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KEEP OUT  作者: 嘉久見 嶺志
2××3/5/5
51/58

: 2p.

郡山駅西口に到着したケータは、時計を確認する。


現時刻、9:23――。


よしッ、計画通り。


予想していた時間に来れたため、自然と口角が上がる。


時間的に余裕があり、とりあえずコンビニへと足を運んだ。


雑誌コーナーへ行き、週間少年誌を手に取る。


これから赴く場所は、自分にとって大きな一歩となるので心が踊る。


そんな時だった――。


「お前ッ!」


声をかけられ、不意に振り向くと、柄の悪い4人が立っており、そこには、見覚えのあるが顔があった。


「こッ、こいつですッ!!」


弘明がケータに指をさし、隣のやつに慌てて伝える。


「間違いねェのか?」


「はッ、はいッ!! 間違いないッス!!」


先ほどまで上機嫌だったケータの表情が徐々に陰り、曇っていった。


同じく西口のヨドバシカメラの店舗前で真弓が、辺りを見渡していた。


「けーちゃん、体力あるなァ」


ケータを探し求めて駅前まで歩いてきた彼女は、足に軽い疲労感が溜まっていた。


連絡先交換後、ケータに遊びの連絡を入れたかったが、どう誘えば良いのか分からず、勇気を踏み出すことが出来ずにいた。


とりあえず買い物を口実に会えないか、八百屋に訪れたところ、店主の吉村から駅前に向かったと教えてもらい、今に至る。


ふと、歩道の向こうにあるコンビニに目をつけ、一歩踏み出したその時、1台のバイクが彼女の前に立ちはだかった。


リアサスを下げ、地面へとマフラーが伸びている黒艶のドラッグスター400。


真弓の知り合いで、このバイクに乗っている者は一人しかいなかった。


「ハルちゃんッ!?」


「毎度ォ」


ヘルメットを外し、グラサンをかける遊佐。


「なんでハルちゃんがいんの!?」


「お前が着拒してッからだろォ?

代わりにを司に頼んだら、あいつも着拒されてるって言うし――」


「だってハルちゃん、毎回しつこく口説きに来るから」


「そんだけ本気だってことじゃ〜ん」


「そう言ってハルちゃん、5人ぐらい彼女いるじゃん」


「惜しい、6人だな」


「ろッ!? …ツッキーといい、アンタ等マジで最低ッ!!」


ふしだらな幼馴染み達に、かなり引いた真弓だった。


「それで? 何のようなの?」


「あのよ――ッ」


すると、向こうのコンビニから罵声が聞こえてきた。


「待ちやがれッ!!」


そこには、見覚えのある人物ががコンビニから飛び出していたのだ。


「けーちゃんッ!?」


後から見知らぬ者たちが続き、ケータを追って走り去ってしまった。


ケータは商店街を通り、狭い路地裏を駆け抜けていく。


彼を追跡する弘明達だが、足の速さと体力がついていけず、肺が悲鳴を上げていた。


「ちッ、ちくしょ…ッ、はァ――」


江流暴の1人がスマホを取り出し、他の部下たちに位置情報を伝えているその時だった。


「ちょっと待ったァッ!!」


真弓が彼らの前に立ちはだかり、制止を呼びかけた。


「まッ、真弓じゃねェか…」


「アンタ達ッ、けーちゃんに何の用!?

報復でもしようってのッ!?」


「うるせェッ!! 今、お前に構ってる暇ねェんだッ!!

道楽を逃しちまうだろうがッ!!」


「はッ!? 道楽ッ!?」


弘明の発言に疑問を抱いていると、遊佐が喘鳴で到着し、膝に手をついた。


「げッ!? テメェはッ!?」


弘明は、相手が遊佐だと知って一瞬怯んだ。


「ハルちゃんッ! 出番だよッ!!」


「えッ!? 何ッ!?」


酸欠で苦しい中、急な指名に対応が追いつかない。


「あの変態童貞野郎に鉄槌をお見舞いしてッ!!」


「あんッ!?」


状況が読めない中、息を整え、汗を拭いながらゆっくりと姿勢を正す。


「詳しい事情は知らねェが、お前のダチかなんかだろ?」


「ダチってか、けーちゃんだよッ!? けーちゃんッ!!」


「誰だよッ!?」


ケータのあだ名を口にしてもしっくり来ていない遊佐だった。


「あ〜ッ!! 話は後ッ!!

とにかく、アイツ女子の敵だからッ!!」


弘明を指さし、ケータが走り去った方へと駆け出していった。


「…それで? お前、何やったよ?」


遊佐は、弘明を横目に尋ねる。


「別に、テメェには関係ねえだろッ!!」


「そういうわけにいかねェんだわ。

女子を泣かせるような奴は許せないタチなんで――ねッ」


そう言うと、遊佐は突っ込んでいき、弘明達は身構えるが、何の意味も持たなかった。


「ごばッ!!」


江流暴の2人が後ろへとのけぞり、地面に叩きつけられた。


「てッ、テメェ!!」


素手で沈めた相手に、残りの2人が疳之虫を顕現させ、臨戦体制を取った。


「それによ、あいつは俺の嫁候補なんだわ。

手ェ出すなや」


鋭い眼差しを突きつけられて怯んでいると、こちらに向かってくるバイクが視界に入ってきた。


「おおッ!! 来た来たッ!!」


江流暴の構成員が応援に駆けつけ、やがて、背後にもバイクで行く手を阻まれてしまった。


数は10人と増え、全員、疳之虫で剣や爪、鞭のような尾を出し、多勢の余裕から勝ち誇った笑みを浮かべていた。


「遊佐ァ、さすがのオメェでも、この数は厳しいんじゃねえのか?」


バイクのナンバーを目にし、“会津”の表記に嫌気がさした。


「おい、最後の警告だ。

こいつ等から手を引け。

こんな奴らに付き合うとロクな目に合わねェぞ」


「うるせェッ!! 喧嘩に負けた奴は、勝者の言う通りになるのが筋だろうがッ!!

それによ、一度入ったら簡単に抜けられねェのが、この不良の世界だろうがよッ!!」


「ははッ、よくわかってんじゃねェか。

よしッ、その覚悟があるんなら手加減はしねェ」


遊佐の両足が、疳之虫によって鎧をまとっていく。


「“飛脚”の名は伊達じゃねェってとこ、教えてやる」




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