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巨乳と裸と怒りの眼差し

「……これは……私の姿は消えたのか?」


何もない空間、いや正確にはおっぱいの部分がもっくりと膨らんだローブのような服が空中に浮かんでいる状態だ。


「ええ、まったく見えません。ただ、そのお召し物が浮いているというか、消えていないのでそこにいるとはわかるのです」

「なるほど」

「これはどれくらいの間、透明になっていられるのだ?」

「えっと、個人差もありますが大体1時間くらいですね」

「そうか」


目の前でローブがすっと立ち上がる。

何が起きるのかとぼんやり見ていたが、どうやらカリエンテは服を脱ごうとしているらしい。ローブの裾から下着が現れたかと思うと、地面にぱさりと落ちる。


「えっ!?ちょちょちょ、ちょっと待ってください!カリエンテ様!いきなり何をしているのですか!?!」

「ん?何って、脱いでいるのだが」

「いや、それはわかりますけど、一体どうして……」

「透明でも服を着たままではそこにいることがバレてしまうからだろうが」

「ははっ、おっしゃる通りにございます!ありがたき幸せに存じ上げます!」


「何をわけのわからないことを言っている。本当にお前の視界からは私の姿は消えているのだろうな?」

「はい!はい!見えません!全く見えません!」


衣擦れの音からも、カリエンテの豊満なおっぱいが揺れ動いている様子が想像できてしまい、私の理性が暴走寸前まで追い込まれる。


私は怒りの形相を浮かべて目の前の空間を必死に睨みつけていたが何も見えなかった。


ああ、すぐそこにカリエンテの想像を絶する肉体美が存在しているのだ。

そう!存在しているはずなのだ!


なのに、ああ、なのに見えないのである!

おお、憎い、自分の才能が憎い!


「どうしたアズマーキラよ、そんなむくれた顔をして。何か不満でもあるのか?」

「い、いえっ、これから先、魔物との戦いが始まるんだなぁと思うと、こう、気が引き締まると言いますか、武者震いが止まらないと言いますか……」

「ふん、そうか。だがまあいい。とりあえず村に行くぞ。お前は私の服を拾い集めておけ」


「ははーっ!ありがたき幸せ!」


私は大急ぎでカリエンテのぬくもりの残る服と荷物をかき集めると、彼女の次の指示を仰ぐ。匂いを嗅ごうと思ったがバレたら首から上が地面に転がりそうなのでやめておいた。


「では行くぞアズマーキラよ、私の剣を持て」

「はえ?」


くそっ、ジジイにどれだけ持たせるつもりだ。


予備のマントとブーツやら調理器具やら着替えの入ったリュックサックにそれから私の実験器具の入った黒い箱、こんな色々と重いものを持って歩くなんて考えただけでうんざりする。おまけにあのバカでかい剣を持てだと?


だがカリエンテの命令は絶対だ。

それに、今はあの老人の命がかかっている。ここでカリエンテの機嫌を損ねることは絶対に避けたい。


私は心の中で悪態をつきながらうっかり剣のグリップを握り締めてしまう。

ずっしりとした重みを感じ、次にふつふつと力が湧きあがったかと思うと意識がブラックアウトした。


「ふふっ、本当に困った爺さんだな」

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