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なんてこった!この装備は呪われている!

「ぽほぅおぉおぁああっっ、ああぁあっ、いぎっ、いひょぁあああっ!?」


痛い!いや、熱い!?

何だこれは?!痛い痛い痛い!!


体が焼けるように熱く、皮膚が裂けてしまいそうだ!

これは服なんかではない!!霜だ、氷だ、ドライアイスの拘束具だ!


「いぎゃあああああ!!!!寒い、冷たい、溶ける、凍る、燃えてしまうぅうぅうぅう!!!!」


凍りついた水分と空気の鎖が私の皮膚を刺し、肉に食い込み、そして神経を切り刻む。あまりの痛みに耐えかねて、私は自分の意思とは無関係に叫び声を上げ、冷気の呪縛から抜け出そうと、身を捩り、足掻き、暴れ回った。


「あぎゃぎゃが、ひゅひゅ、おひゅぅうあぉはあああぁっっっ!!!」


だが無意味だった。いくら手足を振り回しても、体をくねらせても、この白い戒めから逃れることはできない。関節は固く凍結し、私は指一本動かすことが出来なかった。


「やだあ!おじいちゃま、動いちゃだめ!せっかく私があげた服なんだから、破っちゃやだ!」

「あひゃあああぁあぁ、なんか逆に暖かくなってきたよぉおい!ひゃひひっ!もうダメだぁ、いゃひゃひふひっ!もう終わりだぁあ!!」

「きゃあはは!おじいちゃま、変な笑い方してるよ?大丈夫?おじいちゃま?」


どうしてだ?何故なんだ?


たしかに私は天才科学者とはいえ、ろくでもない人間だ。

元いた世界では故意であれ過失であれ、数え切れないほどの人を傷つけてきた。

この世界に飛ばされたことはその報いなのか?


何者かがその苦痛を仕返しするために、わざわざ私をここに呼び寄せたというのだろうか?


いや、そんなことよりもまずはこの拷問をどうにかしないと……。ああ苦しい……。


冷気という名の小人たちが私の体を縛り付け、冷たく輝くつるはしで私の体を切り刻み、砕き、潰し、体温を奪っていく。


もう駄目だ……意識が薄れていく……視界が霞んでいく……音が聞こえなくなる……寒くて、熱くて、痛い……もう何も考えられない……苦しい……誰か助けてくれ……。


「……けくれえっ、れぇえっい、すーっ、はーっ、はーっ……こほっ、ごっほ、はがっ……」

「んー?なあにおじいちゃま?わかんない。れい?礼?お礼がしたいの?」

「は、ははっ、はあぁあいぃ……はーっ、はーっ、はーっ……お、礼を……うはあっ」


この女に比べればカリエンテは天使、いや慈愛の女神のような存在ではないか。

いや……最初からカリエンテは優しかった。私があまりにも間抜けでそのことに気付かなかっただけだ。


彼女の優しさに何か一つでも報いたい。

そのためにはこの身を差し出しても構わない……いや、差し出すべきだ。それが私の使命であり義務なのだ。


「おえり…、お礼、を……した、い、はぁあーっ、お礼をっ……させて!は、は、あは、しなきゃ!!」


「え?ちょっと待って、急に大きな声で叫ばれてもわからないし。ちゃんと言ってくれないと。ねえ、おじいちゃま、もう一度、ゆっくり言ってみて?」


唇の皮は剥がれ、舌は震え、喉は乾燥し、肺の空気が凍りついてうまく呼吸ができない。


カリエンテは今、何をしているのだろう。彼女にもう一度会いたい。一言だけでもいいから、この不気味な老人に優しく接してくれたことについて感謝を述べたい。それが出来れば死んだっていい。


「はあぁあっ、はあぁあっ、さいご、さいごにっ、かっ、か、かっ、感謝……うはあぁあぁ、させてくださぁいっ!!う、あ、あぁあぁあぁあっ!!」

「……やぁ~だ、もぉ~、おじいちゃまったら~。でもそこまで言うならぁ……お礼をして貰ってあげても、いいかなぁ?」


「あぁへあぁぁあぁぁぁあ……」


私は歓喜の息を漏らす。魔女が微笑んで見せると同時に私を包んでいた氷の拘束具が一瞬で消滅し、自由になれたのだ。


しかし、今の私にはそれを喜ぶ余裕などなかった。

力なく地面に崩れ落ちると、ただひたすらに空気を貪る。だが、休んでいる暇は与えられない。魔女は咳込んでいる私の頭を氷の杖でポコポコと叩く。


「ほらほらおじいちゃま、起き上がって。うふふ、私にお礼したいんでしょ?」

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