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久遠の海へー再び陽が昇るときー  作者: koto
第2章 民主主義の崩壊
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2-7

 グリーンフィールドの主張をまとめると、次のようになる。


 現在、アジアに展開する米陸軍は軽武装部隊が朝鮮半島に展開し、日本本土に完全武装の師団が配置されている。

 もし日本駐留軍を派兵すると、一時的に北朝鮮軍の侵攻を防げるかもしれないが、道北からソ連の南下を阻止できず、結果アジア全体が共産化する可能性がある。

 しかし、半島への派兵を行わなければ韓国に駐留する部隊と米国市民が間違いなく死亡するか、人質として外交に利用される。そもそも、米軍の大規模な参戦はソ連や中共の参戦を引き起こしかねず、結果的に核戦争に発展する可能性もある。

 米本土からは兵を派兵するにも、米陸軍は終戦に伴い復員を進め、戦前の半数にまで規模が減少していた。さらに、その大部分も新規入隊者など経験者は不足していた。


「軍人が外交解決を語るな!それは我々国務省の管轄だ!!大統領、今の国防長官の発言は越権行為です!!!」

 トルーマンはレッドを睨み返し、黙らせた。

「国防長官。ただちに日本本土への陸軍派兵を命ずる。また、GHQには韓国の米市民を即座に日本の基地へ移送するように。」

「承知しました。すぐに手配させます。」

 後ろに控えるスタッフが即座に部屋を後にする。国防総省へ報告に戻るためだ。


「国務長官、国連安保理の招集を各国に伝えてくれ。ソ連外交部とはチャネルを確保できるか?」

 当時の国連常任理事国は、非常にややこしい関係にあった。既に大陸から追い出された蒋介石率いる中華民国が、今もなお常任理事国の座にいるのだ。

 そのため、共産陣営はソ連一国のみだった。そして、その状態を受け入れがたいソ連は、以前より理事会を欠席し続けていたのだ。

「ソ連も核戦争に発展することを望んではいないと思います。こちらからの会談要請に応じることでしょう」

 

 会議はそこで終了となった。

 そして、半島における戦いは、民族紛争や国境戦といった局地戦から遂に半島全域へ拡大したのだった。


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