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【短編集】佑羽とぴあ

「正直、私って彼女としてありだと思う?」

作者: 葉月佑羽

「正直、私って彼女としてありだと思う?」



 一日デートの最後。彼女は俺に聞いてきた。



「うぅん――まぁ、アリ、だと思うけど」


 曖昧に返す俺。

 顔も満点、スタイルも好み。笑顔が可愛くて、話に飽きない。彼女は本当にいい人だと、今日のデートで思った。

 けれど、いい女性であっても、恋人にしたいって感じじゃない人っていると思う。


 俺にとって、彼女はそういう人だった。




「私、デートしたのは今日が初めてなのよ。あなたとはうまくやっていけると思ったの」



 これを言われたのは2回目だ。

 デートの初めの時、「こういうデートって初めてなの。分からないこと多くて、迷惑かけたり、興ざめさせたりしたらごめんね」って言われた。

 言われた時は、どうせ清楚感を出そう、特別な男だと思わせようと考えているんだと思っていた。けれどどうやら彼女は本当にデートが初めてらしかった。


 ありえないようなミスもした。彼女、コップを握りしめすぎて割ってしまったのだ。あの細い身体のどこにそんな力が入っているんだろうと思ったけど、中学校の時なら自分より握力の高い女子はたくさんいたのでそんなものかと思った。


 彼女は「緊張していたの」って笑っていた。さすがにちょっと引きつってたけど。



 他にもいろいろ失敗していた。

 けれど失敗する彼女も可愛くて、ほっとけなくて。

 全然許せた。むしろ守ってあげたいとすら思ったほどだった。




「『お試し』でも構わないわ」



 ――それは、どういう意味だろうか。俺くらいの年で「お試し」と言われれば、当然そっち方向の話を考える。「都合のいいこと考えやがって!」って言う人もいると思うが、同年代の男はほとんどそんなもんだろう。


 けれどデートも初めてだった初心な彼女のことだ、身体の話ではないか。さしずめ「お友達期間」ってことなんだろう。


 自分には、友達だとしても過ぎた存在だと思う。しかもその友達は、後の付き合うという関係を前提にしたものだ。絶対楽しいと思う。






 悪い話じゃないと思った。いや、彼女もいない歴=年齢の童貞には、こんなおいしい話は二度と来ないだろう。なにしろ可愛くて、性格もよくて、話してて楽しい。そんな女性が自分から「付き合って欲しい」と言っているのだから。




「――ごめん、ちょっと考えさせて」



 結局、僕は保留にした。「この童貞ヘタレが!」っていう罵声がどこからか飛んできそうだ。自分でも分かってはいるんだけど。



 彼女は少し悲しそうな顔をした。分かってても見るのが辛い。



「いい返事を期待してますね」



 彼女は気丈に振る舞い、微笑を浮かべて僕に言った。


 奥に彼女の親らしき人が車で迎えに来ているのが見えた。お別れの時間だ。



 どうやら彼女、結構いい所のお嬢さんだったらしい。

 見られているからか、少し(うやうや)しい挨拶を済ませる。彼女は迎えの車に乗って帰っていった。







 彼女が去ったのを見て、僕はため息をつく。


「はぁ――これで()()()()()()()()()()()()()()、喜んでお付き合いさせてもらうんだけどな――」





お話の経緯とか、ちょっと補足とかしようと思ってるので興味を持った方はTwitter(@yu_pht)を見てみてください。


ポイント評価、感想お待ちしてます!



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― 新着の感想 ―
[良い点] しょ、ショートショートかっ [気になる点] 星新一かっ [一言] なつかしすぎるわ!(^-^)
[気になる点] 人間じゃない何なのかが凄く気になる。
[気になる点] 人間じゃなくても良いんじゃない? [一言] 実はカマキリ人だったりして(^_^;)
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