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◇ 04

 ◇


 あの子がホームで人を撃ち殺していたのはすぐに分かった。


 逢った瞬間、彼からつよく殺人者の香りがして私は玄関先に立ちすくんだ。

彼が怖かったのではない、自分が怖かったのだ。

招き寄せてしまった自分が。


 その後の、彼との束の間の会話で、

「毎日、何人くらい殺しているの」

 聞いた時にはぎょっとしたような目をこちらに向けたが、私がふざけているのではないと分かったら急に目を伏せ、


「駅のホームで、ですけど」


 小さな声で言った。私が


「私も、通勤の時にはよくやった。銃を使って」


 そう言って人差し指を上げる。

その指先に視線が吸い寄せられたかのように彼の顔が上がった。

それからまた目をあげてしっかりと私を見ながら


「50人までで、止めています。憎しみを暴走させたくないから」


 はっきりと、そう答えた。



 見れば判る。かつて同じ目をしていたから、私も。

同じことをしていた、駅のホームで。

そして、これだって見ていてすぐ気づくだろう。口から発する、耳には聞こえない小さな発射音。



 ぱん、ぱん、ぱん。



 合わせて見えない引き金をひく度に、すらりと長い右手の人差し指がぴくりと痙攣する。

 耳にはめた白いイヤホン、そこから金属を高速で切り裂くような細かい音の飛沫が散っている、周りに毒を吐き散らすのだけが目的のように。





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