自己紹介
あ…そうだ!皆にも自己紹介してもらえばいいんだ!
混野はひらめく。
「じゃ…じゃあ皆さんにも自己紹介してもらいましょうか。
せっかく巡り会えた仲なんだし、
お互いのことを知ってた方が楽しくネットビジネスできそうですし。」
人差し指を立てながら苦笑いをする混野。
それにしぶしぶ答えるかのようにヤンキーが席を立つ。
「えー俺の名前は離雲修。
歳は19。高校中退して今は土方でアルバイトしてる。
でもまぁそれだけじゃお金足りないからネットビジネスで楽して儲けようかなと思います。よろしく。」
離雲は混野を睨みながら自己紹介をし、
目線を女子高生に向け顔を少し赤らめながら席に座る。
次によれよれスーツを着た男性が席を立つ。
「僕の名前は圧野浩二です。
僕はいま地元の中小企業に勤めているのですが安月給と上司からのパワハラでうんざりしてます。
だから将来的にはネットビジネスで稼いで独立起業したいと思ってます。
もう上司にこき使われる人生は嫌なので…
どうかよろしくお願いします。」
相変わらず挙動不審な圧野。
自己紹介を終え、何かに怯えながらゆっくりと席に座った。
「み…皆さんいろいろと事情がおありなんですね…
僕も一応いろいろな経験を経てここまで這い上がってきましたが、
皆さんも同じようにいろいろと苦しい思いをしながら頑張ってるんですね…」
2人の自己紹介を聞いて思わず言葉を漏らす混野。
ただ、その言葉に思った通りの表現を乗せることができず、結局誰も混野の言葉に言葉を返すことはなかった。
「じゃあ次は私がいきます。」
次に清楚な女子高生が可愛らしい声を発しながら席を立った。
「私の名前は八華恵です。歳は17で地元の女子高に通ってます。将来的には東京の名門大学に入学して安定した就職をするつもりです。
ただこの不況の中、就職先だけに頼るのは怖いのでネットビジネスで稼げるようになりたいなと思いました。
未熟者ですがよろしくお願いします!」
ハッキリと明確な自己紹介を済ませた八華。
その様子をじっと見つめる離雲。
離雲君…バレバレ汗
混野は離雲の様子を見ながら苦笑いしていた。
「高峰清美です。よろしくお願いします。」
すると間を置かずに高峰が自己紹介を済ます。
そんな高峰の様子も圧野と同じく挙動不審。
ずっと下を向いたまま前を向うとしなかった。
「じゃあ最後に…君。自己紹介してくれる?」
高峰の自己紹介を消化し終えた混野は片腕のない青年に声をかける。
すると片腕のない青年が左手で上半身を支えながら立ち上がる。
「名前は音瓦宗助。以上。」
それと同時に名前を吐き捨て再び席に座ってしまった。
そんな音瓦の様子を見て冷や汗をかく混野。
一体どれだけの修羅場をくぐって来たんだ?
混野は数時間前に見せた怖い目つきで音瓦を見つめた。