11 歓迎
はじめて作品を書きます。
よろしくお願いします。
次話翌日9時投稿予定です。
一般的に、アンデッドとは生命を失いながらも動き、生者を憎悪して襲う災厄の象徴だ。
しかし、『ドラゴンキャッスル』におけるアンデッドの定義は少し異なる。
彼らは五大古龍の一龍『ニーズヘッグ』の血を引く末裔という設定だ。そのため、炎や日光といった一般的な弱点は克服されており、どちらかといえば「不死の特性を持つ種族」という意味合いが強い。
生者への無差別な憎悪も基本的には持ち合わせていない。
……もっとも、敵対すれば容赦なく殺すし、その死体を有効活用しようとする倫理観の欠如は否定できないが。
「メイド……と、執事? それに……」
大盾を携えたカイトが、困惑したように呟く。
「ああ、すまない。少し刺激が強すぎたようだ。だが安心してほしい、スケルトンを含め、こちらから攻撃を仕掛けないことは約束しよう」
私は努めて穏やかに、言葉を紡ぐ。
「まずは自己紹介といこう。私の名はナナシ。このアンデッド国家『ネクロエリシュオン』の国王である」
さらに、左右の二人を紹介する。
「こちらの二人は私の従者、アニスとソレルだ。滞在中に何かあれば、彼女らに伝えてくれたまえ」
(即座に殺される心配はなさそうだが……)
カイトは油断なく周囲を観察しながらも、意を決したように頭を下げた。
「ナナシ……殿、いや、ナナシ様。まずは我らを受け入れてくれたことに感謝する」
カイトは苦しげな表情で、切実な要求を口にした。
「その上で、重ねてお願いしたい。休める場所と食料、そして可能であれば回復薬を譲ってほしい。相応の対価は支払う」
「構わないさ。ただ、見ての通りこちらはアンデッドの街でね。食料は豊富にあるわけではないが、それで良ければ提供しよう」
重傷者の様子を一瞥し、俺はアニスに指示を出す。
「まずは宿へ案内して差し上げなさい。アニス、頼めるか?」
「承知いたしました、主様」
アニスはいつもの天真爛漫さは鳴りを潜め、完璧な礼法で応じた。
「ソレルには別の用事を頼みたい」
近寄った彼の耳元で短く内容を告げる。
「かしこまりました、ナナシ様」
ソレルはいつものように、流れるような所作で深く頭を垂れ、そのまま静かに東門の方へと姿を消した。
「詳しい話は後日にしよう。……それでは、私はこれで失礼する」
私はアニスに「可能な限り情報を引き出せ」と目配せを送ると、その場から掻き消えるように姿を消した。
「き、消えた……っ!?」
軽装の少女が、驚愕に目を見開いて絶句する。
「それでは皆様、こちらへどうぞ」
アニスは優雅な所作で、呆然とする一行を先導していった。
◆
(ふぅ……、ちゃんと国王っぽく振る舞えてたかな?)
主城の自室へと「転移」した俺は、一人、大きく息を吐いた。
ついに空間転移魔術に目覚めたのだ! ……と言いたいところだが、そんな格好いい話ではない。
今のは単なるゲームシステムの便利機能、『ファストワープ』だ。
自国内の重要施設に限り瞬時に移動できるこの機能は、『ドラゴンキャッスル』に限らず、現代のゲームにおいては標準装備ともいえる代物である。
本来は移動の面倒を省くためのメタ的な機能だが。
(さて、彼らからどんな話を聞けることか……)
「ケッパー、彼らが不審な動きを見せたら、いつでも射撃できるよう待機しといてほしい」
「らじゃー、です」




