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ドラゴンキャッスル~城ゲーやってたら異世界に転移したっぽい~  作者: なすちー


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10/15

10 冒険者

はじめて作品を書きます。

よろしくお願いします。

次話21時更新予定です。

 ネクロエリシュオンの南門前に辿り着いたヒューマンの一行は、全部で五名。  

三頭の馬のうち、二頭の背には重傷者が横たわっている。かろうじて意識を保っている状態で、手綱を握ることすら難しく、残りの軽傷者たちがそれぞれの馬に同乗して、その身体を必死に支えている状況であった。


不躾ぶしつけですまない! 我らは帝国所属の冒険者パーティ『白銀の(つるぎ)』、リーダーのカイトだ!」

 大盾を背負った若い男が、声を振り絞るように叫んだ。

「可能な限りの補給と、休息の場を貸してほしい! もちろん、相応の報酬は支払う。……頼む、門を開けてはくれないか!」


 帝国?

 冒険者?

『ドラゴンキャッスル』にはそんなシステムも、勢力名も存在しなかった。

やはりここは、ゲームの設定すら通用しない「異世界」なのだろうか。


「若様、いかがなさいますか」

 ソレルが静かに判断を仰いでくる。


「一応聞いておきたい。アニス、ケッパー、ソレル。仮にあの一団と戦闘になった場合、勝機はあるか?」


「んー、楽勝じゃないですかねー? だいぶ消耗してるみたいですし。全快だったとしても、そこまで脅威には感じないです」

アニスが軽薄なほど明るく即答した。


「ケッパーも、弓を使わなくても勝てる。……そんな気がする」

「若様、私も彼女らと同意見ですな」

 三者ともに、相手を脅威とすら見なしていない。


 ならば――引き入れる価値はある。情報も、この世界の通貨とやらも手に入れたい。

「……分かった。友好的に迎え入れるとしよう」


 地響きを立てて、巨大な南門が左右に開かれた。

「これは……入ってもいい、ということかな?」

 一行の一人、不安げな表情を浮かべた軽装の女性が呟く。


「どのみち、俺たちが助かるにはこの街に頼るしかない。進もう」

 リーダーのカイトが決断し、一行はゆっくりと門をくぐった。


 だが、街に足を踏み入れた瞬間に彼らを待っていたのは、安らぎではなかった。

「ひっ、あ、アンデッド!? スケルトン!!?」

 通りを平然と歩く骨の兵士たちを見て、軽装の女性が悲鳴を上げる。


「っ、総員! 動ける者は戦闘準備を――!」

 カイトが慌てて剣を抜きかけた、その時だった。


「ようこそ、ネクロエリシュオンへ。歓迎するよ、ヒューマンの一行」


 私はアニスとソレルを左右に従え、怯える彼らの前に静かに姿を現した。


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