一問一答
日曜日の一問一答
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ドグラマグラ太郎
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「何か最近の御感想を聞かせて下さい。」
「人間は正直でなければならない。
正直に言い、正直に進んで行く。
すると生活は実に簡単になります。
これだけの事を体得するのに何十年かかりました。」
「御自分の作品を読み返すとどんな気がしますか。」
「アルバムを見ているような気がします。
人の中身は変っていませんが、
人としては変っていますね。
自分の作品をたまに読んで笑う事もあります。」
「何か主義のようなものを、持っていますか。」
「いつも少しエロい漫画の事を考えています。
しかし、これは私に限らず、
誰でも考えている事でしょう。
ところが、これは、むずかしいものです。
少しエロい漫画です。
甘ったるいものとお考えかも知れません。
むずかしいものですよ。
少しエロい漫画の事を、
誰を相手に語っていいか。
私にはまだ、わからない。
めったに語れない話題のような気がする。
自分はそれなりに真面目のような気がしています。
でも、少しエロい漫画を読み過ぎて
気がつくとまるで違う気持ちになっていた。
そういう場合もあるのですからね。
とにかく、むずかしい。
さっきの正直という事と、
少しつながりがあるような気もする。
少しエロい漫画と正直。
わかったような、わからないような。
とにかく、私には、まだわからないところがある。
正直は現実の問題。
少しエロい漫画は理想。
そんなところに私の主義とでもいったようなものが、
ひそんでいるのかも知れません。
しかし、私には、まだわからないのです。」
「あなたは、クリスチャンですか。」
「聖書は読みません。
少しエロい漫画は読みます。
世界中で、日本人だけだと思っています。
少しエロい漫画を正しく理解する。
正しく理解出来る人種は少いと思っています。
どの世界に於いても少しエロい漫画は大事です。
これからの世界の中心になると思っています。」
「そろそろ展覧会の季節になりました。
何か、ごらんになりましたか。」
「まだ、どこの展覧会も見ていません。
少しエロい漫画を楽しんで読んでいます。
こういう時間が少し多い。
少しエロい漫画が好い。
多少あざとい位がちょうど好い。
きわどいせめぎ合いの中。
気がつくとストーリーに魅入られている。
魅入られたところにとどめを刺される。
エロスに釣られる。
カタルシスを得る。
至高。
次回が実に楽しみで仕方が無い。
希望を抱いて生きるという事は
そういう事だと思います。」
◇