。


「エンキ、次が来るわ!」

 シエルの警告が飛ぶ。もう一体のスケルトンが、相棒を討ったエンキの死角を狙って剣を振り下ろす。だが、そこには既にシエルの姿があった。彼女は低い姿勢で滑り込み、逆手に持った短剣でスケルトンの剣戟を鮮やかに受け流す。 体制を立て直したエンキが、流れるような動作で再び槍を振るった。二体目のスケルトンも、その一撃で塵へと帰る。


 一方、後衛ではルルとレメディが、前衛が作ったわずかな時間を最大限に活用していた。二人の周囲に魔力の渦が巻き起こる。


「氷の刃よ、大気を切り裂き、仇なす者を封じよ――『アイスピラーズ』!!」

 ルルが杖を掲げると、周囲の温度が下がり何も無い空間から数十本の鋭利な氷柱が形成され、標的であるゾンビとレイス目掛けて放たれた。


 レイスは即座に反応し、黒い霧のような防御障壁を展開しようとする。だが、その発動よりも早く、レメディの声が響き渡った。

「させません! 『カウンタースペル』!」


 光の波動がレイスの魔力をかき消し、防御呪文を強制的に霧散させる。 無防備になったレイスと、鈍重なゾンビたち。そこへ、容赦のない氷の豪雨が降り注いだ。無数の氷柱がアンデッドたちの肉体を貫き、地面へと縫い止めていく。


「そこまで! 勝負ありです!」


 ソレルの鋭い声が闘技場に響き渡ると同時に、氷漬けにされたレイスとゾンビが淡い光となって霧散した。先ほどまで激しい戦闘が繰り広げられていたとは思えないほど、場内には再び静寂が訪れる。


(……下級ユニットでは、全く歯が立たないか…。中級を数体混ぜたところで、あの流れるような連携を崩せるとは思えないな)


 観覧席で顎を突いていたナナシは、冷静に今の戦闘を分析していた。彼らの動きは無駄がなく、何より「相手の能力を封じてから叩く」という定石が徹底されている。


「見事なチームワークだったよ、カイト殿」

 ナナシは立ち上がり、惜しみない拍手を送りながら彼らを称えた。


「ありがとうございます」 盾を下げ、息を整えながらカイトが答える。


「では、少し休憩を挟んだ後、第二試合を行おうか」


 ナナシは一度言葉を切ると、傍らに控えていたアニスに視線を向けた。


「第二試合の相手は、先ほどのような魔物の群れではない。……白銀の剣全員と、私の従者の一人であるアニス。一対五で手合わせをしてもらおうと思う」


「……えっ?」

 カイトの口から、困惑の声が漏れた。 シエルやルルたちも、驚いたように目を見開く。自分たちをここまで親切に案内し、明るく振る舞っていた「ガイド役」の少女。

 五人がかりで彼女一人を相手にするという提案は、銀等級の彼らにとって、予想だにしない内容だった。


「ゾンビなにもしなかったですねー」

「スケルトン4体の方がまだマシだったかもな」

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