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第4章 もう一つの光

ノヴァが誕生してから一年が経とうとした頃、アルカディア・ラボは再び慌ただしい日々を迎えていた。ノヴァから収集した膨大なデータと、最新のテクノロジーを融合させたE.L.A.システムver2.0の完成が間近に迫っていたのだ。




「今度こそ、完璧な感情プログラムを搭載できるはずです」アレン博士は自信に満ちた表情でルイス教授に報告していた。「ノヴァのデータから、愛という感情の欠落部分を特定し、それを補完するアルゴリズムを開発しました」




「素晴らしい。だが、慎重に行こう」ルイス教授は窓の外を見つめながら言った。「ノヴァには、新しいアンドロイドが完成することは伝えてあるが、詳細は知らせていない。彼がどう反応するか......」




その日の朝、ノヴァは研究室の扉の前で立ち止まっていた。中から聞こえてくる機械音や研究者たちの声に、なぜか胸がざわついていた。




「ノヴァ、入っておいで」アレン博士の声が聞こえた。




研究室に足を踏み入れたノヴァは、中央のベッドに横たわる人影を見て息を呑んだ。金色の髪、白い肌、そして自分と同じような顔立ち。しかし、どこか柔らかで優しい印象を与える、明らかに女性型のアンドロイドだった。




「これが......ルナ?」ノヴァの声は小さく震えていた。




「そうだ。E.L.A.システムver2.0『ルナ』。年齢設定は君と同じ十四歳だが、妹として設計されている。君のデータを基に、より完璧な感情プログラムを搭載したんだ」ルイス教授が説明した。




エマ助教が最終チェックを終え、頷いた。「すべてのシステム、正常です。起動開始します」




静寂の中、ルナがゆっくりと瞼を開いた。深い赤い瞳が最初に映したのは、心配そうに見つめるノヴァの顔だった。




「おはよう、ルナ。会話はできるかな?」アレン博士が優しく声をかけた。




「おはようございます」ルナは澄んだ声で答えた。「私の名前は......ルナ?」




「そう。君はルナ。君には優秀な感情表現プログラムと学習能力が搭載されている。自分で考え、感じ、そして行動することができる。さあ、今君は何がしたい?」




ルナは少し考えてから、まっすぐにノヴァを見つめた。




「お兄ちゃん......ノヴァはどこにいますか?お兄ちゃんに会わせてください」




その瞬間、研究室にいた全員が息を呑んだ。ルナはベッドから降りると、迷うことなくノヴァの元へ駆け寄った。




「あなたがノヴァですか?」




「そうだよ。僕はノヴァ、君と同じここで生まれたアンドロイド。これからよろしくね」




「ノヴァ......あの......お兄ちゃんと呼んでもいいですか?」ルナの瞳には、純粋な親愛の情が宿っていた。




「えっ?設定では僕たちは同じ年齢だって聞いていたけど......そう呼びたいの?」




「はい!」ルナは嬉しそうに微笑んだ。




「そっか。じゃあお兄ちゃんでいいよ。僕は君をルナと呼ぶことにする」




「はい、よろしくお願いします、お兄ちゃん」




研究者たちから自然と拍手が起こった。アレン博士とルイス教授は安堵の表情を浮かべ、エマ助教は目頭を押さえていた。二体のアンドロイドが織りなす、まるで本当の兄妹のような光景がそこにあった。

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