それは始まりだった
警告!!
この作品には
・恋愛表現
・同性愛表現(ボーイズラブ・ガールズラブ共に含む)
を含みます
主人公が両性かつ無性であり 恋愛対象は男と女両方です
といっても 所謂ボーイズラブ・ガールズラブの作品としてみないほうがいいかもしれません
おそらくそういう方々が求めている作品ではないと思うので
二つの身体に一つの心、不完全な彼と彼女。
彼も彼女も欠けていた。だから二人は補い合った。
どちらが欠けても彼らはだめだった。二人で一つだった。
それはユウキ、祐樹でも有紀でもない、男でも女でもない存在。
2つの人生を歩むユウキは退屈していた。
何も変わらない毎日を他人の二倍も過ごしているのだ。
退屈するのも仕方ない。
毎日受ける授業は退屈だった。
祐樹として友達とゲーセンにいくのも退屈だった。
有紀として友達と買い物にいくのも退屈だった。
新しい何かを、日常を壊してくれる何かを、ユウキは求めていた。
授業があまりにも退屈で、ユウキは暇つぶしをしていた。
祐樹は朝に買ったコミックを読み、有紀はノートの端にラクガキをした。
それでも退屈で退屈で、意識が夢の中へ飲み込まれようとしていたユウキは、現実に引き戻された。
『来月の修学旅行の班分けをする。とりあえず男同士女同士で3人のグループを作ってくれ。最終的にはそれを合わせて6人の班にする。グループの決め方は総代に任せる。』
修学旅行、祐樹の日常を壊すもの。
ずっと待ち望んでいた非日常である。
有紀の日常は壊れない。けれどもユウキにはこれで十分だった。
ユウキに訪れる非日常。
それは一体どんなものだろうか。
日常とそれほど変わらないような退屈かもしれない。
みんなと楽しく笑って過ごす、幸せかもしれない。
もしかすると更なる非日常への切っ掛けかもしれない。
そんな想像をするだけでユウキは退屈から逃れることができるのであった。
ユウキに訪れた非日常、修学旅行。
そこから始まる、僕らの物語。
これはユウキが『僕ら』になる物語。