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夕方、五百淵で我武者羅が集会を設けていた。
「――んで、なんでお前もいいんだよ」
遊佐が隣に座る佐島に呆れていた。
「良いじゃねェかよ、オレの勝手だろォ?」
佐島は、結局ケータに返されたチューハイを開け、喉を鳴らしながら胃に流し込む。
「うえッ、ぬりィ」
「だろうな」
幹部はその光景にアルコール欲をぐっと堪えていると、部下の1人が前に出てきて、深く頭を下げてきた。
「失礼します。
皆さんに新人を紹介したいのですが、よろしいですか?」
「おう」
遊佐が許可し、部下は後ろからある2人を呼び出した。
「あッ? お前ら、確か…」
佐島がチューハイを片手に、新人を凝視する。
よく見ると、以前わざとぶつかりに来たデクの棒と背の低い小太りの凸凹コンビだったのだ。
「お〜ッ! あん時のッ!!」
佐島が声を上げると、新人2人の表情が一気に青冷めていった。
「佐島さん、ご存知なんですか?」
「おう、前、こいつらが喧嘩売ってきてよォ」
佐島の陽気な発言とは逆に、周りの空気がガラリと変わった。
次々と部下達が新人を囲み始め、佐島がまずい状況を察し、急いで制止を試みる。
「いーって! いーって!!
あいつ等、知らなかったわけだしッ!!」
「いえ、佐島さん。
ケジメなんで――」
むなしくも佐島の思いは届かず、2人は目の前で公開処刑されてしまった。
「――さて、本題に入るか」
新人たちはボロ雑巾並みに服が血とほこりまみれにされ、水辺の草むらに捨てられてしまった。
「今回の件で会津がどういう状況にあるのか、お前らもなんとなく予想はついたと思う。
こんなことが毎回起こったらたまったもんじゃねェ」
遊佐は立ち上がり、全員に語りかける。
「よって、我武者羅は、会津で情報収集を行い、今後の新たな脅威に対抗するため、兵力増強に努めるッ」
それを聞いた部下たちは動揺し始める。
「おい、それってつまり――」
「ああ、会津と戦争だッ」
我武者羅が狼狽えている中、ただ1人、佐島は不敵な笑を浮かべていた。
「へへッ、こいつァ楽しくなりそうだ」
佐島は悦に浸りながら、チューハイを一気に飲み干す。
「いいか、お前等ッ!! 心してかかれと!!」
「「「「「おォォォォォッ!!」」」」」
漢達の雄叫びは、五百淵の水面を轟かせたのであった。




