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田畑でバッタをバッタバタ

「えーと……他には、あ、そうですね。このスマホには……ゲームというものもあります。これもこっちの世界にはないものかもしれません……ほら、こんな感じのもので……」


私はスマホを操作しアプリを起動すると、魔女の興味を引きそうなものを説明してみせる。これは画面のあちこちから現れるバッタをバッタバッタとなぎ倒し田畑を守るアクションゲームだ。


「えっと、これはですね。出てくるバッタをどんどん倒す遊びで、この丸い光を押せば武器が……いや、一度やって見せた方が早いでしょう。ほら、こうすればバッタが倒せるんですよ」


私は手早く操作方法を教えると、魔女の反応を窺う。

彼女は真剣な眼差しで私の指とスマホを交互に見比べていた。


「えぇーっ!なにそれえ、うふふっ……変なの……あはははっ!!」


「……あ、あれ?ちょっと難しいなこれ、普段はもっとうまく行くんですけど、あっ死んだ。すみません。もう一回やらせてください」

「えー!おじいちゃま、独り占めしちゃダメ!私にもやらせて!」

「あっ、ちょっ、まっ、ああっ!」


ゲームに興味を持った魔女は私の手からスマホを奪い取ると夢中になってプレイし始めた。最初はぎこちなかった操作だが彼女はすぐにコツを掴むと、どんどん上達し、私を軽く超えていく。


ふっ、私の思惑通りだ。

流石は天才科学者。上手くいきすぎて自分の才能が怖くなる。


……それにしても、なんだ、この気持ちは。

スマホで遊んでいるこいつはまるで……まあいい。今は逃げることの方が大事だ。


「あー!この武器、上下にしか攻撃できないじゃん!うふふ、やだぁ~」

「ぶふふっ、そういう場合は回転ジャンプを使ってですね……」

「なんかなんか!やだ!赤いバッタが出てきた!うわっ!なにこれ固い!あはは!!」

「おおっ、そいつを倒すと敵がたくさん出てくるウェーブというイベントが始まるんで、倒す前に爆弾を溜めておくのがおすすめ……あ、そこにアサルトライフルが出てますよ!ほら、そこ!うひゃあぁあぁあ!もったいない!」

「もう、おじいちゃまっ!うるさいっ!あはははっ!!!」

「うひゃひゃ、すいませへぇえん、お嬢様~」


魔女は体を前後に揺らしながら次々と襲い掛かるバッタを薙ぎ払っていく。その姿は実に楽しげで生き生きとしていた。


奴は完全にスマホに集中している。

トウメインを飲むなら今だろう。私は後ろ手に持ったトウメインの小瓶の蓋を慎重に親指でそっと開いていく。


「ね、ねえ、おじいちゃま……。あのね、あのねあのね……」

「ははひっ!?ななな、何でございましょう!!?」


突然、声をかけられて思わず取り落としそうになる。

なんとか持ち直したものの、手が震え、小瓶の中の錠剤がカラカラと音を立てる。


「あのね……あのね……その……ね……」

「はひょあぁあいっ!!わっしょぉおぉ!!」


私は小瓶が立てる音を誤魔化そうと絶叫する。魔女はそんな私の様子を気にする素振りもなく、恥ずかしそうに俯きながら口を開く。

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