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La fuente de sangre

「ふむ、なかなか見る目があるな。これは先祖代々伝わる家宝で、我が師である父上から頂戴したものだ。お前も私の召使いである以上、この剣の手入れをお前に任せることもある。しっかりと覚えるのだぞ」


「ははっ!誠心誠意努めさせていただきます!」


「この剣の名はラ・フエンテ・デ・サングレ。抜けば紅蓮の花を咲かせる魔性の刃。触れるもの全てを斬り裂く、悪魔の如き妖刀よ」


「さすがお嬢様、なんとも素晴らしい名前で!」


「私はお嬢様ではないと言っているだろう。私の名前はカリエンテだ」

「失礼しました。カリエンテ様」

「うむ。それで良い」


「しかしそうなりますと、カリエンテ様がその鞘から剣を引き抜く時はどのような時なのでしょうか?やはり戦いの折に?」

「そうだ。お前も知っての通り、私は魔女を追っている。魔女は強大な力を持ち、さらには恐ろしい魔物を引き連れる厄介極まりない存在だ。だからこそ、この剣の鬼神の如き力が必要となるのだ」


「ははーっ、流石はカリエンテ様!」


「ふん、言っておくが間違ってもこの鞘から抜くんじゃないぞ」

「はい、肝に銘じておきます」

「冗談を言っているわけではないぞ。この剣には呪いがかけられており、一度抜けば生ある物の命を奪うまで鞘に戻すことはできぬのだ。もし仮にお前がこの剣を抜いてしまった場合、血を見ると思え」


「はぇ?ではどうやってお手入れすればよろしいのでしょうか?」


「それほど難しいことではない。柄や鞘についた埃を汚れをよく拭けばよい。そしてその後は油を少々塗ってやれば十分だ。ただ、グリップは握るな。剣にかけられた呪いがお前にも降りかかることになる」

「なるほど。ではもし間違って剣を抜いちゃったりなんかしちゃったりした時はどうしたらいいですか?」

「その時はネズミでも斬ってやれば鞘に戻せる。ただ、正気を保てていられればの話だが」


「ははっ、肝に銘じておきます!」


「つまり、決して人前で鞘から抜こうなどと考えてはならない。それからグリップに不用意に触ることも許されない。分かったな」


「あーでも大丈夫っすよ。私はそんな呪いなんかにかかったりしないんで、へっへっへ。こう見えて天才科学者の私は中学生の頃、正気の正太郎って呼ばれていたくらいでして、後学のためにも今ここで試してみてもいいっすかあ?」


「ほう……面白い、やってみろ」


私はカリエンテの手から彼女の愛刀を受け取ると躊躇なくグリップを手に掛ける。


まったくねえ……私は科学者で正気の正ちゃんだよ?


呪いだって?

馬鹿らしい、そんなもんにビビるとでも思ってるのか?

まあいい、何事も実験だ。


異世界の呪いとやらがどれほどのものなのか、この身をもって確かめてやろうじゃないか。

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